この記事をまとめると
■2024-2025 デザイン・カー・オブ・ザ・イヤーに三菱の「トライトン」が選ばれた■10ベストに入ったボルボのEX30もデザインが魅力的な1台だ
■EVらしさと個性が融合した1台となっている
独断で選ぶ2024年に登場したもっともデザインが優れたクルマ
昨年末に発表された2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤーでは、デザイン・カー・オブ・ザ・イヤーに三菱の「トライトン」が選ばれました。たしかに「デリカミニ」のヒットなど最近好調の三菱デザインですし、多くの票が入ったのも納得。それはそれとして、今回は異論反論を覚悟で、個人的視点によるデザイン・カー・オブ・ザ・イヤーを選んでみました。
●個人的ベストデザインはコンパクトEVに
あらためて1台を選ぼうと、最初は年間ノミネート車すべてを対象に見渡したのですが、結局は10ベストカーに入っていた、ボルボの「EX30」を個人的なデザイン・カー・オブ・ザ・イヤーとしました。

そもそも、2015年に登場の2代目「XC90」から始まった新世代ボルボのデザインは当初から高い評価を受け、その後のラインアップも充実。とくに比較的コンパクトな「XC40」は使い勝手のよさと、じつにまとまりのいいスタイルでヒット作にもなりました。

EX30は、そのXC40やEVの「C40リチャージ」と同様のデザイン言語を用いながら、ハッチバックやファストバックにも見えるし、よりコンパクトなSUVにも見えるという、まったく新しいプロポーションであることがまずユニークです。また、最新のEVながら、極端なキャビンフォワードのワンモーションフォルムとしなかった点もキモでしょう。

近未来感溢れる個性派デザイン
●最新EV的の定石を踏みつつ個性を出す
具体的にフロントから見てみると、フラットなグリル面は昨今のEVの流行ですが、ヘッドライトの外形自体を自慢のトールハンマー形状とし、これを複数のLEDで構成した先進的表現が見所。また、パネル上のエンブレムの大きさや配置も的確で、グリルレスなのにボルボらしさがしっかり表現できています。

ボディの側面も基本はじつにシンプルですが、たとえばボンネットラインにホイールにあわせた曲線を加えるなど、適度なアクセントが巧妙。また、リヤガラスの途中から早めにキックアップさせたベルトラインはボディに高い軽快感を与え、先述のようにファストバック的な表情も作り出しています。

ブラックのルーフはいまどき珍しくはありませんが、単に屋根を黒く塗ってツートンカラーにしただけでなく、ボディのトータルデザインのなかに黒のルーフがしっかり組み込まれており、よく見かけるような「取って付けた感」がありません。
リヤビューでは、テールランプを上下二段構造に見せる手法がユニークですし、そのテールランプとガーニッシュでパネルを囲み、フロントと同様の表情を作り出している点が巧いところ。もちろん、これらの表現はEVとしての未来感につながっています。

●素材感とカラーの巧妙なマッチング
徹底してミニマムな表現としたインテリアも話題ですが、その造形がリサイクルの素材感にマッチしていることも注目点。さらに、「モスイエロー」や「クラウドブルー」など、彩度を落としたボディ色は北欧の自然を感じさせる一方、インテリアのリサイクル素材にも沿ったもので、そのトータルコーディネイトは見事です。

ところで、デザインという視点で今回のノミネート車を見渡すと、もう1台「ランドクルーザー250」も非常に気になる存在です。そのまとまりのよさは秀逸ですが、ただ、同車が原点回帰として定番のシンプルさを目指したのに対し、EX30には従来にない新しさが随所に見られた点で一歩抜きん出ていました。

ということで、個人的デザイン・カー・オブ・ザ・イヤーはボルボEX30、次点がランドクルーザー250となります。まあ、異論反論はあるでしょうが、どこかに忖度した結果ではないのでご容赦を(笑)。さて、来年は本家イヤー・カーと意見が一致するかどうか……。