この記事をまとめると
■大阪オートメッセ2025に展示された若者による旧車カスタムに注目■神戸のショップ「Car Consul Merit’s」の街道レーサースタイルを紹介
■個性的なカラーリングと遊び心満載の仕様が来場者の視線を奪った
若者のセンスで街道レーサーを楽しくカラフルにドレスアップ!
2025年の2月7~9日に大阪港湾地域のインテックス大阪で開催された「大阪オートメッセ2025」。記録的な大寒波に見舞われるなかで3日間の合計で19万人以上のカスタムカー好きが来場し、会場は熱気を伴う賑わいを見せていました。
ここでは、多くの出展車両のなかから、筆者がとても興味を惹かれた車両を紹介していきたいと思います。
この“街道レーサー”スタイルに仕上げられたトヨタ系旧車のオーナーに話を聞こうとブースを訪ねてみると、まずそのオーナーたちの年齢の若さに驚かされました。メンバーの大半が20代なんだそうです。この集まりは神戸で中古車販売や整備、カスタムなどを全般的に請け負う「Car Consul Merit’s」というショップが中心になっているとのこと。
きっかけはクルマ好きの遊び仲間のひとりが旧車に興味をもち、通りかかった「Merit’s」の店頭に並んでいた「GX-71型マーク II」に惹かれて購入したことだそうで、街道レーサースタイルにカスタムして仕上げていくのを見て、徐々にメンバー間で旧車のブームが起こったんだそうです。
できるだけコストをかけずにカスタムを提供し、やんちゃな旧車の楽しさを味わってほしい、という「Merit’s」の方針が、まだまだ使える費用が少ない若者の生活にフィットしたようです。
とくにトヨタの「1Gエンジン」を搭載するモデルは比較的入手がしやすく、故障しても対処がしやすいという点がそのスタイルを下支えしているとのこと。

1台目はトヨタ・セリカXX(ダブルエックス)です。直線基調のシャープなエッジが効いた80年代を象徴するような雰囲気で、格納式のリトラクタブル・ヘッドライトによってクサビ状に低くスラントしたフロントノーズが特徴の車種です。
そのスタイリングをそのまま活かし、オリジナルの車高調でギリギリまで車高を落とし、昔ながらの叩き出しによるワイドフェンダーには、深いリムをもつワイドホイールを納めて引っ張りタイヤを組み合わせ、低く構えるスタイルに仕上げています。

フロントとサイドの下側にはスポイラーを追加して、路面に吸いつくような低さを強調しているのもポイントです。
マフラーは、ツインカムの1G-GEエンジン特有の高回転の快音を活かすように細めのパイプで構成されたものを装着しています。

2台目はC110型スカイラインの4ドアセダン版、通称「ヨンメリ」を街道レーサースタイルに仕上げた車両です。
こちらはトヨタ系旧車好きの仲間が集う「Car Consul Merit’s」の代表が乗る車両だそうです。今回の仲間内での出展では唯一の日産車で、時代もひと世代前のモデルになります。テールから高く突き出した2本の排気管、いわゆる“竹ヤリ”はさすがにこのショーに出展するために製作したものですが、それ以外の部分はこの状態のまま普段乗りしているそうです。

フロントまわりはまず30cmは突き出しているであろうアンダースポイラー、いわゆる“出っ歯”が目に留まりますが、グリルまわりに“レーシングジャケット”というカバーを装着して顔まわりを引き締めています。

リヤ側で12J以上はありそうな超深リムの「SSRマーク I」ホイールが収まる膨らみのワイドなワークスフェンダーは、ボディ色の効果か、その出っ張り量のわりに馴染んで見えます。全体的にヨンメリの時代に合った当時の雰囲気で仕上げられているのがいちばんのポイントですね。

奇想天外なパロディ連発!
3台目は眩しささえ感じるほどの鮮やかなイエローで仕上げられたトヨタ・チェイサー(GX71型)です。ボンネットとサイドにはロゴマークとアルファベットの文字があしらわれていますが、この書体と色づかいはどこかで見たような……。そう、あの格安居酒屋チェーンの「鳥貴族」でした。

