この記事をまとめると
■大阪オートメッセ2025で「わかば」カラーのケンメリ・スカイラインが展示された■その正体は斬新なプロテクション塗装「SPPF」のデモカー
■高い防御性能と剥がせる特性をもちながらもカラフルな新技術の塗装に注目
ただのウケ狙いではない「わかば」カラーのケンメリ
2025年2月7~9日に大阪港湾地域のインテックス大阪で開催された「大阪オートメッセ2025」。記録的な大寒波に見舞われるなか、3日間の合計で19万人以上のカスタムカー好きが来場し、会場は熱気を伴う賑わいを見せていました。
ここでは、多くの出展車両のなかから、筆者がとても興味を惹かれた車両を紹介していきたいと思います。
この記事を見ている人のなかで、「わかば」というタバコを知っている人はどれくらいいるでしょうか?
いま60歳以上の人なら現役で知っている可能性がそれなりにあると思いますが、50代より若い世代では「なんのこっちゃ?」という人がほとんどでしょう。紙巻きタバコのジャンルでは、安くて強めな部類にあたり、昔の人が「これくらいの刺激じゃないと吸った気にならないよなぁ」という感じの銘柄です。
当初から変わらない古めかしいデザインのパッケージも相まって、昔のタバコというイメージがありますが、葉巻タバコに形態を変えたりした時期を挟みながら、いまでも残っている銘柄です。そんな懐かしさを感じる「わかば」のカラーリングで仕上げられた車両が展示してあったので、思わずブースにお邪魔して取材をしてきました。

車両はいま価格の高騰で話題になっている「ケンメリ」こと日産スカイライン(C110型)です。ベースは1973年式の「2000GT・2ドアハードトップ」ですが、オーバーフェンダーや前後のグリルやガーニッシュなどがGT-R用に替えられた、いわゆる「R仕様」という定番のカスタムがほどこされた車両です。

そんな人気の高い「ケンメリ」のハードトップモデルを大胆なカラーリングに塗ってしまった理由を聞こうと、出展社の「西尾ボデー」の西尾さんに尋ねると、「これ、じつはプロテクション塗装なんです」という答えが返ってきました。
この塗装は「SPPF」というブランドの製品だそうで、塗装を飛び石や擦れから保護してくれるとともに、売却などで不要となったときにはキレイに剥がして原状復帰ができるというものでした。ちなみにこの「ケンメリ」はオーナーさんがいる車両で、出展の相談をしたところ気前よく「好きにに塗っちゃってください」と許諾が得られ、オートメッセへの展示となったそうです。

ベースのクリーム色と、2色の緑色の部分がその「SPPF」塗料による塗りわけで、サイドの「わかば」の文字はカッティングシートなんだとか。
まったく新しいプロテクション塗装「SPPF」とは
こういうプロテクション性能をもった機能性塗料は海外塗料ブランドのイメージが強いですが、この「SPPF」という塗料は、「ジェットストローク」という日本の会社が独自開発したものだそうです。
その特徴は、まずゴム質の下地による高いプロテクション性能です。10層に及ぶ塗り重ねによって、プロテクションフィルムの数倍という塗膜の厚みを実現。その厚みのぶん、優れた防御性能を発揮するそうです。

そして、剥がれにくさも特徴のひとつ。プロテクションフィルムの場合はフィルムの端部が風などでめくれてくると、そこから剥がれが進行してしまうことがありますが、この「SPPF」は塗装のため密着性が高く、剥がれにくい特性が長所となっているとのこと。
また、機能性塗料の多くは選べるカラーが少ないという傾向がありますが、この「SPPF」は仕上げのクリア塗膜の一段下にカラー層を設けているのがポイントで、そのカラーは調色ができるため、さまざまなカラーに対応できるそう。

そして、剥がせるというのも大きなポイントでしょう。高い密着性を持ちながら、剥がすときはフィルムのように跡が残ることなくキレイに戻すことができるので、原状復帰や、色を変えてイメージチェンジ、というのもイージーにおこなえます。
塗装の仕上げについても、施工できるのは技術認定をパスしたところだけという認定制度を導入しているので、技術のバラ付きがなく安心して施工が受けられるとのこと。実際に展示してあった「ケンメリ」や、その隣のヒョンデ・コナに施された塗装を見ると、純正の塗装に迫る品質で塗られていることが感じられました。
