この記事をまとめると
■クルマを購入する際にディーラーで確認すべきポイントを紹介■後悔しないために実車でチェックすべき項目は多い
■同一車種の違うグレードで試乗して決めるのも避けたい
後悔しないクルマ選びの秘訣
クルマを購入する際、自動車雑誌やWEBなどでチェックし、はたまたTVCMを見て「これだ!!」と思って候補車を絞り込み、購入に至るケースは少なくないはずだ。
しかし、デザインや性能のスペックだけを見てお気に入りになったクルマも、いざ、ディーラーでショールームのクルマに触れ、試乗してみると、部分的に「あれれ、思っていたのとは違う……」とガッカリすることもありうる。それが、買ったあとだと取り返しのつかない大後悔になる。
そこで、ディーラーで試乗する際の、後悔しないためのチェックポイントを今回は紹介したい。
まず、多くのドライバーとなる人が見落としやすいのが、運転席の視界、シートのかけ心地、スイッチ類の操作性はチェックするものの、後席にまで気がまわらないことだ。クルマのシートは運転席の仕立て、かけ心地を最優先としていることも多い。軽自動車であっても前席はしっかりと造り込まれていることが大半だ。

しかし、クルマのキャラクターによっては、後席のシートの仕立て、かけ心地がいきなりプアになっていることもありうるし、ミニバンの場合は特等席の2列目席まではシートのかけ心地が気遣われているものの、3列目席は格納アレンジなどの都合で平板な補助席的シートになっていることもないではない。よって、すべてのシートに座ってみることが重要だ。そこをチェックしないと、あとで後席に乗る家族からブーイングが出るかもしれないのである。

運転手の立場では、視界はもちろん、ステアリングの握り心地、シートとステアリング調整によるドライビングポジションもチェックしたい。手の小さい人が、ず太いステアリングを握るのは疲れそうだし、自身にとって適切なドライビングポジション(シート、ステアリングの調整だけでなく、ダッシュボードの高さも影響する)が取れるか否かも、運転のしやすさ、しづらさに直結するからである。

今ではどんなクルマにもエアコンは装備されているが、後席に誰かが乗る機会が多いなら、後席の空調環境もチェックしたい。というのは、2024年の夏のような酷暑では、車内温度の上昇が避けられず、とくにダッシュボードにあるエアコン吹き出し口だけでは、後席に冷風が行き届きにくいのだ。
そこで、後席の快適性を重視するのであれば、後席エアコン吹き出し口の有無、あるいはホンダ・フリードにあるコンパクトミニバン唯一のリヤクーラー、スズキ・スペーシアなどにあるリヤサーキュレーターの有無、リヤウインドウのサンシェードの装備など、グレードによる装備の有無を含め、確認しておきたい。

車内にあれこれ小物を積んでおきたい人にとっては、収納の数、容量、位置も重要だ。
よって、ディーラーのショールームで車内に積んでおくべきアイテムをイメージし、どこに何が入るかのチェックは不可欠。デザイン性重視のインテリアをもつクルマなどでは、意外なほど収納が少ない、容量が小さいこともある。そしてドリンクホルダーの数、位置、スマートフォンの置き場、USBソケットの位置関係のチェックもお忘れなく(最新の新車では十分に考えられているが)。細かすぎるチェックポイントかも知れないが、乗り始めて「使いづらい」では困る。

駆動方式も要チェック!
もちろん、クルマに荷物を積むことがあるわけで、ラゲッジルーム(トランク)の使い勝手のチェックも怠れない。ポイントは、まず開口部の高さと段差。これは重い荷物の出し入れ時にかかわる使い勝手の重要事項となる。
そして実際に積み込む荷物がしっかりと入るかもしっかりチェック。あるSUVは、先代モデルだとゴルフバッグが余裕で積めたものの、新型では後席使用時にゴルフバッグがひとつも積めない……なんて、ウソのようなことがあったりする。できれば普段積む機会が多い、大型の荷物(ベビーカーやゴルフバッグなど)をディーラーにもち込み、実際にラクラク積み込めるか確認したいところである。

車種によっては、コンパクトなボディなのにラゲッジルームが意外に大容量(スズキ・ソリオ、トヨタ・ライズ、ダイハツ・ロッキーなど)というクルマもある一方、ボディの大きさに対して、ラゲッジルームが想定外に狭い(とくにゴルフバッグのような長さのあるものが積みにくい)クルマもあるのである。

ドライビングポジションや装備に満足し、シートのかけ心地は前後席ともにチェックし、問題なし。ラゲッジルームの使い勝手もしっかり確認した。これで走行性能を除けばチェック終了……とはいかない。意外と見落としがちなのが、シートアレンジだ。アウトドアユースや災害時に車内をベッド化して車中泊し、避難所として使うことを想定すれば、シートのフラットアレンジの可否、寝心地までチェックしておくことに越したことはない。そのシートアレンジの操作性、フラット度、寝心地のチェックも忘れずに。

ディーラーのショールーム内でチェックできるのは、ほぼここまで。
もちろん、試乗して乗り心地や動力性能、車内の静かさ、操縦感覚などのチェック、自分好みに走ってくれるかどうかの確認は不可欠だが、ここでもあとで後悔するかも知れない「落とし穴」があったりする。
そのひとつがナビゲーション。ナビはスマホのナビアプリで十分……という人は別にして、純正ナビの機能に期待している人にとっては、ナビの標準装備、オプション装備についてはもちろん、その機能、とくによく使うであろう目的地設定のしやすさに注目したい。

自動車メーカー、ナビのメーカーによって使い勝手はけっこう異なり、輸入車の一部では、日本車の優秀な純正ナビを使い慣れた人の感覚ではかなり使いづらいナビも存在するからである。
そして極めて重要なのが、ディーラーの試乗車の関係で、狙うクルマと別の仕様の試乗車にしか試乗できないケースだ。4WD狙いなのに2WDモデルしか試乗車の用意がない……(その反対も)。これは結構危険だ。2WD車で満足できた走行性能が、4WDになると満足できない(反対もありうる)なんてこともあったりする。

某ミニバンは2WDであれば快適に、静かに走ってくれるものの、4WDになるといきなりノイジーになる、なんてこともあるし、4WDの出来がよく、4WDの試乗車に乗って満足しつつ、試乗していない2WDを買ったら、あれ、走りのテイストがけっこう違ってガッカリ……なんていう後悔もなきにしもあらずだ。
狙い目のグレード、駆動方式が絞り込めていて、訪れたディーラーにその試乗車がない場合は、高い買い物だけに、断固としてほかのディーラーから希望に近い試乗車を取り寄せてもらうか、または狙い目のグレード、駆動方式の試乗車があるほかのディーラーを訪れ、試乗すべきなのである。
そうそう、ボディカラーの選択で、ディーラーのショールームの展示車、試乗車に好みの色がなく、色見本で決めてしまうのも後悔あるあるだ。色見本だけでは、ボディの大面積に塗られたイメージと異なる場合があるからだ。

また、新車のイメージカラーをセールス氏がすすめてくることもありうるが、イメージカラーは尖った色、特徴的な色であることが少なくなく、好みがわかれ、下取り時に不人気色として不利に働く可能性もないとはいえないので、要注意である。