この記事をまとめると
■マツダのラージ商品群に属する大型SUV「CX-80」



■中谷明彦さんが北海道の雪道と特設コースで試乗した



■e-SKYACTIV DとSKYACTIV D搭載モデルの走りについて解説



2トン超えの車両ながら旋回性はすこぶる軽快

日本カー・オブ・ザ・イヤー2024-2025において、10ベストカーに選出されたCX-80。本賞選考会では2位に甘んじたものの、15名の選考委員が最高点の10点を入れていた(トップのフリードは16名)。僕自身もCX-80に走りのポテンシャルを高く感じ10点を投じたが、今回、北海道の雪道および特設コースでCX-80の雪道走行パフォーマンスを試せることとなった。



CX-80の特徴はマツダが「ラージ商品群」と称する大型のプラットフォームを採用していることで、一昨年登場したCX-60に続く第二弾と位置付けられている。直列6気筒ディーゼルエンジンを縦置きし、トルコンレス8速ATを備え、4輪駆動AWDとして構成している。



【試乗】雪道だったらロードスターより速い! 2トン超えの大型...の画像はこちら >>



今回、まず試乗に供されたのは3.3リッター直6ディーゼルターボ+電気モーターのe-SKYACTIV Dを搭載するマイルドハイブリッド仕様で、3列シートのインテリアが奢られたモデルである。



AWDはセンタートランスファーの前方下流に電子制御カップリングを配し、必要に応じて前輪にも駆動力を配分する。FR(後輪駆動)ベースというだけあって、駆動力はまず後輪にかけられることでハンドリング面はFRのような軽快さが感じられるはずだ。



【試乗】雪道だったらロードスターより速い! 2トン超えの大型SUV「CX-80」を雪上で限界走行した!!
マツダCX-80の走り



早速走り出す。まずは一般道を通常走行してみる。降雪は多く、轍が深い部分もある。こんな場面ではパワートレインの力強さが発揮される。モータートルクの加わる発進時や加速時など、ターボ過給トルクと相まって力強い。そして6気筒のエンジンサウンドが心地よく、振動も少なくて快適だ。そもそも豪華な室内は遮音性が高く、舗装路でも氷結路でもロードノイズを大幅に低減している。

同乗者は路面の良好な場所を走っていると勘違いしてしまうだろう。



【試乗】雪道だったらロードスターより速い! 2トン超えの大型SUV「CX-80」を雪上で限界走行した!!
マツダCX-80の走り



ステアリングへのキックバックも抑え込まれ、しかし直進性は高く安心感がある。FRでの雪道走行から連想される不安定さは微塵もない。それでいて、コーナーアプローチでステアリングを切り込むと、微小舵領域からフロントがスムースに回頭し、「大丈夫、その速度で曲がれますよ」と示してくれる。2トンを超える車両重量でありながら、旋回性はすこぶる軽快で安定もしている。これはクローズドコースでの走りが楽しみだ。



パイロンが設置されたコースでの走りはまさに「意のまま」

クローズドコースでは、モーターのない3.3リッター直6ディーゼルターボを積むSKYACTIV Dに試乗。コースは圧雪路と登坂路が準備されていた。登坂角は20%(12~13度)というキツさだ。一般道なら躊躇してしまいそうな傾斜のなかほどに停止させ、坂道発進を試す。



ブレーキを強く踏み込むとヒルホールドが作動して後ろ下がりを防止してくれる。その状態でゆっくりアクセルを踏み込むと、とくにエンジンが唸るわけでもなく、ゆっくりと上り始める。

試しにアクセルを強く踏み増すと、エンジンのターボトルクが加わり、瞬時に後輪を空転させ、次に前輪も空転。トラクションコントロールが作動しても一旦滑らせて路面を磨いてしまうと再スタートは難しくなる。それでも一旦停止させ、緩やかに再スタートさせれば、再び発進できる。



【試乗】雪道だったらロードスターより速い! 2トン超えの大型SUV「CX-80」を雪上で限界走行した!!
マツダCX-80の走り



試乗車のCX-80はドライブモードとしてノーマル。スポーツ、オフロードの3モードから選択可能だが、こうした極限状況では明確な差異は感じられなかった。



次は圧雪の特設コース。パイロンが設置されジムカーナコースのようなコース設定だ。



発進して最初のターンでフロントが直ぐに回頭し、合わせて後輪がスライドを始める。4輪スキッド状態をアクセルとステアリング操作で姿勢コントロールし、綺麗なドリフト姿勢でクリアできる。そのままS字ターンを左右にドリフトアングルを変えてクリアしアクセルを踏みこんで加速旋回も試す。FRならスピンしてしまいそうな場面でも前輪に駆動力が伝わり加速旋回していく。その走りはまさに「意のまま」で、CX-80の基本特性がいかに優れているか理解できる。



【試乗】雪道だったらロードスターより速い! 2トン超えの大型SUV「CX-80」を雪上で限界走行した!!
マツダCX-80の走り



ちなみにDSC(電子制御姿勢安定化装置)をオフにすることはできず、TCS(トラクションコントロール)のみオフにできるが、オンのままでもこのような走行が可能なことに驚かされた。



FRベースで後輪駆動のドライブフィールを強く引き継ぎながら、4WDとして十分なトラクションを発揮できるので運動性能と悪路走破性に優れているというわけだ。



今回、リヤサスペンションに加速時リヤ沈み込みを抑えるアンチスクウォート、ブレーキング時に浮き上がりを抑えるアンチリフトジオメトリーを採用し、フラットな姿勢を維持できるようになったのも進化を認められる部分だ。それは雪道ならロードスターより速いのでは? と思えるほどで、マツダがCX-60ベースのラリー仕様車を仕立てているのも頷けるのだ。今後のラージ商品群のさらなる進化を期待したい。



【試乗】雪道だったらロードスターより速い! 2トン超えの大型SUV「CX-80」を雪上で限界走行した!!
試乗車主要諸元表

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