この記事をまとめると
■最近の4WDシステムは電子制御技術の発達によりさまざまなタイプが存在する■もっともシンプルな区別としてはパートタイム4WDとフルタイム4WDに二分できる
■その先にはトルクを自動的に4輪もしくは前後に配分を変更するなどのバリエーションがある
4WDといってもメーカーや車両によってさまざま
雪道や凍結した路面で心強い4WD。しかし、電子制御技術の発達により、ひとことで4WDといってもいろいろなタイプがあって整理がつかない。
一番シンプルなのはパートタイム4WD。
細かくわけると、この先にいくつかのタイプの4WDが存在する。
トヨタ車を例にすると、トルクを自動的に4輪に配分し、安定した操縦性を作り出す電子制御フルタイム4WD(e-Four)がある。e-Fourは、走行状況に応じて、トルク配分をコントロールし、基本は前輪40:後輪60で、それを前輪30:後輪70から前輪50:後輪50の間で変動させるのが特徴。

また、電子制御により、前輪駆動(FF)と4輪駆動を自動で切り替えるダイナミックトルクコントロール4WDもある。これはコンピュータがフロント100:リヤ0~フロント50:リヤ50の間で自動的にトルク分配変化させるタイプになる。アクティブトルクコントロール4WDもこのタイプ。
そうしたなかで、何といっても気になるのは、GR専用のアクティブトルクスプリット4WD(GR-FOUR)。GRヤリスなどに採用されたスポーツ4WDで、「4WDモードスイッチ」の切り替えで、前後のトルク配分を3種類のモードから選択することが可能。

NORMALモードはフロント60:リヤ40、SPORTモードは30:70、TRACKモード50:50といった具合だ。
NORMALモードは駆動力が前輪寄りなので、旋回性能と安定性のバランスがよく、ストリートを走るのに向いている。SPORTモードはリヤ寄りなので、ターンインが素直。ワインディングなどをキビキビ走りたいときにチョイス。TRACKモードは、トラクション性能重視で、サーキットでタイムを出しに行くときに使用するモード。これらの使い分けは、オーナーなら覚えておいてほしいところ。

基本的にモードは「ノーマル」か「オート」でOK
また、4WDといえばスバルだが、スバルのフォレスターやアウトバックなどには、悪路からのスムースな脱出をサポートするX-MODEが用意されている。
X-MODEをONにすれば、4輪の駆動力やブレーキなどを適切にコントロールし、悪路から脱出しやすくなる。従来苦手だった、ハンドルを切った状態でも発進性とスタック脱出性が向上しているのが大きな特徴。さらに、下り坂などで常に一定の車速を維持するヒルディセントコントロールも備わっている。

ただし、X-MODEは、悪路での使用を想定しているため、常時使用はNG。車速が約40km/hを超えると、自動解除される仕組みだ。
また、スバル車の一部には、センターデフのイニシャルLSDトルクを調整できるマルチモードDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)がついているクルマもある。

スバルとともに4WDの制御が多彩な三菱も、トライトンだとALL(状況に応じて自動切換え)、2H(後輪駆動)、4H(フルタイム4WD)、HLc(センターデフロック)、4LLc(センターデフデフのローギアモード)と、5つの4WDモードがある!

いずれもモードが多すぎて、使いこなせないような気もするが、どのクルマも「ノーマル」や「オール」モードにしておけば基本的にOK。あとは緊急脱出用のモードを覚えておけば、大きな問題はないはず。
それ以外のモードはマニアックなオーナーが、走行シーン、シチュエーションに合わせて違いを楽しめばいいのでは?