この記事をまとめると
■スバルからクロストレックS:HEVが登場■メーカー初のストロングハイブリッド車だ
■桂伸一さんによる試乗インプレッションをお届けする
スバル初のストロングHEVに雪上試乗!
“ヒィーン”と歩行者にクルマの存在を知らせる響きとともに、モーター走行するクロストレック。スバル待望のストロングハイブリッドを搭載した初のモデルだ。
スバルはすでにソルテラでBEVを経験済みだからEVのことも理解しつつ、マイルドHEVで、燃費を含めてユーザーが何を求めているのかを認識して、ついにストロングHEVを水平対向エンジンと組み合せた。
雪深い”はず”の青森に向かったのは、いうまでもなくスバルといえばAWDの駆動性能とハンドリングを含めた操縦性、モーターとエンジンの融合を確認するため。
ボディが大きく幅広くなるクルマ界にあって、クロストレックの縦横比は日本に丁度のサイズ感で、取り回し含めて扱いやすい。
スイッチONで無言なのはバッテリー残量がそれなりにある証明。

圧雪の駐車場から一歩国道に出ると、すでにそこはシャーベット状ウエットで、走るにつれてドライに変わる路面状況。
豪雪がニュースになった青森だが、試乗会前々日からの晴天で、道の両側には除雪でうず高く積まれて雪壁にはなるが、圧雪路面は気温上昇とともに溶け続ける。

これでは無意味と思い駐車場に引き返して、左右対称シンメトリカルAWDの威力を確かめるべく、圧雪部分でアクセルを早く深く踏み込む。一瞬のホイールスピンから左右にブレることもなく、即強い加速Gを受けながら猛ダッシュ。
AWDだからこれはエンジン車でも同じ状況にはなる。なるがストロングHEVの威力は、モーターの特性から操作に対する時間の間、遅れがない点が心地いい。
走行モードは「i」がおすすめ
ドライバーが期待する動きを瞬時に返してくる。レスポンスがいいといえばそうだが、エンジン回転に同調した加速G……というよりもエンジンより先に加速する!!
エンジンは回転上昇で必要なトルクを発生するが、モーターは回転と同時に最大トルクを発生する。
その少し先行く感が、高性能と感じさせるに十分で、けして出しゃばらない、じつに緻密で繊細な制御が素晴らしい。

加速のレスポンスに対して減速時は、パドルによるシフトダウンでエンジン回転も同調させ、まさにエンジンブレーキ感がある。そこに回生とフットブレーキの協調制御がごく普通の油圧ブレーキを踏んでいる感覚でペダル踏力とストロークに対して自然に減速する。
フットブレーキ中に回生の強弱を行なってもペダル踏力はもちろん減速Gの変化はまったくない。ブレーキに関してはその自然さが完成度として素晴らしいと思う。
走行モードはiで十分。Sは過敏。モードの変化度合を十二分に感じさせるが、これぞ感性より無用に先んじる感が不自然に思う。

結果的にシャーベット、ウエット、高速のドライ路面をスタッドレスタイヤで走行して、そのハンドリングはどうかといえば、シャーベット、ウエットともに制限速度内では操作に自然に応答した安定走行で不穏も不自然な動きはまったくなし。
高速走行の直進性も中立が確かで、操作に対する舵の利きかたも滑らか。何より直進することに微調整の必要がないことがいい。

いえば圧雪、シャーベットからドライとあらゆる路面状況を一度に味わったタイヤはヨコハマIG70。偶然にも筆者が好んで装着する愛車と同一銘柄。
青森市内から酸ヶ湯温泉までの往復、撮影シーンでは無用にアクセルを踏み込んだ状況での燃費は16~17km/L。スバリストからすれば夢のような数値である。
以上のコメントを参考にぜひご試乗ください。
