この記事をまとめると
■JMSのトヨタブースで発表された「IMV 0」が「ハイラックスチャンプ」として登場■日本ではなくタイで販売され、デッキレス仕様も用意される
■トラックはもちろん、キャンピングカーのベースとしても活用できそう
JMSに置かれていたトラックがまさかの市販化!
ジャパンモビリティショー(JMS)においてトヨタが展示していた「IMV 0」を覚えているだろうか。いかにも無骨なルックスは、誰もが思う「働くクルマ」を具現化したといえるもので、シンプルで力強い道具感あふれる外観からさまざまなシーンでの活用を想像した人も多いだろう。
そんな「IMV 0」の量産・市販が発表された。
現地での販売価格帯は45.9万~57.7万バーツ。1バーツを約4.2円で計算すると、193万~242万円となる。2リッターガソリン、2.7リッターガソリン、2.4リッターディーゼルというそこそこ大きなエンジンを載せていること、ロングホイールベース仕様では全長5.3mという立派な体躯であることを考えると、じつにリーズナブルな価格設定になっているといえるだろう。
ちなみに、ボディ幅は1785mm、全高は1735mmとなっている。日本で売られているハイラックスのサイズが全長5320mm・全幅1900mm・全高1840mmだから、タイ仕様のハイラックスチャンプは少し小さめという印象だ。なお、ホイールベースの3085mmは、現行ハイラックスも新生ハイラックスチャンプでも同じ数値となっている。

ところで、IMV 0(ハイラックスチャンプ)のコンセプトは『自由な拡張性で暮らし豊かにするモビリティ』となっている。
「自由な拡張性」を具現化しているのがデッキ(荷台)の設計だ。具体的には、標準装備されるデッキ各所にボルト穴を設けることで、さまざまな架装を固定しやすいようにしている。また、デッキレスの仕様も用意することで、ユーザーのニーズに合わせたカスタマイズがしやすい設計となっているのもIMV 0の特徴だ。

ジャパンモビリティショーでも示されたように、移動販売仕様やキャンピングカーなどの架装を施して、自分だけのIMV 0を作り上げていくことが可能というわけだ。
架装業者との連携でユーザーが一気に広がる可能性も
コロナ禍以降、日本では車中泊やキャンピングカーへのニーズが高まっている。そのなかで、軽トラや小型トラックの荷台にキャンピングシェルを載せるといった手法も広まっている。もし、IMV 0が日本でも発売されることがあれば、そのデッキに合わせたキャンピングシェルが登場することが期待できるのではないだろうか。
また、前述したようにハイラックスチャンプにはデッキレス仕様もラインアップされている。キャンピングカーの世界では、そうした架装用ボディを使ってキャンピングカーを製作する手法を「キャブコン」と呼んでいる。

キャンピングカービルダー(製作者)向けにデッキレスのIMV 0が供給されるようになれば、この顔のキャンピングカーを目にする機会も増えるかもしれない。
そもそも、トラックというのはキャブ(運転席部分)だけで販売して、荷台部分は架装業者などが手がけるというビジネスモデルが一般的ともいえる。トラックメーカーと架装業者がよい関係を築くことは、ユーザーベネフィットを生み出してくれるのだ。

トヨタがハイラックスチャンプを発表したタイにおいては、100社以上の架装業者についての情報提供を行うということだが、架装業者やビルダーと一体化したエコシステムの構築は、ユーザーにはメリットとなること間違いない。
日本でIMV 0が発売されるのかどうかは明らかになっていないが、ジャパンモビリティショーで展示されたということは日本市場の反応を見たことは確実だ。

タイ同様に、架装業者と連携して市販されるようなことがあれば、日本においてもピックアップトラックが市民のパートナーとして選ばれる時代がやって来るかもしれない。