この記事をまとめると
■デコトラの世界ではマフラーのカスタムとして「マニ割り」という手法が定着していた



■近年は静かなデコトラが増えている



■静かなデコトラが多い理由にはドライバーによる工夫が挙げられる



デコトラの世界ではマニ割りが人気を博してきた

改造車の世界において欠かすことができないのが、マフラーのカスタム。興味がない人には騒音に感じてしまうかもしれないが、マフラーを交換することが愛好家たちのステイタスとなっている例は多い。ただ単に爆音を出すためのマフラーやエンジンの出力を高めて速さを実現させるものなどまちまちであるが、改造車の世界ではマフラーの交換はマストとなっているのだ。



半世紀以上に渡って飛躍してきたデコトラの世界では、昭和の時代から「マニ割り」という手法が定着してきた。これはマフラーそのものを交換するという安易なものではなく、エンジンの排気側にあるエキゾーストマニホールドを改造するというもの。1本にまとめられたエキゾーストマニホールドを割る(分割させる)ことで排気管を2本にし、それぞれに好みのマフラーを取り付けるというものだ。そうすることで、独自の音色を奏でることができるのである。



まるでスーパーカーの爆音モード! いまどきのデコトラ乗りは「...の画像はこちら >>



そんなデコトラの世界では、横出しマフラーと煙突マフラーというものが存在する。横出しマフラーは鳴き、いわゆるピロピロと甲高い音を奏で、アクセルをオフにすると返り、つまりヒュルルルルという音を出すという特徴がある。対する煙突マフラーは叩きと呼ばれるバタバタと弾けるような音を出せるが、鳴きや返りはあまり期待できない。



結局のところ、オーナーの好みであるが、もともと排気管が2本出ているV型エンジンの場合はマニ割りする必要がなく、マフラーのタイコを変更するだけで快音を獲得できるため、デコトラ野郎には人気のベースとなっている。



切り替え装置を備えるマフラーも

しかし、近年ではマニ割りを行なわないデコトラも多い。コンピューターで制御されている新しいトラックになるとマニ割り自体が不可能だという問題点もあるのだが、やけに静かに走る派手なデコトラを見かけることがある。その理由とは、一体何なのだろうか。



派手に飾られたデコトラでありながらノーマルマフラーで走っている場合、マフラーの出口を見てほしい。

パイプが1本であればノーマルマフラーだということになるが、なかには3本や4本の出口が存在するデコトラを見かけることもあるだろう。この場合は、マニ割りを実施しているものの周囲に配慮し、ノーマルの音色で走っているのだ。



まるでスーパーカーの爆音モード! いまどきのデコトラ乗りは「高速はマニ割り」「夜の市街地は静かに」のマフラー音切り替え装置で楽しんでいた
トラックのマフラーのイメージ



近年のデコトラ界では、マフラーの切り替え装置を備えている車両が多くなっている。つまり高速道路ではマニ割りサウンドを楽しみ、夜の市街地ではノーマルマフラーで走行するなど、場面によって使いわけをしているのだ。



繰り返しになるが、マフラーの音は愛好家たちにとっては欠かせないものである。しかし、周囲の人たちからすれば単なる騒音でしかないのだ。たとえ排気音が基準値以下であったにせよ、耳障りに思う人が多いのは否めない。そのため、費用を捻出してまで切り替え装置を取り付けているのである。このあたりは、働く商用車をベースにしているデコトラならではのカスタムであるともいえるだろう。



改造車を愛するという純粋な気もちは、ぜひとも大切にしてほしい。しかし、周囲への配慮を忘れることなく楽しんでいただきたい。そうして共存していくことが、好きな世界を長く楽しめる秘訣である。

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