レッドゾーンは機械的に壊れないラインを知らせるためのもの
クルマのタコメーターには、高回転域が赤く表示された、いわゆるレッドゾーンというのが設けられている。「アクセルを全開」にするというのは、文字通りスロットルペダルを床まで目いっぱい踏むことだが、「エンジン全開」となると、このレッドゾーンぎりぎりまで回転数を上げることを指す。
エンジンは基本的に高回転になればなるほど大きな出力を発揮するわけだが、エンジンの回転数が高まると、ピストンやバルブ、クランクシャフト、コンロッド、メタル、ブロックなどといったエンジンの主要部品への負荷が増大し、やがて高回転時の力や振動に強度的に耐えられなくなった部品は壊れて、エンジンがブローしてしまう……。
自動車メーカーでは、新車のエンジンに5年または10万kmの特別保証をつけているので、少なくともその期間中はエンジンが壊れてしまうことがないように、慎重に強度を計算し、この回転数まで回しても機械的には問題がない、というラインを知らせるために、タコメーターにレッドゾーンを設けて、ドライバーにそれを知らせている。
とはいえ、レッドゾーンは文字通り「ゾーン」であって、例えば6500回転がレッドゾーンのはじまりなら、8000回転ぐらいまでそのレッドゾーンが続くはず。これは一体……。
レッドゾーンの下限からプラス500~1000回転で制御が入る
じつをいうと、メーカーはレッドゾーンにもやや余裕を持たせていて、本当にエンジンにダメージを与えるような高回転までは回らないよう、レブリミッターを入れている。
クルマによっても違いはあるが、一般的にレッドゾーンの下限から、プラス500~1000回転ぐらいのところになると、コンピュータが燃料をカットしたり、電子制御スロットルを戻したりして、それ以上回転が上がらないように制御が入る。これがレブリミッター。

ここが本当の許容回転数の上限で、これ以上回転が上がってしまった場合は、メーカーもエンジンの保証ができなくなる。ただ、コンピュータなどを書き換えて、レブリミットの上限を引き上げたりしない限り、加速中にそのレブリミットを超えることはないので、オーバーレブでエンジンを壊すようなことはほとんどない。
例外として、MT車でシフトダウンするときに、誤って車速に対し極端に低いギヤに入れてしまったりすると、許容回転数を越えるオーバーレブになり、エンジン内部でバルブとピストンがクラッシュして、エンジンブローになることも!(5速から4速に入れるつもりが、2速に入ってしまった、あるいは4速から3速へのつもりが1速に入ってしまったようなケース)

またレッドゾーン未満でも、エンジンが冷えた状態で高回転まで回したりすると、エンジンにダメージを与えるし、暖気が済んでいる場合でも、高回転を多用する人ほど、エンジンの消耗は早くなる。
しかし、レッドゾーンまではメーカーも許容している回転なので、ときどきレッドゾーン手前まできっちり回して、加速フィールを楽しんでほしい。エンジン自体も常に低回転しか使わないエンジンより、たまには高回転まで回したほうが、軽やかにまわり、調子のいい状態になるので、レッドゾーンまでは安心して(?)使ってOKだ。