この記事をまとめると
■旧車の洗車は気を遣う場面が多い■多量の水で洗うと錆や雨漏りの原因にもなる
■洗車をせずにウエスと毛ばたきだけで埃を落とすのがオススメだ
旧車って水で洗っても平気なの?
生産されてから数十年が経過している旧車およびネオクラシックカー。最新の技術と設備、そして塗料で仕上げられている現代のクルマとは異なり、「年代モノ」の古いクルマの洗車は独得の配慮が求められます。
そこで今回は、そのものズバリ「旧車の洗車、どうすればいいの?」についてまとめてみました。
●水洗いでジャブジャブ洗車は御法度
ボディに付着した汚れを落とす前に全体にバシャバシャと水を掛け、ある程度濡らした状態に。次にカーシャンプーとスポンジでていねいに汚れを落としていく……。マット塗装といった一部の特殊な塗装をのぞき、現代のクルマのほとんどがこの洗車方法で汚れを落としていきます。
しかし、旧車およびネオクラシックカーの場合、同じ方法での洗車は極力避けたいところです。その理由として、ウェザーストリップが劣化していて防水機能が劣化していたり、汚れが蓄積して排水口が詰まっていたりとさまざま。新車時には想定できないような経年劣化によってクルマにダメージ(具体的には錆)を発生させる可能性があります。
●機械洗車するなら覚悟のうえで
上記を踏まえて、旧車およびネオクラシックカーを機械洗車で綺麗にしたらどうなるか。窓を閉めていても車内に水が浸入して雨漏りしてきたり、トランクが水浸しになったり……。高圧洗浄の効果(威力?)で、通常の洗車では考えられないような箇所にまで水が浸入してくることも。

一見するとクルマが綺麗になったように映るかもしれませんが、塩カルのまかれた道路を走ったなど、よほどの事情がない限り機械洗車を行わないほうが得策です。
極論は洗わないのが1番!
●ボディの汚れを取るなら水拭き
そうなると、旧車およびネオクラシックカーをどうやって洗車すれば? という問題にぶち当たります。汚れを落とすなら「水拭き」です。洗車用のクロスを用いて適度に水を含ませ、ボンネットから屋根、ドア、バンバーと、汚れが目立つ上から下へと拭き取っていきます。

保管環境や洗車の頻度によっても異なると思われますが、基本的には1度使えば洗車用のクロスがかなり汚れます。もったいないけれど再利用せず、毎回使い捨てと割り切って洗車をしていくことで塗装面のダメージを軽減できます。
●この際、洗車傷は気にしない
通常の洗車では御法度とされる、ボディが乾いた状態で「いきなり水拭き」をすれば、専用の洗車クロスを用いて慎重に拭き上げても洗車傷がつくことは避けられません。ここは「洗車傷<錆を回避」するほうを優先し、多少の洗車傷は目をつぶって割り切るしかなさそうです。

人それぞれ考え方が異なると思われますが、博物館に展示するわけではありませんし、個人的には「使用感」があったほうが雰囲気があっていいかもしれません(と思い込むことも大事かも)。
●まとめ:究極は洗車しない
筆者も1970年製の旧車を所有していますが、屋内保管ということもあり、洗車は1年に1度するかしないかという頻度です。いろいろと試行錯誤した結果、遅まきながら「洗車しないに限る」という結論にたどり着いたからです。
ただし、洗車をしない代わりに、毛ばたきを用いて定期的にボディ表面に付着した埃を拭き取っています。2本の毛ばたきを使い、片方はボディの埃を拭き取る専用(奮発してオーストリッチ)、もう片方は埃を落とす専用(汎用品)と使い分けています。

2本の毛ばたきを埃がつくたびにポンポンと叩くことで汚れを落としていくのです。この方法はクルマ趣味の師匠に教えてもらいました。かつてとあるクラブのコンクールドデレガンスで3度優勝したツワモノの直伝なので、そのやり方を実践しています。
人間もある程度年齢を重ねれば体のあちこちにガタがくるように、クルマだって経年劣化しています。完璧を求めず「多少の汚れや傷は仕方ない」くらいの大らかさを持ちあわせたほうが、結果として愛車と長く付き合えるはずです。