この記事をまとめると
■レクサスには「F」の名を冠するスポーツモデルが存在している■「F」の名は開発拠点である富士スピードウェイに由来している
■2025年のRC F生産終了によって「F」モデルが一旦終了する
歴代「F」モデルをプレイバック
先日生産終了がアナウンスされたレクサスのスポーツモデル「RCF」。現状のラインアップから考えると、これによりレクサスのスポーツモデルを象徴する「F」の系譜が途絶えてしまうことになる。今回は改めてレクサスのブランドイメージ向上に寄与した「F」の歴史を振り返ってみよう。
IS F
「F」の歴史の始まりは2007年に登場したIS Fからであった。なお、以降続くFシリーズの「F」はトヨタ・レクサスのホームコースであり、開発拠点のひとつである富士スピードウェイに由来している。
IS FはレクサスのDセグメントセダン「IS」をベースに、専用のエンジンやトランスミッションを新開発、当然サスペンションやブレーキなども専用のものが採用されている。5リッターV8自然吸気エンジンは最高出力423馬力を発生。スポーツセダンに相応しい速さは当然だが、「運転する楽しさ」を極限まで追求したモデルとして登場した。

その後は何度か改良が行われ、2013年に7馬力の出力向上とボディ剛性アップ、空力パーツの追加が行われた特別仕様車「ダイナミックスポーツチューニング」が登場。翌2014年に生産終了となった。
LFA
2009年にFモデルの頂点に君臨するモデルとして登場したLFA。そのヒエラルキーは不変となっていて、現在レクサスのホームページを見てみても、ほかのFモデルよりも上であることが表現されている。じつはIS FやRC Fなどともエンブレムが異なっているほど、その存在は特別だ。

デビュー当時、世界限定500台、3750万円、専用のV10ユニット搭載、カーボンモノコックの採用など日本車としては異例尽くしのことばかりで、世界にも衝撃を与えた1台であった。限界挙動時のコントロール性を重視しあえてFRを採用したほか、9000rpmまでまわるV10エンジンは最高出力560馬力を発生。

なお、性能だけでなくエンジンサウンドの作り込みにもこだわっており、その開発にはトヨタとの関係性が強いヤマハによる楽器製作のノウハウが生かされていることも有名なエピソード。ハイパフォーマンスでありながら、ドライバーを楽しませる要素をふんだんに取り入れた1台であった。

モータースポーツでも大活躍
GS F
EセグメントセダンのGSをベースに、2015年に登場したスポーツセダンがGS Fだ。2014年にIS Fが生産終了していたため、GS Fの登場によってセダンのFモデルが復活した形となった。最高出力477馬力を発生する5リッターV8エンジンを搭載し、NAエンジンらしいリニアなフィーリングと高レスポンス実現。

また、レーザー溶接やスポット増し、高剛性ガラス接着剤などボディ剛性の強化や新設計のサスペンションなどフットワーク性能も強化。さらに運転支援システムも充実した内容となっていて、あらゆるシチュエーションに対応できるスポーツサルーンであった点も同車の特徴だ。

しかしながら、ベースとなるGSとともに2020年に生産を終了してしまい。Fモデルのセダンが再び途絶えてしまうこととなった。
RC F
2014年にクーペモデルのRCをベースにハイパフォーマンスに仕上げたプレミアムスポーツカーとして登場したのがRCFだ。高性能はもちろんのことながら、どんな場所でも走りが楽しめるように運動性能を磨き上げたのも特徴的なポイント。5リッターV8ユニットは7100rpmで477馬力を発生し、自然吸気エンジンらしい伸び感と高レスポンスを実現している。

また、FR車として世界初の駆動制御システムTVDを採用。これは後輪の左右駆動力を電子制御するメカニズムで、シャープなターインと素早いコーナーの脱出を手助けしてくれるメカニズムだ。
また、RC Fといえばモータースポーツシーンで活躍したことも忘れてはならない。
レクサスとして初めてGT3マシンが作られたほか、スーパーGT GT500クラスでもチャンピオンを獲得している。レクサスブランドのスポーツイメージを牽引するためにFというブランドが作られた背景を考えると、RC Fはその役割をもっとも担ったモデルといえるだろう。

2025年のRC Fの生産終了により、Fの系譜は途絶えてしまうことになるが、そのブランドの成り立ちを考えればきっとまた新型モデルが登場してくれるはずだ。レクサスFの未来に期待したい。