この記事をまとめると
■2023年3月22日~4月2日にバンコク国際モーターショーが開催■スバルのブースの展示車両に『売約済み』のカードが掲げられていた
■海外のモーターショーでは新車の販売を行うことがある
海外ではモーターショーでクルマを購入するのが普通!?
タイの首都バンコク近郊で毎年春に開催されるのがバンコク国際モーターショー(以下バンコクショー)。44回目となる今回は3月22日から4月2日の期間で開催された。
モーターショーとはいうものの、東京モーターショー(2023年開催からジャパンモビリティショーへ改名)と大きく異なるのはトレードショー色が強い、つまり会場内で積極的に新車販売を行うところである。
写真はスバルブースで見かけたもの。展示されているフォレスターが一般公開初日に『売約済み』となっていた。

東京モーターショーでは毎回、総来場者数が話題となる。ところがバンコクショーでは累計来場者数のほかに、会期中の新車成約台数というものも毎回公表されている。「新車ディーラーで商談するよりも、モーターショー会場を訪れて商談するほうが契約がもらいやすいそうです。モーターショーは『クルマのお祭り』のようなものですから、気持ちも高揚し、気前よく買ってしまうお客さんも多いようです」とは事情通。そのため、新車ディーラーのセールスマンが購入見込み客をモーターショー会場に積極的に招待しているとのことなので、相乗効果として累計来場者数増にも貢献することになるだろう。

過去には「展示車が欲しい」という買い方も
少し前の中国のモーターショーでは、会場に展示されている超高級車やスーパーカーをショー会場で買うのがステイタスとされていた。そもそも中国で自動車産業が本格的に立ち上がろうとしていたころには、製造品質にバラつきがあったそうで、カタログを見て「このグレードで……」といった新車の買い方をせずに、「展示してあるこの実車が欲しい」という買い方が目立っていたとのこと。

バンコクショー会場の盛り上がりは、『ガチ』で新車購入を考えて来場する人が多く、そして積極的に売ろうという姿勢が各メーカーブースにもある、どこか緊張感のようなものがあることも大きいのかもしれない。

東京モーターショーは『万国びっくりショー』に徹して新車を売らなくなった。それはタイとは異なり多数の自国量販ブランドが存在し、しかも高い技術力があり、それを見に世界から多数のメディアも含むひとたちがやってきていたことも大きいだろう。ただ、令和の世の中になっては日本車の技術力がとくに世界的に秀でたものであるというわけでもない。ジャパンモビリティショーと改名したこのタイミングで、いま一度バンコクショーのようにトレードショー色を強めたものに戻すというのもいいかもしれない(主催が新車販売の業界団体ではなく日本自動車工業会では難しい?)。