このセンスは昭和の街道レーサーをリアルタイムに見てきた世代には思いつかないものでしょう。昭和の当時のセオリーに則りながら、いまの時代ならこうする! という遊びの感覚が感じられます。
こちらの車両も超ワイドな張り出しを見せるワークスフェンダーに12J以上ありそうな超深リムの「スターシャーク」ホイールを収め、ボディを囲む下側にはぐるりと幅広なスポイラーを装着。畳1枚分はありそうな大型のリヤスポイラーなどなど、ボディワークはしっかり当時のセオリー通りに仕上げられています。幅広のワークスフェンダーの装着はリヤのドアを封じてしまい後席が使えないので、その割り切りに漢気を感じます。

4台目はトヨタ・マーク II(GX71型)で、先のワークスフェンダーを装着した超ワイドなスタイルとはアプローチの違う1台です。ブルーとホワイトの2色のカラーの境目に赤と金のストライプが入るこの独特のカラーリングは、1980年代にホンダの2輪のワークスチームのスポンサーカラーとして高い人気を誇った「Rothmans(ロスマンズ)」というタバコ銘柄のものです。

そのレーシーなイメージに合わせて、ボディの仕上げも硬派なイメージのつくり込みが施されています。フロントまわりはボンネット前端を延長するロングノーズでスピード感を強調。グリルやバンパーなど、速く走るためには不要なパーツを外すことでスパルタンな雰囲気になっています。
丸みのあるオーバーフェンダーに収まるホイールは、これまた当時の人気ホイール「テクノファントム」。サイズは10Jくらいでしょうか。

リヤもフロントと同様にバンパーを外したスパルタンな仕上げで、後方に突き出した2本のマフラーエンドもレーシーさを強調しています。

5台目はトヨタ・クレスタ(GX71型)です。こちらのやや緑が入った水色のボディカラーもなんだかどこかで見たような……。記されたロゴは「TIFFANY&CO」となっています。そう、あの高級ジュエリーブランドの「ティファニー」でした。ちなみにこちらのクレスタのオーナーは、黄色の「鳥貴族」チェイサーのオーナーの奥さんだそうで、夫婦そろってGX71乗りとは、かなりのハマり度合いですね。

こちらもフロント、サイド、リヤにワイド感を強調するエアロを装着していますが、旦那さんのワークスフェンダーとは方向性を変えて、フェンダーをホイールに合わせて少し叩き出して合わせるだけという控えめな仕上がりになっています。
そのぶん、ホイールのサイズも控えめな幅のものを選んでいますが、ブランドは同じ「スターシャーク」という点に夫婦愛を感じます。

ただ、リヤにまわるととても控えめとは思えない主張が現れます。カミナリをモチーフにジグザグに折り返された竹ヤリが空に向けて突きだしていました。これもあくまでもショー用にあつらえたものですが、妙な凄みを感じます。

ラストは1台目と同じトヨタ・セリカXX(ダブルエックス)ですが、一見「これXXかな?」と少し悩むくらいに異なる雰囲気の仕上がりになっています。“ド”が付くくらいに真っピンクに塗られたこの仕上げのモチーフは「桃の天然水」です。CMに華原朋美や浜崎あゆみという、やんちゃ界隈に人気が高かったタレントを起用して浸透していた、まさに“平成”を象徴する飲料ですね。令和のいまでは懐かしさを感じます。

こちらの車両は、フロントにロングノーズと出っ歯をあしらい、その突出量のままサイドにまわり込んでワークスフェンダーを装着。
ホイールは「スターシャーク」で、思わず「乗り降りが大変そうだな」と思ってしまうくらい幅広のサイドスカート、そしてテールゲートはロングスポイラーと一体型の「アイローネ」タイプに交換などなど、しっかり街道レーサーのセオリーに沿った見事な仕上がりです。

こちらもマフラーは“竹ヤリ”ですが、ジグザグが二段になっていて、さらに手が込んでいます。
