この記事をまとめると
■新型アルファードはハイエンドミニバンのなかで人気を維持し続けられるのかを考察



■これまでアルファードはダントツな販売台数を誇り、今後もその可能性は極めて高い



■ライバルとなりうるのは同社内のレクサスLMくらいかもしれない



ついに登場した王者感ただよう新型アルファード

今回のお題は、「新型アルファードはN-BOX化するのか?」である。つまり、国産ハイエンドミニバン(レクサスLMとともに)のジャンルで、スーパーハイト系軽自動車のN-BOXが独走を続けているように、「ライバルを寄せ付けない人気、販売台数を今後も維持し続けられるのか?」という意味だ。



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答えは、「当分は、間違いない」と断言したい。

国産ミニバンの各社ハイエンドモデルを改めて紹介すると、トヨタが2023年6月に発売したアルファードと、ある意味復活したヴェルファイア、日産が2010年から延々と作り続けている3代目E52型のエルグランド(2024年に新型登場のウワサあり)、そしてホンダが2021年末に国内での生産を終了するも市場からの要望に応え、中国生産車を新型として2023年秋から受注予約を開始するオデッセイの3車に限られる。



そして、先代モデル以前でも、国産ハイエンドミニバンとして独占、独走状態だったのがトヨタ・アルファードなのである。その理由をいくつか挙げると、先代モデルの2017年12月のビッグチェンジがアルファード人気に拍車をかけたと考えられる。



新型アルファードはN-BOX化する? いや、それどころじゃないライバルなしの孤高の存在になることは確実!
トヨタ・アルファードのフロントスタイリング



ボディ剛性が高められ、先進運転支援機能のトヨタ・セーフティセンスがアップデートされ、新3.5リッターV6エンジン301馬力+8速ATを新搭載。乗り心地、操縦性、V6モデルの動力性能などを大幅にアップグレード。が、最大の改良点、人気爆発のポイントは、アルファードの顔つきにあると確信する。それまで強面のヴェルファイア、上品な顔つきのアルファードという図式を逆転させるほどの大迫力顔、フロントグリルがアルファードに与えられたのである。これを機に、国産ハイエンドミニバンを望む一般ユーザーはもちろん、VIP、会社社長、芸能人、政治家のアルファード人気が一気に高まったといっていいのである。



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トヨタ・アルファードの真正面フロントスタイリング



結果、それまでトヨタ・クラウン、レクサスLSなどのセダン、サルーンに乗っていた人たちが、こぞってミニバンのアルファードに乗り換え始めたのである。顔つきの堂々感や迫力に加え、両側スライドによる、セダンやサルーンとは別格の後席の乗降性の良さ、居住空間のゆとり、エグゼクティブラウンジ仕様の豪華さ、ハイブリッドモデルに用意されたAC100V/1500Wコンセントによる車内のオフィス化が可能な点などが、乗り換えを決定づけたはずである。



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トヨタ・アルファードのリヤシート



そして販売台数が急増。そもそも堅いお偉いさんはクラウンやレクサスLSなどのトヨタ車愛用者が多かったから、トヨタ内での乗り換え需要も極めて多かったことは想像に難くない。



しかも、それまでトヨタファンではなかったVIPまで、アルファード人気を聞きつけてか、あるいはリムジンに代わる世界を堪能できることを知ってか、幅広いユーザーが続々とアルファードオーナーになったというわけだ。ボクの知り合いのクルマ好きの大物プロデューサー、会社社長も、ここ最近はアルファード(先代)を社用車として採用し始めている。



もはやライバルは身内にしかいない

で、本題。新型アルファードがN-BOX化、つまり国産ハイエンドミニバンとして今後も孤高の存在であり続けられるかだが、N-BOX化どころじゃないと考える。



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トヨタ・アルファードのフロントスタイリング



だって、N-BOXはたしかに軽自動車、スーパーハイト系軽自動車のジャンルで独走を続けているし、国内の新車販売台数でも常に上位にランキングされてはいるものの、たとえば2023年6月の軽自動車の新車販売台数ランキングでは、1万6040台を記録して1位を記録しているものの、同ジャンルのスーパーハイト系軽自動車のタントが2位の1万4572台につけているのも事実。完全な独走ともいい切れない。スペーシアが1位だった月も過去にはあるのだ。



が、これまでの国産ハイエンドミニバンの新車販売台数を振り返ればわかるように、このクラスでアルファードに販売台数で迫るようなライバルは皆無だった。トヨタの販売力もさることながら、黒塗りも似合うライバルを寄せつけないデザイン性、存在感、エルグランドにないハイブリッドの用意、VIPに刺さる「エグゼクティブラウンジ」といったグレード名、さらに先代の場合では、2列目席が4種類から選べる選択肢の豊富さ、価格帯の幅広さ、室内高1400mmによる圧倒的な室内空間のゆとり、装備類の充実度を含め、ハイエンドミニバンを望む一般ユーザーからVIPのクルマの使い方にも寄り添うもてなし感など、どう見てもアルファードはライバルの追随を許さない存在であり続けてきたわけだ。



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トヨタ・アルファードのリヤシート



では、近い将来、ホンダ・オデッセイの新型(といっても改良版だが)、日産エルグランドの新型が登場してその図式が変わるかといえば、もはやVIPの乗るクルマとして定番化されたアルファードの牙城を崩すのは極めて難しいと思える。トヨタ・アルファードのライバルは、直近では、同社内のレクサスLMでしかない……というのが、これから先に展開される図式になるはずだ。もっとも、LMの価格はアルファードの倍以上ともされていて、VIPを含めた誰もがおいそれと手を出せるクルマではないことも事実。



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レクサスLMのフロントスタイリング



さらに、現在ではまずは国産ハイエンドミニバンファン、VIPに向けたエグゼクティブラウンジ、Zというアルファードのなかでもハイエンドなグレード、豪華な2列目キャプテンシートのみのグレード展開になっているものの、この先、比較的リーズナブルな価格帯のモデルが追加されれば、さらに一般ユーザー、ファミリーユーザーを巻き込んだアルファード人気が超爆発的に高まることは必至。ますます、「N-BOX化」どころじゃない、ライバルをどうにも寄せつけない存在になるに違いなさそうなのである。



新型アルファードはN-BOX化する? いや、それどころじゃないライバルなしの孤高の存在になることは確実!
トヨタ/アルファードのリヤシート



とはいえ、国産ハイエンドミニバンの選択肢がほぼアルファード一択ではつまらないではないか。ここは、国産ハイエンドミニバンで唯一、アルファードに対抗できる可能性がある日産エルグランドの次期型(e-POWERやプロパイロット2.0搭載?)に大いに頑張ってほしいと願うばかりである。

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