この記事をまとめると
■ステランティスの電動化の一環で1950~70年代に人気を博したモデルがマイクロBEVとして復活■シトロエン・アミ、フィアット・トポリーノ、オペル・ロックスeはベースを同じくする兄弟マイクロBEV
■アミ・トポリーノ・ロックスeの日本導入を期待したい
マイクロBEVとなったシトロエン・アミ
2025年までに全車種を電動化すると宣言しているシトロエンをはじめ、BEVやPHEVモデルの拡充を加速しているステランティス。往年のクルマ好きからすると、ちょっと寂しい気持ちになってしまうところもあるかもしれませんが、ガッカリするのはまだ早い!?
じつは1950年代~1970年代に人気を博したアミ、トポリーノといった懐かしい名前が、ちっちゃくてかわいいクルマに変身して現代によみがえるという、ワクワクする現象が起こっているのです。
最初に登場したのは、2020年に発表されたシトロエン・アミ。
2ドア、2シーターのBEVで、車両重量は485kgと軽く、最小回転半径が3.6mというから狭い街中でも抜群の取り回し性能を誇ります。バッテリーは5.5kWhのリチウムイオンで床下に置かれており、220Vソケットで約3時間で充電が完了するといいます。

一充電あたりの航続距離は最長70kmほどと短いのですが、シトロエンはこのアミをバスや地下鉄、バイクや自転車、キックボードなどの代替モビリティとして開発しているというから、70kmで十分まかなえる計算です。モーターの最大出力は6kWというアミの走りは、いったいどんな感覚なのか気になりますね。
運転席側のドアは乗降性を考えた逆ヒンジタイプで、日本では昔のスバル360を思い浮かべるとわかりやすいでしょうか。ドアのインナーハンドルがストラップになっているのもオシャレ。

インテリアはシンプルで、ダッシュボード一面が収納スペースになり、ステアリングの隣りにスマホが置けるホルダーがあります。ドライバーはそのスマホをディスプレイ代わりに使い、距離やバッテリー残量、充電状況などを確認したり、ナビや音楽プレーヤーとして活用したり、快適なドライブができようになっています。
アミの兄弟車としてフィアット・トポリーノも復活
さて、続いてこのアミをベースに開発されたのが、フィアット・トポリーノ。イタリア語で小さなネズミを意味するトポリーノは、初代フィアット500の愛称として有名ですが、まさにBEVとなったトポリーノのデザインは、“500ミニ”とでも呼びたくなるくらい、あの愛らしいデザインを継承しています。

パッケージングはアミと共通ですが、トポリーノはルーフがキャンバストップになっていたり、ドアの代わりにロープがぶら下がっていたりと、とってもキュート。これはビーチリゾートが大好きなイタリア人らしく、海辺を走るビーチカーをイメージした演出だそうで、カプリ島やイスキア島といったアイランドリゾートでは、日本の軽自動車でもギリギリ通れるくらいの狭い坂道ばかりの観光地も多いため、そうした場所で重宝されそうな予感です。

さらに、アミ、トポリーノの兄弟車となるもう1台が、オペル・ロックスe。こちらのデザインはフェンダー左右にストライプがあしらわれ、フロントマスクがツートーンとなるなど、クールで大人っぽい雰囲気が特徴です。

ブラックを基調に、鮮やかなイエローがところどころに挿し色として使われているのもオシャレ。ドアも両側に装備されています。
こうした3ブランドそれそれの個性が満載となったマイクロEVを見ているだけでも、乗ってみたいと楽しい気分になりますが、なんと派生モデルまで登場しているからビックリ。
2023年10月に初公開されたのは、オープンホイールでワイルドに変身した、オペル・ロックスe-EXTREME。コンセプトカーですが、ちびっこギャングと呼びたくなるような、イケイケのオフローダーとなっているのです。

デザインはもちろんのこと、足まわりの総合メーカーとして知られるH&R社と協力して実現したという、ユニークなダンパーが見どころのひとつ。H&R社といえば、メルセデス・ベンツGクラスやスズキ・ジムニーのサスペンションなども手がけているメーカーなので、なおのこと走らせてみたくなりますね。
また、実際に販売されたモデルとしてアミのマイ・アミ・バギーがありますが、これはフランス本国で限定50台で発売したところ、開始から17分28秒で即完売したというほどの大人気。

大きな特徴であるエクステリアは、カーキのボディカラーにゴールドのホイールがクールなイメージ。そこに、強化タイプの前後バンパーやライトまわりのトリム、張り出したホイールアーチやリヤスポイラーがマッチョな雰囲気を演出しており、取り外し式のソフトトップと、交換可能なヒンジ付きの金属製チューブドアが装備されていて、どこかジープのようなワイルドな雰囲気も醸し出しています。
こうしたワクワクするようなマイクロEVたちは、いまのところ日本導入のアナウンスはないのですが、可能性はゼロではない模様。カギを握るのは法規をクリアできるかどうか、充電規格に対応できるかどうか、というところで、確かにハードルは高そうですが、そこは期待して待ちたいですね。