この記事をまとめると
フォルクスワーゲンのパフォーマンスモデルといえば「GTI」がお馴染み



■初のGTIはシロッコに設定されてその後にゴルフにも展開された



■ゴルフに設定されて以降もポロ、ルポ、up!など多くのモデルにGTIが設定された



約50年に渡るVWの代表グレード「GTI」

フォルクスワーゲン(以下VW) を代表するパフォーマンスモデルといえばクルマ好きならば誰もが知っているであろう「GTI」。300馬力の大台に到達した8代目ゴルフGTIの「クラブスポーツ」が、2024年6月のニュルブルクリンク24時間レースで世界初公開。このことからも、GTIはVWのスポーツモデルとして、いまも大切なブランドであることが伺いしれる。



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ちなみにGTI とは「Grand Touring Injection(グランド・ツーリング・インジェクション}」の略で、キャブレターが燃料供給装置の主流だった時代に最新の機械式インジェクションを組み込み、大幅なパフォーマンスアップを果たしたことがネーミングの由来。赤いアクセントが添えられるのもGTIの伝統だ。



初めて発売されたGTIはゴルフでなくシロッコ

VWに初めてGTIが設定されたのは、いまから49年前の1975年。初出は標準的な横置きのFF(フロントエンジン、フロントドライブ)/2ボックスハッチバックというその後の大衆車のベンチマークとなる新たなスタイルを確立し、名車VWビートルの後を受け継ぐドイツの大衆車として目指した初代ゴルフと思われがちだが、じつは同じコンポーネンツをもつ2+2クーペであるシロッコ(標準モデルも数カ月早く発売)だった。ゴルフGTIも同年のフランクフルトショーで発表されたが、その発売は1976年だ。



ゴルフにポロにルポにup!に……VWの「GTI」はやっぱり熱いぜ! 時代時代のクルマ好きを歓喜させた歴代モデルとエキサイティングなその中身
フォルクスワーゲン・シロッコGTIのフロントスタイリング



2台はエンジンだけ(82馬力→110馬力)でなく、足まわりやブレーキも強化され、ファンなハンドリングと大衆車ながらアウトバーンの追い越し車線を走り続けられる性能を得たことで、爆発的な人気となった。



1980年代中盤から日本国内で使われた“ホットハッチ”という言葉は、初代のVWゴルフGTIが元祖といわれている(日本にも初代シビックにRSという同様の高性能ハッチバックがゴルフよりも2年早い1974年に設定されたが、キャブ仕様であったため、排ガス規制をクリアできず、短命に終わった)。



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フォルクスワーゲン・ゴルフGTIのフロントスタイリング



2代目(シロッコは1981年、ゴルフは1983年)はともにプラットフォームをキャリーオーバー。発売当初からGTIは設定されており、初めて日本でGTIが正規輸入されたのはこのモデルからだ。



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フォルクスワーゲン・ゴルフGTIのフロントスタイリング



当初はSOHC8バルブ(112馬力)であったが、のちにDOHC16バルブを搭載し、パフォーマンスを高めたGTI 16V(前期が139馬力、後期が129馬力)が1986年に登場している。



5代目ゴルフ以降は直噴2リッター直4ターボを継続して採用!

1991年登場の3代目にもGTI(2リッター直4DOHC)は設定されたが、速さを求めたパフォーマンスモデルは、メルセデス・ベンツBMWの大排気量車と同等の性能を持つ2.8リッターV型6気筒を搭載するVR6へ譲り、スポーティモデルとしての位置づけとなる。



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フォルクスワーゲン・ゴルフGTIのフロントスタイリング



4代目も3代目同様のラインアップで、GTIは初めてターボ化(1.8リッター5バルブ)され、高性能モデルのR32には3.2リッターV型6気筒(4輪駆動)が組み込まれた(以降はRシリーズとして歴代に設定)。



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フォルクスワーゲン・ゴルフGTIのフロントスタイリング



2003年登場の5代目以降のGTIのエンジンは出力アップこそ果たしているが、2リッター直4ターボとなる。エンジンは直噴化(TSI)され、ATはその後の主流となるツインクラッチ式の6速DSGを初採用。

6速MTが正規で設定されたのもこのモデルまでだ(7代目は限定100台で販売)。



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フォルクスワーゲン・ゴルフGTIのフロントスタイリング



2008年デビューの6代目は5代目をキャリーオーバーしながら洗練さに磨きをかけ、2013年発売の7代目は新世代のモジュールプラットフォーム「MQB」を採用し、100㎏の軽量を達成。ホットハッチとしてパフォーマンスを高めている。現行モデルである8代目は本国発表から2年遅れの2021年に日本へと導入。最高出力は245馬力となり、約50年間で2倍強まで性能は高められた。



