この記事をまとめると
■車名やグレードに「GT」という文字が与えられた国産モデルがある■スポーティな走りを体感できるグレードとして「GT」の言葉を用いる例が多い
■廉価グレードや量産グレードとして用いるクルマもあった
クーペモデル以外にも用いられていた「GT」グレード
さまざまな車両に用意されるグレード。現在は単にアルファベット1文字の記号化されているメーカーも少なくないが、過去にはグレード名だけで心躍るものがあった。
そんなグレード名のなかでもひときわ特別感のあったもの、それが「GT」ではないだろうか。
トヨタ・カリーナGT
トヨタには2000GTをはじめとしてGTを冠するモデルが多く存在しているが、「足のいいヤツ」のキャッチコピーで知られるカリーナはセダンでありながらGTの名をいち早く冠したモデルだった。
初めてカリーナにGTの名前が付けられたのは1971年4月のことで、当初は2ドアセダンに設定。その後、1972年12月には4ドアセダンにGTが設定されている。
その後もGTグレードは受け継がれ、1984年にFFレイアウトになってからも継続設定。途中、GTグレードが失われた時期もあったが、1996年に登場した最終型となる7代目では再び復活し、有終の美を飾った。

日産キャラバン/ホーミー GT
まだまだワンボックスカーが人員輸送車という位置づけだった1980年代に、いち早くGTグレードを設定したのが日産のキャラバン/ホーミーだった。
1988年に追加されたGTシリーズは、3代目モデルに3リッターV6ガソリン及び2.7リッターディーゼルターボエンジンを搭載し、余裕の動力性能をもたせたものとなっていた。

いまでこそ動力性能に余裕のあるミニバンは珍しくないが、このモデルはそんな高級ミニバンの元祖といってもいいかもしれない。
日産エクストレイル GT
日産はワンボックスカーだけでなく、SUVにもGTグレードを設定していた。それが2001年に初代エクストレイルに追加されたもので、搭載されたエンジンは世界で初めて可変バルブリフト&タイミング機構(VVL)にターボを組み合わせたSR20VET型。

SRエンジンはシルビアなどに搭載されたエンジンとして知られているが、VVLターボ仕様は唯一このエクストレイルGTにのみ搭載されており、最高出力は当時の自主規制値上限の280馬力を叩き出していた。ただ、組み合わされるトランスミッションがATのみだったのが残念だった。

ダイハツやスズキのホットハッチモデルにも「GT」が存在した
マツダRX-7 GT
1978年にコスモスポーツ以来、2車種目のロータリーエンジン専用車として誕生したRX-7。国産車としてはトヨタ2000GT以来のリトラクタブルヘッドライトを採用し、ひと目でスポーツカーとわかるルックスとそれに恥じない動力性能、そして比較的安価な価格で人気を博した。

初代RX-7のGTグレードは最上級のリミテッドに次ぐグレードとして用意されていたが、1985年に登場した2代目モデルではアルミホイールすら備わらない最廉価グレードとなり、その後のマイナーチェンジで消滅する憂き目にあっている。

ホンダ145クーペ GT
スポーティなクルマを多くリリースしてきたイメージの強いホンダだが、意外にもGTを冠するモデルは少なく、日本ではこの145クーペGTのほか、360cc時代のZなど、1970年代のクルマにわずかに採用されていた。
そんな145クーペは空冷エンジンを搭載していたホンダ1300のマイナーチェンジモデルといった立ち位置のもので、エンジンを1433ccの水冷エンジンに置き換えたことが最大のトピック。車名の145は、このエンジンの排気量が由来となっていた。

GTグレードはクーペモデルのなかでは下から2番目のグレードとなっており、とくにGTカーらしい装備が備わっているというワケではなく、どちらかというと量販グレードという扱いだった。
ダイハツ・シャレード GTti
ダイハツのリッターカーとして登場したシャレード。もともとは経済性の高いモデルとして人気を博していたが、デ・トマソとのコラボモデルがリリースされるなど、スポーティな仕様も人気を集めていた。
そんなシャレードの3代目モデルに設定されたのがGTtiで、1リッターの排気量ながらDOHC12バルブインタークーラーターボで武装したことでリッター100馬力を超える105馬力を発生させ、隠れたホットモデルとして知られる存在となっていた。

1988年2月にはGTtiからGT-XXへと名称を変更するなど、改良を行ったが、4代目シャレードはリッターカーの枠から外れたことでGTを冠するモデルも消滅することとなった。

スズキ・カルタスGT-i
シャレードと同じくリッターカーのカテゴリに1983年に投入されたスズキ・カルタス。排気量はそのままにDOHC化とインタークーラーターボで武装したシャレードに対し、カルタスは1986年6月に1.3リッターエンジンをDOHCとして97馬力を発生させたGT-iをリリースして対抗した。

GT-iは1988年に登場した2代目モデルにも継続設定され、エンジンは自然吸気1.3リッターのまま115馬力まで高められ、800kgという軽量ボディを活かしてモータースポーツでも活躍を見せている。
ただ、GT-iが設定されたのはここまでで、3代目モデルは1.3~1.5リッタークラスの実用ハッチバックとなり、ホットモデルも設定されることはなかったのは残念なところだった。