この記事をまとめると
■大正期に登場したとされる観光バスはさまざまなシーンで活躍する■多くの人が利用する観光バスは快適性だけではなく安全性も重要
■観光バスは見えない部分に最新装置が惜しげもなく投入されている
「エアロクィーン」「エアロエース」の装備をチェック!
旅行などでお世話になることもある観光バス。路線バスとは一味違う、ゆったりとした乗り心地に魅了される人も多い。観光バスは大正期に登場したとされるが、戦後の高度成長期頃から全国に広まったようである。
2024年10月に発売された三菱ふそうトラック・バスの「エアロクィーン」「エアロエース」は、登場した1982年当初(当時の名称は「エアロバス」)からデザイン性の優れた観光バスとして注目を集めていた。のちに現在の名前になり、「エアロクィーン」がスーパーハイデッカー車、「エアロエース」がハイデッカー車として活躍している。
ちなみにハイデッカー車とは、客室床面にタイヤハウスの張り出しがないものを指している。いい換えれば、タイヤハウスより高い位置に客室床面を配したバスということで、その車高は3.3mになる。スーパーハイデッカー車は、それよりも車高が高くて3.6mある。2階建てバスをダブルデッカー車と呼んでいることから、ハイデッカー車との中間という意味合いで、「中2階車」と呼ぶことがある。
観光バスは多くの人が利用するので、快適性だけではなく安全性も重要だ。ゆえに、「エアロクィーン」「エアロエース」にも、最新の安全装置が多数装備されている。
最新装置が惜しげもなく投入されている
・流体式リターダ
トランスミッションブレーキとも呼ばれている補助ブレーキ。フットブレーキの多用によるベーパーロック現象やフェード現象防ぐ役割を担う。
・車間距離保持機能付オートクルーズ
あらかじめ車速を設定することで、それ以上のスピードが出ないように抑制する装置。
・アクティブ・サイドガード・アシスト
高精度ミリ波レーダーが死角となる車両左側方に存在する歩行者、自転車、車両、障害物などを検知。
・アクティブ・ブレーキ・アシスト4
前方に走行車両、静止車両、歩行者の存在を高精度ミリ波レーダーが検知、衝突の危険性があると判断した場合に段階的に警告(警報音&モニター表示)を発する。さらに、必要に応じて衝突被害軽減ブレーキを作動し、衝突被害の軽減または衝突回避を図る。
・ドライバー異常時対応システム
ドライバーに異常が発生した場合、運転席左側と客席最前部の非常ボタンを作動させることにより車両を緊急停止。システムが作動すると、音と光で車内外に知らせる。
・アクティブ・アテンション・アシスト(顔認識カメラ付き)
顔認識カメラがドライバーの顔の動きを捉え、運転注意力を監視。脇見、眼の開閉状態を感知し、注意力低下と判断した場合はブザーと画面表示で警告。
・車線逸脱警報装置
車線を逸脱すると、モニターの画面表示と運転席バイブレーターによる座面左右の振動で警告。
・車両挙動安定装置
車両姿勢が不安定な状態を感知すると、警報を発してエンジン出力やブレーキを制御し、車両を安定方向へと導く。

観光バスはスタイリングや乗り心地も重要だが、見えない部分に万一のための最新装置が惜しげもなく投入されているのである。