この記事をまとめると
■台数限定のクルマが販売されることがある■ユーザーの立場で考えると抽選や短期間で完売する限定生産は好ましくない
■メーカーから限定車が販売される理由について解説する
RXはレクサスを初めて買うユーザー限定の受注枠を用意
最近はいろいろな車種に「限定車」が設定される。たとえばレクサスRXのホームページには「新型RX抽選販売のご案内」という記載がある。販売会社とは別に、メーカーが500台の受注枠を用意して、RXの抽選販売を行う。
メーカーの受注枠は、レクサスを初めて買うユーザーに限定され、レクサス以外の車種を下取りに入れることも条件になる。つまりメーカーが限定枠を設けた背景には、輸入車など、他ブランドの顧客を吸収する狙いがあると思われる。
このような売り方をする理由は、昨今の半導体などの不足による納期の遅延だ。RXも供給体制が不十分で、グレードはFスポーツやバージョンLに限られる。この少ない販売規模で、新規顧客を開拓してレクサスのユーザーを増やすため、メーカーが率先して「レクサス以外のユーザー」を対象にした抽選販売を行うわけだ。
その代わり、先代RXからの乗り替えユーザーに割り当てられる販売台数は減ってしまう。販売店は今までの顧客を大切にしたいから、メーカーの抽選販売には難色を示すことが多い。
ほかにも限定販売がある。日産は新型フェアレディZの導入に際して、2022年1月に、まずは特別仕様車のプロトスペックを240台の限定で発売した。価格は696万6300円であった。

趣味性の高いスポーツモデルには限定車が多い
この後、4月に各グレードの価格が明らかにされたが、バージョンSTはプロトスペックと同等の装備を採用しながら、色彩が異なるだけで価格は50万円以上安かった。つまりグレードの価格がわかった段階で、プロトスペックが割高だったことも明らかにされた。

ホンダは、以前のシビックタイプR、最終型のS660などを限定販売したことがある。スバルWRX S4・STIスポーツ#も、500台の限定販売だった。趣味性の強いスポーツモデルには、限定販売が多い。なお限定でも抽選は行わず、順番になることもある。人気車は早々に完売してしまう。

ユーザーの立場で考えると、抽選や短期間で完売する限定生産は好ましくない。しかし開発者は「スポーツモデルは、車種によっては特殊なパーツを使うから、生産台数にも限りがある。とくに趣味性の高いスポーツモデルは大量に製造できず、購入するお客様も少ないから限定車になる」と述べる。事情はわかるが、欲しいクルマを買えないのはユーザーにとって辛いことだ。

しかも今は限定販売の車両が中古車市場で高値になり、新車価格を上まわる金額で販売されることもある。
限定販売の納期はさまざまだ。日本車の場合、販売店によると「カタロググレードと大差ない」という返答が多い。輸入車は「先に生産して輸出する場合、納期は短いが、魅力的な車種は発売すると短期間で売り切れる」という。いずれにしても契約は早目に行いたい。