この記事をまとめると
■ダイハツは地域密着プロジェクト「健康安全運転講座」を行っている■理学療法士の指導で体力維持や認知機能向上をサポート
■衝突回避支援システムの体験などで事故防止の意識を高める
ダイハツが主導し産官学民で安全運転を目指す
年間の販売台数が約3万台といわれる福祉車両のうち、約4割を占める軽自動車の福祉車両。その約半数を占めるシェアをもっているのがダイハツです。福祉車両の開発現場では、ユーザーの困りごとに幅広く対応すべく、常に現場の声を聞いたり、ユーザーや地域の人たちとの接点拡大に努めているといいます。
その一環としてダイハツは、グループスローガンである「Light you up」を体現するための新たな取り組みとして「地域密着プロジェクト」をスタートしており、社会課題のひとつである「少子高齢化」「地域活性化」に着目。ダイハツの強みを活かすことで、「いくつになっても自由に移動できる自立した生活」をサポートする取り組みを行っています。
これは産官学民が手を取り合い、主旨に賛同してくれた方々と連携して地域を支えていく活動で、ダイハツの店舗で「健康安全運転講座」を開催。国家資格をもった医療従事者である理学療法士が安全に運転するための体力維持、筋力アップの運動指導、認知機能維持のための指導を行い、JAFとダイハツが安全運転を指導し、衝突回避支援システムの体験を実施するという内容です。

ちなみに理学療法士とは、日常生活で必要な基本動作ができるように、身体の基本的な機能回復をサポートする動作の専門家です。
参加者はダイハツの店舗に集合して受付をし、健康状態チェックのために血圧測定を行います。まずは座学で健康安全運転講座について話を聞いたあと、理学療法士による体力測定と運動指導に入ります。

安全な運転を続けるためには、自分の身体能力について知ることが重要ということで、年齢とともに衰えていくバランス感覚の測定から。簡単に計測できる片足立ちで、両手を腰に当てて好きなほうの足を床から5cmほどあげ、ふらついたり足がついたり両手が離れたりしたら計測終了。
この秒数によって、体力年齢がわかります。60秒以上なら60歳以下。50秒前後は60代前半と同じくらい。

また、安全に運転を行う際に重要な柔軟性を高めるストレッチ体操も指導。なんでも、ペダルの踏み間違い事故の原因のひとつは、股関節の柔軟性が衰えてきていることなのだそう。周囲の安全確認のために、身体をねじったり首をひねって後ろを向いたりするときにも柔軟性が重要となってきます。椅子に座ったままできるストレッチ体操なら、自宅でも取り入れやすいことでしょう。

さらに、認知機能を維持するための運動も。頭と手を同時に使った「二重課題」という脳を刺激する運動や、頭と手に加えて足も使った運動などを行います。その後、実車を使ったJAFによる安全運転指導講座、ダイハツによる衝突回避支援システムの体験に移ります。
クルマの運転に潜む危険を実車を使ってレクチャー
まずは、安全運転のふたつのポイント、「クルマの死角を意識しよう」「ペダルの踏み間違いに気をつけよう」ということで、店舗の前にクルマを停めて、カラーコーンを使って死角を確認していきます。クルマに乗り込む前に、まわりを1周まわって死角をチェックすることも推奨。運転席では、周囲が見渡しやすい正しい運転ポジションの取り方も指導します。

ペダルの踏み間違いについては、どんなときに踏み間違うことが多いのか、原因を明らかにしていきます。じつは、人はびっくりしたときに踏み間違いを起こしやすく、ブレーキだと思ってアクセルを踏んで急加速してパニックになってさらに踏み込んでしまうとのこと。
また、踏み間違いを起こしやすい場所としては駐車場が多いのだとか。周囲を確認しなければならないことや、車庫入れに集中してしまうという理由で、足もとへの意識がおそろかになりがちだということです。踏み間違いを起こさないための対策として、足を置く位置を決めて、ペダルの位置との距離や足の動きをしっかり見ておき、普段から正しく踏む練習をしておくことが大事だそう。

最後に衝突回避支援システムを実際に体験して、健康安全運転講座は終了。2017年5月から本格的に開始してから2024年3月までで、累計4600名を超える地域住民の方々が参加したとのことです。
2024年度以降も、51の販売会社・80の市町村で実施を予定しているというダイハツの健康安全運転講座。いくつになっても自由に移動できる自立した生活を目指して、ぜひ多くの人に参加してほしいですね。