この記事をまとめると
■「あなたにとってのクルマはどういう存在ですか?」という質問にライターが回答■カーライフジャーナリストのまるも亜希子さんは元々は通学のためにクルマを買ったという
■その後、クルマの魅力に取り憑かれ、それを広めるために自動車メディアの世界に飛び込んだ
クルマを乗るきっかけになったのは「通学」でした
私にとってクルマは人生の相棒であり、マイルームであり、レッスン室であり反省会の場であり、カラオケボックスにも更衣室にも仮眠室にもなり、家族や友人たちとの思い出を作ってくれる大事なアイテムです。そして、初対面の人とも打ち解けるきっかけを作ってくれるものであり、人や場所や景色、グルメなど、思いもよらない出会いをくれるものでもあります。
しかしじつは、幼い頃からとくにクルマに興味があったわけではなく、18歳になっても免許を取るつもりもなかったものでした。
それが一変したのは、大学への通学のため地方でひとり暮らしをするようになってから。そこでは電車は1時間に数本しかなく、大学の最寄り駅からでもバスで30分もかかる。朝夕の渋滞時にはその倍以上の通学時間がかかってしまい、講義に遅刻しまくってあわや単位を落としそうに! そこで友人に勧められたのが、マイカー通学だったのです。「裏道を走ってくれば、すっごくラクだよ」と言われて一大決心。
※大学キャンパスのイメージ
それからは教習所の費用と初めてのマイカー購入費用を、アルバイトでせっせと貯める日々でした。半年くらいかかって、ようやく免許とマイカーを手にしたのですが、まわりの先輩たちのちょっと変わったクルマ趣味に影響されて、初めてのマイカーは激安だったフォルクスワーゲン・ビートル。

年式不明だけど恐らく1974年式で、リヤフードの内部にキャブエンジンが収まり、オートロックもエアコンもパワステもない、時代遅れのポンコツでした。
ビートルが与えてくれた「自由の翼」
でも、そんなポンコツが私にくれたものは、まさに「自由の翼」だったのです。通学がラクになっただけでなく、電車がない深夜だって早朝だって、いつでも好きな時間に好きな場所へ行ける。道が続くかぎり、私はどこへでも行けるんだと思っただけで、夢と希望とワクワクがどんどん膨らんでいったのを覚えています。
イヤなことがあった日も、不安に潰されそうになったときも、クルマという半プライベート空間に身を置き、流れる景色を見ながらドライブしていると、スーッと心を鎮めることができました。

こういう気持ちをまだ知らない人たちに、クルマの魅力として伝えたい。不自由な毎日を過ごしている人や、自分を取り戻す術を探している人たちにも、クルマがそれを助ける相棒になってくれることを知ってほしい。そんな想いが、自動車メディアの世界に飛び込むきっかけになったのです。
時代は変わり、カーボンニュートラルや原油高などさまざまな要因で、クルマは悪者にされてしまうこともある現代。たしかに「移動」という目的だけで考えれば、クルマよりももっと賢く、経済的で、地球環境のために良い手段がたくさんあるのは事実です。目的に合わせてそれらを選択することによって、少しでもSDGsに務めることは現代を生きる私たちの義務。
だけど、クルマには「移動」だけでなく、人生を豊かにしたり、家族や仲間たちとの絆を深めたり、明日への原動力を作ってくれたりといった、多くの魅力があると信じます。それらを未来の人たちに残せるように、クルマのある人生をつないでいくお手伝いをすることが、私からクルマへの恩返しかなと思っています。