この記事をまとめると
■2010年以降に発売されたものの販売面で苦戦して終売したモデルをピックアップ



■低価格を売りにして割り切りすぎたために市場から評価されなかったケースもあった



■デザイン重視で使い勝手などが悪くなった結果後継車がでないモデルも見受けられる



シリーズに終止符を打ったクルマたち

売れなかったクルマはいろいろあるが、ここでは2010年以降に発売され、いまでは車名が残っていないクルマを取り上げる。伝統に終止符を打つことになった最終型の車種と、1代限りで終わったクルマたちだ。



■最終型日産マーチ(2010年発売)

日産マーチはコンパクトカーの先駆的な存在で、初代モデルは1982年に登場した。1992年に発売された2代目は、発売当初の登録台数が1カ月平均で1万台を軽く超える人気車になった。



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ところが2010年に発売された4代目は、2021年の登録台数が1カ月平均で700台前後まで落ち込んだ。タイ製の輸入車になったことよりも、車両に対する割り切りとコスト低減が影響を与えた。たとえば荷室を広げるために後席の背もたれを前側に倒すと、広げた荷室の中央付近に大きな隙間ができた。「コンパクトカーはこんなモンでイイ」という思惑が透けて見えて、人気のカテゴリーなのにサッパリ売れなかった。マーチは販売終了に追い込まれ、日産のメーカー別国内販売順位も、トヨタ、スズキ、ダイハツ、ホンダに続いて5位まで下がっていった。



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日産マーチ(3代目)の走行写真



■最終型三菱ミラージュ(2012年発売)

三菱ミラージュは1978年に初代モデルを発売したコンパクトカーでヒット作になった。その後もフルモデルチェンジを続けたが、2000年代の初頭に一度国内販売を終えた。



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三菱ミラージュ(5代目、ハッチバック)のフロントまわり



その後、2012年に直列3気筒1リッターエンジンを搭載して復活している。これもマーチと同様、タイ製の輸入車であった。



全長が4mを大幅に下まわるコンパクトなボディが特徴で、低燃費と低価格をセールスポイントにしたが、内外装の質感に不満があってノイズは大きめだ。乗り心地もよくない。当時はすでにホンダN-BOXやダイハツ・タントといった背の高い軽自動車が好調に販売され、ミラージュはユーザーから高い評価を得られなかった。その結果、国内販売を終えた。



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三菱ミラージュ(6代目)の2台並び



一部から評価されるも売り上げはサッパリ……

■トヨタC-HR(2016年発売)

トヨタC-HRは2016年に発売されたコンパクトSUVで、全長は4360mmだからカローラクロスよりも短い。パワーユニットは直列4気筒1.2リッターターボと1.8リッターハイブリッドを用意した。



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トヨタC-HRのフロントまわり



1番の特徴は外観で、後端のピラー(柱)が太くサイドウインドウは小さい。斬新なデザインが注目された。しかし、後方視界がきわめて悪く、後退時にはバックモニターに頼った。当時のバックモニターはいまに比べて視野が狭く、後退時には気を遣った。開発者に視界について尋ねると、「トヨタの視界に関する社内基準をギリギリでクリアした」と説明された。



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トヨタC-HRのリヤまわり



それでも外観は、見方によっては個性的でカッコイイ。発売の翌年になる2017年1~6月は、1カ月平均で約1万3000台を登録して、小型/普通車販売ランキングでは、プリウス、ノートに次ぐ3位に入った。しかし、その後は急落して2022年には1カ月平均が1000台を下まわり終了した。



■最終型スズキ・エスクード(2017年発売)

初代スズキ・エスクードは、1988年にコンパクトなサイズで発売され、初代マツダ(当時はユーノス)ロードスターなどと並んで若年層を中心に人気を高めた。しかし、その後は海外指向を強めてボディを拡大させ、売れ行きを下げた。



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スズキ・エスクード(初代)のフロントまわり



それが4代目で再びコンパクト化したが、日本仕様は1.6リッターエンジンで登場しながら、その後に1.4リッターターボに変わった。さらに最後は1.5リッターフルハイブリッドと5速オートギヤシフトの組み合わせに変更されて値上げされるなど、紆余曲折が多く売れ行きを低迷させた。



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スズキ・エスクード(4代目)のフロントまわり



■ホンダ・ジェイド(2015年発売)

ホンダ・ジェイドは3ナンバーサイズの5ドアハッチバック風の3列シート車として発売された。全長は4650mm、全幅は1775mmと少しワイドで、全高は1530mmと3列シート車ではかなり低い。従って立体駐車場も利用しやすい。



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ホンダ・ジェイドの2台並び



ただし、3列目のシートはかなり狭い。さらに2列目シートも座面の奥行寸法が1列目に比べて55mm短く、大腿部に違和感が生じて座り心地も悪かった。それなのにジェイドは3列シートミニバンとして発売されたから売れ行きは低迷した。2015年の発売時点では、1カ月の販売計画を3000台と公表したが、2017年の1カ月平均登録台数はわずか166台であった。発売から2年後の売れ行きが計画台数の6%に留まる車種は珍しい。



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ホンダ・ジェイドの3列目シート



ただし、ジェイドは低重心のワイドボディによって走行安定性は優れていた。そこで2018年に2列シートのRSを加えている。この後席は3列シートの2列目よりも快適で、優れたミドルサイズハッチバックであった。



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ホンダ・ジェイドRSの走行写真



しかしこのとき、すでにジェイドは不人気車のレッテルを貼られており、販売不振を回復できなかった。

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