この記事をまとめると
■クルマは長期保管しているとさまざまな箇所が傷んでくる■長期間放置しているとエンジン内のオイルがオイルパンへ落ちてしまう
■コールドスタートするとエンジン内が痛みやすいほかバッテリーやブレーキも劣化しやすい
長い間クルマを動かなさかったら次に乗るときどうすればいい?
クルマを長い間動かしてないとき、次にエンジンをかける際に大きなダメージを与えることがあるという。では、どうしたらいいのか、どれくらいの期間あけたらダメなのだろうか。
エンジンにもっとも厳しいのはドライスタートだと言われる。
ヘッドにオイルがなくてカラカラの状況でカムシャフトがまわることによって、バルブを押したり、ピストンが上下するときにオイルがまわっていないと金属同士が直接摩擦してダメージを受けてしまうことを指す。
なので、長期保管車両の再始動時はスパークプラグを一旦外して圧縮が抜けるようにして負担を減らし、エンジンがかからない状況で何度かセルモーターをまわして、オイルポンプからオイルを圧送したほうが良いとされる。

名門レーシングガレージである「つちやエンジニアリング」の故土屋春雄さんは、「プラグホールからオイルをちょっとだけ入れたほうがいい。じゃないとシリンダーが焼き付いちゃう」と言って、古いレーシングカーの再始動時にはとくに気をつけていた記憶がある。

このように、長期間保管していて、ヘッド内部のオイルが完全にカラカラになってしまっていたなら、多少手間ではあるが、プラグを外してクランキングをするのが無難だ。
そのほか気をつけたいのは、長期間保管していた車両だとプラグホールにホコリが溜まっていることも多い。なので、あらかじめエアブローなどで綺麗にしてからブラグを外さないと、そのホコリがシリンダーに落ちて思わぬトラブルを招くこともあるので要注意だ。
エンジンも大事だがバッテリーやブレーキの劣化にも要注意
では、「どれくらいの期間保管していたらプラグを外してクランキングしたほうがいいか?」というのが難しいところ。雪国ではスポーツカーを半年近く動かさずに保管している人も多いというが、プラグを外さずに再始動したからエンジンが壊れてしまったという人がいるかというと、じつは滅多にいない。
とはいえ、ドライスタートによるダメージはいきなりエンジンがブローするわけではなく、徐々にシリンダーやカムに傷が入ることでダメージを受けている可能性もあるので、半年くらいの保管なら絶対に大丈夫とも言い切れない。

なんとも言えないところなので、結局のところ「どっちが正解か」言い切れない。
ちなみに、エンジン内部のほかにも長期保管をするとたくさんの問題が起きる。
まずはバッテリー。自然と放電してしまうし、最初にオイルをまわすためにクランキングもするので、十分に充電しておくか、ジャンプスタートするか、新品バッテリーにするなどの対策を講じたい。

エアクリーナフィルターも年単位で放置すると素材が粉になってしまうことがある。そのままエンジンに吸い込んでしまうとよくないので交換しておいたほうが良い。
ほかにもブレーキキャリパーのシールが固着して、ブレーキを引きずってしまったり、ブレーキマスターシリンダーやクラッチマスターシリンダーからオイル漏れをすることもある。

筆者の場合はAE86でリヤデフケースからオイルが漏れてきた。硬化したパッキンに熱が入ってダメージを受けたと思われる。そういったありとあらゆる部分からトラブルが起きることがあるので、年単位で寝かせていたクルマの場合は、再始動後はプロの手で下まわりなどをチェックしてもらうことをオススメする。

※画像はイメージ
古い燃料も抜くか、できるだけ早く使い切って新しいガソリンに入れ替えたいし、オイルも再始動後は交換がオススメ。