この記事をまとめると
■2024ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーにプリウスが選ばれた



■ライバルにはフォード・ブロンコやフェラーリ・プロサングエが並んだ



■プリウスは安価でありながらスーパーカー並みのデザインが高く評価された



ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーに国産車が輝いた

今年3月に開催されたニューヨークモーターショーにおいて、トヨタの新型プリウスが「2024ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」を受賞したことが発表されました。発表時から「カッコいい!」と評判のプリウスですが、並みいる世界の強豪を相手に栄冠に輝くことができのはなぜなのでしょうか? 今回はその理由を探ってみたいと思います。



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●70台のなかでもっとも優れたデザインを決める

ご存じのとおり、ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーは2004年から行われているワールド・カー・オブ・ザ・イヤー(現在はワールド・カー・アワードへ改称)のデザイン部門賞です。審査対象はアワードのノミネート車全車で、今年は70台が対象となりました。



ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーに我らがプリウスが輝いた! プロサングエやブロンコを凌ぐ魅力をデザインのプロが解説!!
ワールド・カー・アワード2024の選考風景



選考は、世界的なデザイン専門家6名によるデザイン委員会が作成した候補車リストによって行われ(日本からは元日産自動車の中村史郎氏が参加)、ファイナリストとしてフォード・ブロンコ、フェラーリ・プロサングエ、そしてプリウスが選ばれました。



投票は各国のジャーナリスト100名による無記名方式で実施、結果は例年に準じてニューヨークモーターショーにて公表されました。



強豪を抑えて見事アワードに

●ファイナリストはジャンルの異なる3台に

では、あらためてファイナリストを振り返ってみましょう。フォードのブロンコは1966年から生産される伝統的なオフロードタイプのコンパクトSUVですが、5代目で一旦生産が止まっていたところ、2020年、何と24年ぶりに復活したモデルです。



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フォード・ブロンコ



6代目となる新型は、初代のスクエアなイメージを強く反映しつつ、要所に丸味を与えたモダンなスタイル。そもそも北米で絶大な人気を誇る同車ですが、その期待を裏切らない出来映えです。



一方、英語名でサラブレッドを表すフェラーリのプロサングエは「ついにフェラーリもSUVに手を出すのか」といわれるなかでの登場となりましたが、「これはSUVではなく4ドアスポーツカーだ」とする同社のアナウンスに多くのファンが納得した話題作です。



ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーに我らがプリウスが輝いた! プロサングエやブロンコを凌ぐ魅力をデザインのプロが解説!!
フェラーリ・プロサングエ



たしかにその佇まいは、高い居住性や使い勝手でSUVブームの恩恵に預かろうという気配がほとんど感じられず、あくまでも美しくスポーティな4ドアであることを強くアピールする孤高ぶりが特徴です。



●万人の心の琴線に響くグッドスタイリング

迎え撃つプリウスも発表時からスタイリングの評価が高く、日本カー・オブ・ザ・イヤーをはじめ、北米カー・オブ・ザ・イヤー、グッドデザイン賞などすでに多くの受賞を誇っています。



そのプリウスが強豪に勝った理由は2点あると筆者は考えます。まず1点は幅広い層に伝わる「カッコよさ」であること。日本では登場と同時に「これはもはやスーパーカーだ!」なんて記事が踊っていましたが、その流麗なボディは欧米文化への親和性が極めて高いスタイルです。



ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーに我らがプリウスが輝いた! プロサングエやブロンコを凌ぐ魅力をデザインのプロが解説!!
トヨタ・プリウス



これは、たとえば日産のキューブが「クールジャパン」として評価されたのとは真逆で、もっと素直に各国ジャーナリストの心の琴線に響いたのではないでしょうか?



もう1点は、超スタイリッシュでありながらクルマとしては実用的なハッチバックであり、同時にHVとして低燃費かつクリーンなイメージを持つ高次元のマルチプレイヤーであること。

もちろん、4760万円のプロサングエとは文字どおり桁違いの「廉価車」であることも重要です。



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トヨタ・プリウス



こんなに「使える」身近なクルマでありながら、見ればスーパーカーも真っ青なスタイルという存在は、まさに唯一無二ということです。デザインとは本来機能を含めた広義の意味を持つ言葉ですから、ほかの2台を抑えての受賞は当然だったのかもしれません。



チョット心配なのは、あまりにエモーショナルに振ったスタイルは「飽きるのも早い」といわれること。このあたり、新型が参考とした3代目のスタイルがいまだに色褪せないこともからもわかりますが、いささか考え過ぎでしょうか?