この記事をまとめると
■交通安全のために道路上にはさまざまなゾーンが存在する■特定のエリアを多く利用する人向けに作られた場所が多い
■奈良県には「鹿」と自動車の交通を両立させるためにユニークなゾーンがある
あちこちの道路にある「ゾーン」を紹介
スポーツの世界では、極限まで集中力が高まり、感覚が研ぎ澄まされたように感じる状態のことを「ゾーンに入る」と表現するが、クルマの世界で「ゾーン」といえば、住宅街周辺道路や抜け道で見かけるスクールゾーンやサーキットにあるグラベルゾーン、エスケープゾーン、そして道交法だとグレーゾーン(?)などが思い浮かぶ(!?)
後者はともかく、スクールゾーンなど道路上で見かける「ゾーン」、とくに交通安全対策に関する各種「ゾーン」をいくつか紹介してみよう。
スクールゾーン
スクールゾーンは、交通事故から子どもを守るために1972年から運用がはじまった、交通安全対策の重点地域のこと。
対象となるのは、原則として学校(幼稚園、保育園)を中心におよそ半径500mの道路で、登下校中の子どもたちの交通事故にあうリスクを減らすため、時間帯指定で車両の通行禁止、一方通行などの交通規制などがかかることが多い。
シルバーゾーン
シルバーゾーンとは、老人福祉施設など、高齢者の方がよく利用される施設の周辺で高齢者自身が危険を感じていたり、交通事故が発生する恐れのある地域であることを示すもの。
対象は、主として老人ホームや障がい者福祉施設の半径おおむね500mの地域。
シルバーゾーンの標識や路面標示があるところでは、高齢者に注意し、交通ルールを守って、「いたわりの心」をもって安全運転するようにしよう。

ゾーン30
ゾーン30は、生活道路における歩行者や自転車の安全な通行を確保することを目的とした交通安全対策のひとつ。
区域(ゾーン)を定めて時速30km/hの速度規制を実施するとともに、その他の安全対策を必要に応じて組み合わせ、ゾーン内におけるクルマの走行速度や通り抜けを抑制するもの。

ゾーン30プラス
ゾーン30プラスは、生活道路における人優先の安全・安心な通行空間の整備のさらなる推進を図るため、最高速度30km/hの区域規制のほか、交通実態に応じて区域内における大型車通行禁止、一方通行等の各種交通規制を実施するとともに、ライジングポラードやハンプ、狭窄、シケイン、スムーズ横断歩道などの物理的デバイスを適切に組み合わせて交通安全の向上を図っている。

いたわりゾーン
高齢者が多く生活する区域をゾーン指定し、高齢者事故を防止するため信号機や速度規制、一方通行等の交通規制に加え道路改良の働きかけ等総合的に高齢者のための道路交通環境整備を図ると同時にドライバーの注意喚起を図るため、平成11年から静岡県内などに設置されたエリア。

身近なところにも多く存在する「ゾーン」
ハンディキャップゾーン
障害者施設などの半径500mの地域に整備されたエリア。
歩道を整備したり段差をなくしたり、視覚障害者誘導用ブロックの整備をするなど、障害の有無に関わらず誰もが安全に道路を通行できるよう環境を整えている区域のこと。

名古屋市では2003年から「ユニバーサルゾーン」と改称して、整備を進めている。
キッズゾーン
2019年5月に滋賀県大津市で起きた保育所外での移動中の園児が亡くなった事故をきっかけに、2019年から新設されたゾーン。
保育所などの半径約500mが対象で、一方通行、大型車両通行規制、路側帯の設置などをはかるとともに、ドライバーへの注意喚起を促している。
散歩などの園外活動を行う子どもたちを守る目的なので、スクールゾーンと違い、朝夕の時間限定ではなく、日中も規制の対象になる。

鹿ゾーン
2014年に奈良県の奈良公園で、国の天然記念物にも指定されている鹿の保護と、クルマの安全走行、渋滞の緩和のために設定された他所にはないゾーン。

そのほか、各地でいろいろな「〇○ゾーン」の運用がはじまっているが、ゾーンの有無にかかわらず、他人に寛容で思いやりのある運転を心がけるようにしよう。