この記事をまとめると
■2022年11月の新車販売台数が発表された



■登録乗用車の販売台数は19万2904台、軽四輪乗用車の販売台数は11万5155台



■現在の販売現場の状況についても解説する



軽自動車の販売台数が増加!

2022年もあとわずかのなか、自販連(日本自動車販売協会連合会)と全軽自協(全国軽自動車協会連合会)から、2022年11月単月の新車販売台数が発表された。自販連が発表した登録乗用車の販売台数は19万2904台、前年同月比102.2%であった。全軽自協による軽四輪乗用車の販売台数は11万5155台、前年同月比111.9%となった。



登録車では貨物車も含めると、前年同月比で101%と若干落ち込むが、軽自動車では貨物車を含めると、116.8%へと数値がアップしている。これはネット通販などのEC関連で購入した商品の配送業務の拡大による、軽バンの需要があると考えていいだろう。また例年この時期はお歳暮の配達車両ニーズなどもあるので、生産が思うように進まない現状でもそのような需要に間に合わせるために出荷したのかもしれない。また都市伝説のようにいわれているのが、「半導体の数が少ない車種のほうが生産はまだ円滑」といったものがあるが、これが正しければ軽貨物車は生産しやすい部類に入るのかもしれない。



深刻な納期遅延のなか「軽の未使用中古車」が大量に並ぶ! 謎の...の画像はこちら >>



2019年11月は消費税率を引き上げたばかりなので、コロナ禍前の2018年11月と比較すると、登録乗用車は約82%にとどまっているが、軽四輪乗用車は約98%で、ほぼコロナ禍前の状況に戻っているといっていい状況になっていた。



軽自動車でのこのような状況をけん引しているのは、ダイハツといっていいだろう。

2022年11月におけるダイハツの軽自動車総販売台数は5万6753台で、2位のスズキに8352台差をつけてトップとなっている。すでに2022暦年締めでの年間軽自動車販売台数ではブランド別トップをほぼ確実にしているダイハツ。スズキが優位を見せる軽四輪乗用車販売でもトップとなり、完璧な“軽自動車販売ナンバー1ブランド”をめざそうとしているように見える。軽四輪乗用車に限っては年末へ向け追い込みを仕掛けたものの、残念ながら2022暦年締め年間販売台数ではスズキがトップとなりそうな状況だ。



深刻な納期遅延のなか「軽の未使用中古車」が大量に並ぶ! 謎の光景の真相とは?



軽四輪乗用車販売に力を注ぐダイハツの動きと関連しているかどうかはわからないが、筆者が定点観測している届け出済み未使用軽中古車販売店に展示されているのはダイハツ車がじつに多い。改良前タントが多いのはなんとなく理解できるが、モデルチェンジを行って、それほど日が経っていないムーヴキャンバスまで、未届けの委託販売車として展示している新車に交じり、届け出済み未使用軽中古車も多数展示されている。

そのほかにも、タフトやムーヴ、アトレーなどまさに“ダイハツ祭り”状態となっている。つまり、いまの新車販売の特殊な状況下でも、活発に自社届け出による販売台数の上積みがとくにダイハツでは目立っているように見える。



納期遅延どころか新車が買えない状況に

ちなみに、いまの納期遅延が目立つなかでなぜ未使用中古車が展示されているのか疑問に思う人もいるかもしれない。おもにディーラーとなり契約内容が異なるケースもあるが、大口業者との間ではディーラー名義などでナンバープレートを取得しただけの未使用状態の車両、つまり自社届け出車両を供給する台数をあらかじめ決めて取り引きされているとも聞いている。



つまり、ある意味未使用中古車販売業者もメーカーやディーラーから見ればお客様なのである。そして、生産遅延が影響して当初の計画通りに供給されていないのも一般ユーザーと状況は同じ。

ただ、年初などに確約した供給台数をクリアしないといけないところが異なる。そのため、一般ユーザー向けとフリート(大口契約)ユーザー向けでは生産管理が異なるメーカーもあるとも聞いたことがある。そのためレンタカーも同じような流れとなっているが、関係者に聞くと「供給タイミングは乱れているようだが、それでも新車の供給は続いている」と話してくれた。つまり、供給体制が異なることもあり、フリートユーザーへも供給が続き、それが未使用中古車として店頭に並ぶのである。



ただ、そのような流れを認識していても、いまのダイハツの届け出済み未使用軽中古車が展示場に溢れる光景は、筆者にとっては異様に映る。それだけ軽乗用車販売でもトップを狙いたかったのかもしれない。



深刻な納期遅延のなか「軽の未使用中古車」が大量に並ぶ! 謎の光景の真相とは?



登録車では、新型車のデビューも目立っているが、思うように数字が戻っていない印象を受ける。最大の要因はもちろん生産遅延による、深刻な納車遅延である。最近では単に納期が延びていくだけでなく、新規受注を停止する車種も目立ってきている。つまりこれまでは“待っていれば新車はくる”という状況であったのに、“新車自体買えない”といったことも目立ってきているのである。新型エクストレイルも新規受注を停止しているのだが、あるディーラーでは“2024年冬に新規受注再開予定”と説明を受けて耳を疑った。年が明けると2023年になるので、1年間は注文すら入れられないということになる。

たとえ発注できたとしても、トヨタ・ノア&ヴォクシーでは、オプション選択次第では納車予定がすでに2024年初秋ごろと案内しているディーラーもあるとのこと。



ただ、予約段階で注文を入れた筆者の改良後のトヨタ・カローラセダンのガソリン車は注文を入れて4カ月ほど経つ、2023年1月中には納車になりそうだ。現状のような非常事態ではなく、平時でも即納可能なディーラー在庫車などでない限りは、納車に2カ月ほどかかるのも珍しくなかったので、意外なほど短い“納車待ち”に驚いてしまった。



深刻な納期遅延のなか「軽の未使用中古車」が大量に並ぶ! 謎の光景の真相とは?



とにかく状況は日々そして車種ごとにめまぐるしく変化しているといっても過言ではない。メーカーも混乱しているので、メーカーからの情報を受け取るディーラー次第で、細部では説明が食い違うこともある。新車の購入を検討して車種を絞り込んだら、トヨタ系なら、トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店、日産系なら日産店、プリンス店、サティオ店という販売チャンネルが自分の生活エリアで存在していれば、それぞれの店舗をまわり、情報の精査をすることをおすすめする。

ホンダ系はホンダカーズという屋号は共通なのだが、“●●”という地名だけや、“●●北”といったように、ホンダカーズに続く部分が異なると資本の異なるディーラーになるので、やはり複数の資本の異なるホンダカーズをまわり情報精査することが可能である。今の新車販売非常時では、情報を制することがまず大切なのである。