ボディのダクトは大きく3種類に分けられる!

普通はツルっとしているフェンダーまわりだが、レーシングカーのフェンダーには、フェンダーダクトという穴がいくつもあけられていることがある。このフェンダーダクトの役割とは?



レーシングカーがボディにダクト(穴)を設ける場合、その目的はおよそ以下3つパターンに分類できる。



1. エアインテーク



2. エアアウトレット



3. クーリングリング



このうちフロントフェンダーのダクトは、ほぼエアアウトレット一択で、ボンネットの両脇(フェンダー上部)にルーバーのようなダクトがついている場合は、エンジンルームの熱気を抜くための冷却用ダクト、もしくはホイールハウス内に溜まって、車体をリフトしようとする空気を抜くエア抜き用のダクトになる。



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またフロントタイヤの後方、ドアとタイヤの間に設けられたダクトは、ホイールハウスの中で発生する乱流を引き抜き、リフトフォースを減らす効果がある。



むかしのラリーカーなどでは、かなり大胆にフェンダー後端に切り欠きを入れるクルマがあったが、のちにレギュレーションで切り欠きの範囲を制限した。つまり、それだけ効果があったということ。このダクトは、フロントバンパーにカナードをつけると、合わせ技で効果が倍増する。



レーシングカーのボディはなぜ「穴」だらけ? その効果と市販車に採用されない理由



ただし、インナーフェンダーがノーマルのままだと、ホイールハウス内の空気は抜けないので、インナーフェンダーもダクト形状に合わせてカットしないと無意味。ただのダミーダクトになってしまう……。



フェンダーダクトの効果は公道では得にくい

リヤのフェンダーダクトも基本的にはフロントと同じ。ただし、ミッドシップやRRのクルマは、リアタイヤの前にラジエターなどを冷やすためのインテークダクトがあるクルマがある。フェンダー後方のダクトについては、フロントと変わらない。



レーシングカーのボディはなぜ「穴」だらけ? その効果と市販車に採用されない理由



むかしのWRCのラリーカーは、リヤホイールハウスの後部を、けっこう大きなダクトにして、ホイールハウス内の空気を引き抜く工夫をしていた。



自分のクルマをカスタムして、フェンダーダクトをつけたい人は、ダクト付きのワイドフェンダーを装着するとレーシーさが増す。または汎用のダクトを買ってボディを加工して取り付けたり、無加工で“ダミー”のダクトを貼り付けてドレスアップというのもひとつの手。



レーシングカーのボディはなぜ「穴」だらけ? その効果と市販車に採用されない理由



フェンダーダクトの効果は、レーシングカーなどでも実証されているが、ほかのエアロパーツと違い、公道レベルで実感できるかというとなかなか難しいところ。レーシングスピードで走らない限りは、機能部品というより、ファッションと考えた方が間違いない。

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