この記事をまとめると
■トヨタは東京オートサロン2024にブースを出展■TOYOTA GAZOO Racingが「進化型GRヤリス」を初公開した
■もっとも注目をしたいのは新たに設定された8速ATだ
TAS2024で「進化型GRヤリス」を初公開!
世界最大級のカスタムカーショー「TOKYO AUTO SALON(東京オートサロン)2024」が開幕。TOYOTA GAZOO Racingは、「進化型GRヤリス」を初公開した。
「トヨタのスポーツカーを取り戻したい」という想いとともに誕生したGRヤリス。
2020年のラインオフを「開発のスタート」と定め、以来3年半に渡るモータースポーツでの「壊しては直し」を経た進化型が満を持しての登場となった。WRCをはじめ、スーパー耐久やジムカーナといった幅広いジャンルで、限界まで追い込んだレーサーやメカニックの意見を反映し、レースシーンやスポーツ走行でのドライバーファーストを目指したという。
もっとも注目を集めたのは、新たに設定された8速AT。より多くのドライバーに走る楽しみを実現するために新開発された「GR-DAT(ダイレクト・オートマティック・トランスミッション)」であると同時に、レースにおいてMTと同等に戦えることが目標に掲げられている。

6速MTよりも多段化し、よりクロスしたレシオによってパワーバンドが活かせることはもちろんだが、Dレンジのスポーツ走行に本気で取り組んだ仕様だという。
レースからフィードバックされた情報をプログラミングすることで、プロドライバーも舌を巻くギヤセレクトとシフトタイミング、そして世界トップレベルの素早い変速を実現。ハンドルとブレーキに集中して、変速はクルマまかせという可能性を示唆している。
コクピットもドライバーファーストを追求
1.6リッター直列3気筒ターボは、200kW(272馬力)から224kW(304馬力)へと34馬力のパワーアップを果たし、トルクは370Nm(37.7kgf/m) から400Nm(40.8kgf/m)へと高められた。高出力化に合わせて、冷却効率向上を目指したデザイン変更が施され、スチールメッシュやバンパーのロアサイドにアウトレットを追加。GR-DAT搭載車両には空冷のATFクーラーが標準で装備されるなど冷却対策も万全だ。

操縦安定性や耐久強度の基本となるシャシーとボディも見えない進化を遂げており、スポット溶接の打点を13%増加、構造用接着剤の塗布部位を24%拡大することでボディ剛性が高められている。
コクピットもまたドライバーファーストが追求されている。操作パネルや各種ディスプレイをドライバー側に傾ける形で設置しているのは、スーパー耐久の現場からのフィードバック。シートベルトでシートに固定された状態での操作が可能だ。
また、ATのシフトレバーは現行のGRヤリスRSよりも高い位置に設置され、MTモデルと同等の位置に。パドルシフトによる変速も可能だが、ハンドル操作が頻繁となるラリーシーンなどでは、ATのシフトレバーの操作性が重要になってくると想像できる。こちらもレースシーンを想定したATならではの実践的なレイアウト変更となっている。

そのほか、従来の4WDモードに加え、新しいドライブモードが設定された。スポーツ走行や市街地など、シーンによってステアリングの手応えやエアコン設定、メーター表示などが変わり、GR-DAT装備車はアクセルのレスポンスや使用するギヤまでが制御される。
コンペティティブな生まれとはいえ、スポーツ走行と日常使いの両立が可能である点は、やはりヤリスをベースとしている所以。発売予定は、全国のトヨタ車両販売店を通じて2024年春頃、発売価格は未発表となっている。