この記事をまとめると
■現在のF1は予算制限により年間1億4550万ドルに抑えられるが、かつては600億円が投入されていた



■もっとも予算がかかるのはマシンの開発で、開発と製造のためには設備投資も必要となる



■働くスタッフの人件費やマーケティング・宣伝費用もチーム運営には必要となる



かつてのF1トップチームは年間600億円もの資金を必要とした

どんなカテゴリーにおいても、モータースポーツに参戦するためには、多くの活動予算が必要だ。現在、フォーミュラカーレースの頂点であるF1は、予算制限が導入されていることから年間で1億4550万ドル(約196億8000万円)に抑えられてはいるが、それ以前はトップチームになると600億円を投入していたと言われている。



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スポーツカーレースの頂点であるWECにおいても、LMP1の時代は120億~200億円を投入。

その4分の1の予算を目指して導入された現在のハイパーカーは、さまざまなコストカットが行われているようだが、筆者が思うに、実際にはLMP1とそう変わらない予算が使われているのではないだろうか。



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ラリー競技の頂点であるWRCも、ワークスチームの年間の活動予算は60億~120億円が相場と言われているが、なぜ、モータースポーツにはここまでの予算が必要なのだろうか?



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まず、活動予算でもっとも大きなウエイトを占めるのが、マシンの開発コストにほかならない。車体、エンジンはもちろん、エアロダイナミクスもエアトンネルを使用して製作。すべてのユニットにおいて試作→実験→走行テストを行なっていくことから、当然ながらマシンの開発には多くのコストが必要だ。



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これに加えてマシンを開発および製造、実験するための設備も必要で、トヨタGAZOOレーシングのフィンランドおよびエストニアの拠点をみても、設立当初はかなりの投資が必要となっていた。



モータースポーツ活動を続けるにはスポンサーやグッズ売上が重要

ちなみにカテゴリーにもよるが、近年はワークスチームもインハウスだけでなく、数多くのサプライヤーと連携してパーツ開発を行っていることから、それらの部品代にも多額の予算が加わっている。



もちろん、チームで働くスタッフの人件費も活動予算では大きなウエイトを占めている。マネジメントやエンジニア、メカニック、マーケティング、営業など、ワークスチームでは数多くのスタッフが必要となることから、人件費の支出も大きなものだろう。これらの人件費はインハウスだけでなく、アウトソージングしたとしても外注費は必要で、ドライバーとの契約料も含めて、ソフト面にも多額の活動費が必要となるのだ。



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そのほか、世界選手権ではマシンのロジスティックやスタッフの交通費・宿泊費も必須で、タイヤの購入費にも多額の予算が必要である。



さらに、トヨタGAZOOレーシングは、TVや雑誌、インターネットなどさまざまなメディアに広告を出しているが、モータースポーツ活動には宣伝もリンク。かつてWECに参戦していたアウディは、マシンの開発コストと同額の予算を宣伝やマーケティングに使用したと言われているが、そういった宣伝の予算もモータースポーツ活動には必要と言える。



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以上、世界選手権を中心にモータースポーツ活動の予算に触れてきたが、スーパーGTでもGT500のマシンの開発予算は10億円以上と推測されており、各チームの活動予算も3億円以上が必要になると言われている。GT300のFIA-GT3はマシンの開発コストは不要だが、マシンの購入費用として5000万~1億円5000万円のハード代が必要で、さらにソフト面が必要となることから、国内を中心としたカテゴリーとはいえ、かなりの活動予算が必要だ。



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これらの莫大の活動予算を捻出するために、国内外のチームはさまざまな企業に営業を行い、スポンサー料を得ているわけだが、それにプラスしてオリジナルパーツやグッズの販売を行うことで売上を出しているのである。

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