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フォルクスワーゲン・ゴルフGTIのフロントスタイリング



一方、シロッコGTIは上述した2代目でいったん幕を閉じ(1992年)、その後、2009年に3代目が復活。コンポーネンツは6代目ゴルフと共通で、2リッター直4ターボのGTIも設定されたが、販売は芳しくなく、2014年をもって生産終了している。



じつはパサートにも設定が計画されていたGTI

その他のGTIとしてはゴルフの弟分「ポロ」、末弟の「ルポ」、そのあとを受け継いだ「up!」にもGTIを設定。コンセプトモデルで終わったが、初代のパサートにも企画されていた。ゴルフの車体の肥大化にともない、かつてのゴルフの位置づけとなるハッチバックとして登場したのがポロで、GTIが登場したのは1994年デビューの3代目から。ゴルフよりもひとまわり小さい1.6リッター直4DOHCを搭載し、ATの設定はなく、5速MTのみと操る楽しさを味わえるモデルであった。



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フォルクスワーゲン・ポロGTIのフロントスタイリング



4代目ポロGTIはスタンダードモデルから4年遅れた2005年に設定され、4代目のゴルフGTIの1.8リッターターボを搭載。車重はゴルフGTIよりも約200kg軽かったことから、兄貴分を上まわるじゃじゃ馬っぷりを見せた。

5代目は前期が兄貴分のゴルフのエンジンを搭載した1.4リッターのツインチャージャーを搭載したが、後期型はパサート用の1.8リッターターボへ置き換えられている。このモデルからAT(DSG)専用となったが、後期型で6速MTが復活している。



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フォルクスワーゲン・ポロGTIのフロントスタイリング



現行モデルとなる6代目は2018年に登場。GTIは兄貴分のゴルフと同じ2リッター直4ターボにアップデート。スペックはデチューンされているが、コンパクトなボディと相まってゴルフに匹敵するパフォーマンス(207馬力)を見せる。



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フォルクスワーゲン・ポロGTIのフロントスタイリング



4代目、5代目はWRC(世界ラリー選手権)のベース車としても活躍した。



専用ボディが与えられ、ポロの1.6リッターを搭載した傑作ルポGTI

ルポとup!はVWの底辺を支えるAセグメントのハッチバックだ。



1998年登場のルポはポロよりも全長が190mm、全幅が20mmほど短かった。アメリカ政府が提唱し、100km走るのに3リッターしか燃料を使わない超低燃費カーを最新の技術で実現した「ルポTDI」が当時の話題をさらったが、GTIではそのコンパクトなボディ(ポロよりもさらに100kg強軽い)に3代目ポロGTIの1.6リッター直4DOHC(125馬力)を搭載したのだから、その走りは乗らずして楽しいのがわかる。



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フォルクスワーゲン・ルポGTIのフロントスタイリング



ボディも軽量化が図られ、リヤフェンダーは大きなタイヤを収めるために専用品となっており、かなりこだわりが詰まったモデルだった。MTも6速でエンジンのパワーを使い切る楽しさに溢れたモデルだった。



その後継と呼ぶにふさわしいup!は2012年に国内デビュー。コンパクトなボディに大人4人が無理なく乗れる高効率パッケージと軽量化と剛性を高次元で融合したパッケージが魅力だった。

そのup!にGTIが登場したのは2018年。600台限定で日本に導入された。



ゴルフにポロにルポにup!に……VWの「GTI」はやっぱり熱いぜ! 時代時代のクルマ好きを歓喜させた歴代モデルとエキサイティングなその中身
フォルクスワーゲンUP! GTIのフロントスタイリング



エンジンは通常モデルの1リッター直3エンジンに対して、GTIはそのターボ仕様で116馬力。出力もボディサイズも初代ゴルフとほぼ同じで、当時は初代ゴルフGTIの復活ともてはやされた。



ゴルフにポロにルポにup!に……VWの「GTI」はやっぱり熱いぜ! 時代時代のクルマ好きを歓喜させた歴代モデルとエキサイティングなその中身
フォルクスワーゲンUP! GTIのエンジン



MTはルポ同様に6速MTだが、ルポのように俊敏ではなく、極めて扱いやすいバランスの取れたスポーティカーだったと記憶している。



「高性能で楽しくかつ実用性にも優れる」コンセプトはこれからも不変

現在購入できるGTIはゴルフとポロのみだが、昨年のドイツのIAAモビリティでコンセプトカーとしてVWのEVブランドであるID.のGTIがお披露目された。いよいよGTIにもEV化の波が訪れようとしている。



ゴルフにポロにルポにup!に……VWの「GTI」はやっぱり熱いぜ! 時代時代のクルマ好きを歓喜させた歴代モデルとエキサイティングなその中身
フォルクスワーゲンID.4 GTIのフロントスタイリング



ただ、初代ゴルフGTIの「高性能かつ走る楽しさに溢れ、実用性にも優れる」というコンセプトは変わらず受け継がれていくに違いない。いつまでもクルマ好きの憧れのモデルだ。

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