この記事をまとめると
■左折レーンの先頭で客を乗降車させているタクシーをよく目にする■このような行為は道交法第44条に禁止事項として明記されている
■タクシードライバーも乗客も心得ておくべきだ
利用客を左折レーンの先頭で乗降させるのは違法!
都市部でよく見かける光景に、交差点で客を乗降車させているタクシーというのがある。
後続車の流れを堰き止めることになるし、とくに左折レーンの先端だった場合、左折待ちのプチ渋滞が発生する……。
待たされた側としては、思わず「ちっ」と舌打ちしたくなる場面だが、そもそも交差点でタクシーが客を拾う(降ろす)のは、違法になるのでは???
結論からするとその通り。
駐停車禁止場所については、道路交通法第44条(停車及び駐車を禁止する場所)に
一)交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾配の急な坂又はトンネル
二)交差点の側端又は道路の曲がり角から五メートル以内の部分
三)横断歩道又は自転車横断帯の前後の側端からそれぞれ前後に五メートル以内の部分
四)安全地帯が設けられている道路の当該安全地帯の左側の部分及び当該部分の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分
五)乗合自動車の停留所又はトロリーバス若しくは路面電車の停留場を表示する標示柱又は標示板が設けられている位置から十メートル以内の部分(当該停留所又は停留場に係る運行系統に属する乗合自動車、トロリーバス又は路面電車の運行時間中に限る。)
六)踏切の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分
と明記されていて、交差点や横断歩道から5メートル以内は駐車はもちろん、停車すら許されていない。

この規則は、もちろんタクシーも従う必要がある。
タクシードライバーであれば、この法律を知らないわけがないのだが、なぜ頻繁にこの光景を目撃するのか。

タクシードライバーも乗客も理解しておくべき
ひとつは客の要望。タクシー待ちをしている客が交差点で手を挙げるケースは珍しくないし、降りるときも「次の交差点で止めてくれ」とオーダーするパターンは多い。
タクシー側としては、乗りたいお客は捕まえたいし、下手にスルーして「乗車拒否」だと思われ通報されても厄介だし、降りたい場所のリクエストに応えないと、クレームも……。

こうした理由から、違法と知りつつ「ちょっとだけ」「今回だけ」と、交差点でお客の乗降を行なっているのが実情だろう。
また、歩道と車道の間にガードレールや植え込みが続いていて、乗降したり、道の左側に寄せてドアを開けられるスペースがあるのが、交差点付近しかなかったという例もありうるかもしれない。

しかしながら、交差点付近でタクシーを止めるのは、明らかに違法なので、乗客側もそのことは理解してタクシーを利用して欲しいし、タクシー側も法令遵守の精神は重要。
最近はドライブレコーダーや防犯カメラも広く普及しているので、証拠を突きつけられると面倒なことになりかねない(駐停車禁止場所違反 違反点数3点 反則金:普通車1万2,000円)。

なお、交差点付近で客を乗り降りさせているタクシーに対し、クラクションを鳴らしたりすると、そのクラクションを鳴らす行為が違法になるので、こちらも注意が必要。

以前はタクシーなど営業車には警察も大目に見る傾向があったが、昨今は営業車にも甘くはないようだ(もっとも営業車、自家用車にかかわらず、交差点での人の乗り降りに関しては、警察官に見られても口頭注意程度で済むのが普通)。

一方で、こうしたルールはあまり杓子定規になるのも狭量なので、後続車や周囲の歩行者、自転車に迷惑をかけなければ、ギリギリセーフというのが、現実的な落としどころだといえるのではないだろうか。