この記事をまとめると
■自転車にも「運転者講習制度」が存在しており命令を無視すると罰金が科せられる



■対象者は3年以内に自転車の運転に関する一定の違反行為を2回以上行った人だ



■自転車は「車両」だという感覚を持つことが大切だ



自転車も違反の累積で講習会に出席しなければならない

手軽な乗り物として老若男女を問わず利用されている自転車。手軽で使い勝手がよく、狭い場所も通り抜けられる機動性の高さから、自転車のある生活が便利だと感じている方も多いでしょう。しかし、同時に自転車に関係する交通事故や交通違反が増えています。

今回は、2015年6月1日から施行された「自転車運転者講習制度」の概要や講習受講命令を無視するとどうなるのか解説します。



自転車に関連する交通事故は増加傾向にある

自転車に関連する事故は増加傾向にあります。警察庁の統計によると、2023年(令和5年)中の自転車関連事故の件数は7万2339件。前年から2354件増加しました。



自転車も違反によって「講習会」の受講命令が下る! バックレる...の画像はこちら >>



また、交通事故全体に占める自転車の比率は、2017年(平成29年)以降、増加傾向となっています。つまり、自転車が関係する事故は年々増えているのです。



違反や事故を繰り返した場合は講習を受けなければならない

自転車の運転による交通の危険を防止するために、2015年(平成27年)6月1日に「自転車運転者講習」制度が施行されました。この講習制度は、自転車の運転に関する一定の違反行為(危険行為)や交通事故を3年以内に2回以上行った人に対して、都道府県公安委員会が講習の受講を命ずる制度です。



自転車も違反によって「講習会」の受講命令が下る! バックレると「罰金」だった!!
警官の前からやってくる自転車



一定の違反行為(危険行為)は次の15類型となっています。



・信号無視
・通行禁止違反
・歩行者用道路徐行違反
・通行区分違反
・路側帯進行方法違反
・遮断踏切立入り
・交差点安全進行義務違反等
・交差点優先車妨害等
・環状交差点安全進行義務違反等
・指定場所一時不停止等
・歩道通行時の通行方法違反
・制動装置(ブレーキ)不良自転車運転
・酒酔い運転
・安全運転義務違反
・妨害運転



これら一定の違反行為(危険行為)や交通事故を3年以内に2回以上してしまった場合は、「自転車運転者講習」を受講しなければなりません。



自転車も立派な「車両」であるという意識を持つべし

受講対象になったらどうなる?

交通違反や交通事故を繰り返し、自転車運転者講習の受講対象になった場合、都道府県公安委員会から講習を受講するよう命令されます。また、公安委員会が交付する「自転車運転者講習受講命令書」交付後3カ月以内に自転車運転者講習を受けなければなりません。



自転車も違反によって「講習会」の受講命令が下る! バックレると「罰金」だった!!
自転車運転者講習会のイメージ



自転車運転者講習の受講時間と手数料は次のとおりです。もし、自転車運転者講習の受講命令に従わなかった場合は罰金が課されます。



・講習受講時間:3時間
・手数料:6,000円
・受講命令に違反した場合:5万円以下の罰金



基本的なルールが周知されていない現実

自転車の危険な運転や迷惑な行為は、他の交通の危険や迷惑になります。

そのため、今回解説した講習制度によって違反者を矯正するのは有効な手段といえるでしょう。しかし、自転車の交通ルールを学ぶ機会が少なすぎることも問題点ではないかと二輪の運転指導をしていた筆者は思います。



自転車も違反によって「講習会」の受講命令が下る! バックレると「罰金」だった!!
街なかにいる自転車



警察や国の機関などは、自転車の運転に関するリーフレットや動画などを作成し、公表しています(警察庁のサイトから閲覧やダウンロードできます)。この警察が作成した情報をどれだけの人が見て、正しく理解しているのでしょうか。



もし、自転車が危険な乗り物だと一度でも体験したり感じたりしたら、警察が作成した情報を見る可能性は高くなるでしょう。しかし、「手軽な乗り物で誰でも乗れる」という安易な気もちで自転車に乗り続けていたら、いつか取り締まられたり、取り返しのつかない重大事故を起こしたりしてしまうでしょう。



自転車も違反によって「講習会」の受講命令が下る! バックレると「罰金」だった!!
老人のそばを猛スピードで通過する自転車



自転車に乗るときは、「車両」であるという自覚と責任を持つだけでなく、他の交通に迷惑をかけない運転や自己防衛運転(まわりの車両に自分の存在を見せる運転など)をする必要があります。事故を誘発させたり、事故を起こして大変なことになったりする前に、改めて自転車の基本ルールを見直し、ほかの交通や自分の身が危険になる状態を作らない・作らせない運転が自転車の運転者に求められるのではないでしょうか。

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