この記事をまとめると
■ドライブをゆったりと楽しめる現行のクルマをピックアップ■かつて古いアメリカ車はフワッとしたシートや細いステアリングなど気持ちをおおらかにしてくれた
■現代ではスバル車にゆったりとドライブできるクルマが多い
ゆったりドライビングカーといえばかつてはアメ車が定番
ドライブをゆったりと楽しめるクルマ……、筆者の過去の試乗経験からいえば、かなり古い話にはなるものの、アメリカ車のビュイック・パークアベニュー、キャデラック・エルドラドなどがそうだった。豪華絢爛とした内装、フワッとしたソファそのもののシートのかけ心地と乗り心地は、ステアリングを握ると気持ちまでおおらかにしてくれたものだ。また、心を落ち着かせてくれるジェントルさ溢れる乗り味を示してくれたクルマにはジャガーがあった。
が、アメリカ車も最近は欧州車に匹敵するしっかりとした乗り味、機敏な操縦性、ドシリとした乗り心地にシフト。昔のアメリカ映画に出てくるような、フロントベンチシートで細身のステアリング、クルマを運転していることを忘れさせてくれるような操縦感覚、乗り心地を味わえるアメ車はもう望みにくい。
とはいえ、現代のクルマでも、ドライブ、運転をゆったりとした気分で味わえるクルマがある。たとえばスバル・クロストレックの17インチタイヤを装着するツーリングのFFがそうだ。

操縦性はしっかりしているものの、シートのソファ感ある絶妙に快適なかけ心地、ゆったりとした乗り味がじつに心地よく、爽快な気分のままストレスフリーで目的地にたどり着くことができる(たとえ遠路でも)。
スバルではレガシイ・アウトバックもゆったり乗れる1台。何しろ主な仕向け地は北米。大柄でおおらかな乗り味を身の上としている。ハンズオフも可能なアイサイトによる安楽な運転もそうしたゆったり快適なドライブに拍車をかける。

そんなスバル車に新たに加わるのが、レヴォーグ・レイバックだ。つまり、レガシィツーリングワゴンの時代から受け継がれるスバル自慢のスポーツワゴンのキャラクターに、クロストレック的なクロスオーバーテイストを加えた新型車。

「レイバック」の意味は、ロックミュージックでもそうであるように、「ゆったり、のんびりしたさま」であり、ワゴンのレヴォーグの「ゆったり乗れる」バージョンと言っていいだろう。
大きくて重いSUVはゆったりカーの条件にもぴったり
クルマのゆったりとした乗り味は、サイズ、車重に左右されることもある。ある程度大きく重いクルマ、たとえばSUVが有利だ。「上質」をテーマに開発された最新の日産エクストレイルe-4ORCEはまさにそうで、電動駆動ならではの滑らかさと静かさある走行性能はもちろん、フロントシートのかけ心地の良さ、リヤダンパーに周波数感応式ダンパーを備えたフラット極まる乗り心地による快適度は特筆もの。ゆったりとした走り、スポーティな走り、アクティブな走りをシーンによって見事に両立できるのである。

同CMF-C/Dプラットフォームを採用する三菱アウトランダー(PHEV)も、エコモードでの走りは絶大なる安心感とゆったり感に包まれたものになる。
車重2トン近いセダンの燃料電池車=FCVである、ハンズオフドライブも可能なAdvanced Driveを備えた、トヨタMIRAIの乗り味も、まさにゆったり。とにかくフラットでしなやか。欧州の高級車と比較しても遜色のない高級感とおおらかな快適感溢れる乗り味を提供してくれる1台だ。

比較的手ごろな価格の輸入車では、やはりフランス車、それも旧来のフランス車のあの乗り味を残すシトロエンC3エアクロス、そしてゆったりのんびり走る楽しさを存分に味わえる超ユーティリティカーのルノー・カングーがある。

最新モデルのカングーは、ルノー、日産、三菱のアライアンスで開発したミドルクラス用CMF-C/Dプラットフォームを新採用。すでに取り上げた日産エクストレイルを始め、三菱アウトランダーなどにも使われるもので、先代に比べ走りのしっかり感、先進運転支援システムの充実度こそ一気に強まったものの、ドライブフィールは出足からもう感動モノ。
軽々として扱いやすいアクセルペダルの踏み込み加減によるコントロール性の良さ、先代とは一線を画す走りやすさと気持ちのいい軽快感溢れる、良路ではまるで滑走するような走行性能の洗練度、カングーのキャラクターとして十分以上の動力性能、車内の静かさ、それらがもたらす爽快かつ心地よいドライビングフィールをもたらしてくれるのだ。
とくにディーゼルターボエンジンに対して90kg軽い車重、鼻先の軽さある、筆者のお薦めでもあるガソリンターボモデルでその印象が強い。