この記事をまとめると
■20年くらい前にLEDのテールランプが登場して以来、現在では広く普及している■このLEDテールランプはひと粒でも球が切れていると車検はNGと言われている
■もし切れてしまうと修理が大変なほか、場合によってはレンズごと交換になる可能性もある
いまや珍しくないLEDテールランプにまつわる噂の真相
現在では標準仕様となった感のある「LEDテールランプ」。これが市販車に採用されだしたのは平成15年頃からで、もう20年も前になります。出始めた当初は高級車の特別な装備としてアピールされていたのを思い出しますが、それがいまや軽自動車にも採用されて、LEDではない車種を探すのが困難なほどに普及しています。
そんなLEDテールランプですが、車検では「1球でも切れてしまっているとはじかれてしまう」なんていうウワサを耳にしたことはあるでしょうか? ここではそのウワサの真相を究明してみたいと思います。
なぜLEDテールランプが普及したのか?
本題に入る前に、LEDテールランプがここまで普及したワケと、その特徴について触れておきたいと思います。
LEDとは、みなさんご存じのように、通電すると発光する半導体によって電子的に光る仕組みのもので、「フィラメント」に頼らず発光できます。ひと昔前のクルマでは当たり前だった「白熱電球」は、「フィラメント」という、電気を通すと発熱して光を発する仕組みのものです。自動車に限らず電球と言えばこの「白熱電球」のことを指し、街の明かりを支えていました。

しかし、この「白熱電球」の命である「フィラメント」というのが最大の欠点でもありました。発熱で光を発する仕組みゆえにエネルギー効率が良くないのです。さらには、極細の金属線をコイル状にしたものなので、過熱やショックで切れてしまうことがあるんです。
そのふたつの大きな欠点を払拭してくれる存在として「LED電球」が登場し、一躍注目されるようになりました。LED電球は繊細なフィラメントを持たないので「球切れしにくい」と言われています。

しかし、物である以上は壊れます。白熱電球と比べて20倍の寿命なんて言われたりしますが、製造誤差や使用状況などで寿命が短い固体もありますので、あんまり過信しすぎるのも禁物でしょう。
たった一灯でも切れてると本当にアウトなの?
車検ではどういう決まりになっている?
自動車に話を戻します。白熱電球の時代は、テールランプが片方消えたままの車両をたまに見かけましたが、LEDの場合は片側丸ごと消えているというケースはめったに見掛けなくなったものの、ランプの一部が切れて点いていないというケースを見かけるようになりました。

結論を言ってしまうと「アウト」です。「ひと粒くらいで大げさな!」とも思いますが、規則上は「作動(点灯)するべきものが故障(不点灯)している状態はNG」という決まりになっているので、たとえひと粒でもアウトなんです。ちなみに規則上は「不点灯灯火」と言うらしいです。
球切れはどう対処すれば良いの?
電球タイプなら、トランクを開けて裏のカバーを外してバルブ交換という手順なので、ちょっと整備を経験している人なら簡単に復帰させられるのですが、LEDテールランプの場合はそうはいかないものがほとんどです。
そもそも電球交換を前提に作られていないので、修理するにはテールランプのユニットごと交換するか、専門の業者さんに依頼して分解修理するしかありません。これは素人にはとうてい無理な作業です。当然修理代は数万円という結構な額になってしまいます。ちなみにこれはテールランプに留まらず、ハイマウント・ストップランプにも該当するので注意してください。

このLEDテールランプ、年代が古いほど故障の頻度が多いようです。高年式の車種は改良を積み重ねた結果、信頼性が上がっているということでしょう。ただ、故障が多いということは、きちっと乗られていた車輌なら修理済みな場合が多いでしょう。交換の際は対策済み部品に切り替わっているかもしれませんので、一概にダメというわけではないと思います。

いずれにしても、LEDテールランプは修理に手間と時間がかかる部品なので、車検に出す際は、少し余裕を持って事前に球切れをチェックしておくことをオススメします。