右ハンドル車だと左手で操作することになる
ナビケーションシステム、インフォテイメントシステムの多機能化によって、ナビなどの操作を、センターコンソール上にあるダイヤルやタッチパッドで行うクルマが存在する。国産車ではマツダ、輸入車ではメルセデスベンツ、BMWが代表的で、マツダは「コマンダーコントロール(タッチパッド機能)」、メルセデスベンツは「COMANDシステム」、BMWは「iDriveコントローラー(コントロール・ディスプレイ用、ダイレクト・メニュー・コントロール・ボタン、タッチパッド付)」などと呼ばれているが、すべての人にとって、使いやすいと言えそうにない理由がある。
そもそも、ナビなどの操作を手元で行う仕様は、まず、ディスプレイが遠いことが挙げられる。
が、マツダ3、メルセデスベンツA/B/Cクラス、BMW3シリーズにしても、ディスプレイがどうにも手の届かない場所にあるわけではない。むしろ、多機能に対応する機能の集約と、先進性のアピールが目的のように思える。それには、ディスプレイが指先の手垢(てあか)で汚れない、操作時の姿勢変化が少なくて済む……などのメリットがある。
しかし、パソコンのマウスやスマホの操作経験の少ない人、シニア層にとっては、慣れない操作となりがちだ。ディスプレイのスイッチ&タッチ操作のほうが直感的に使えるのではないだろうか。
さらに、右ハンドル車の場合、ダイヤルやタッチパッドは左側にあり、左手で操作することになる。普段からデスクトップパソコンのマウスを使用しているボクにしても、右利きの場合、慣れないと指先の操作がスムーズにいかないこともあったりする。とくに、ひらがなをダイヤルスイッチで1文字ずつ入力していく作業は面倒このうえない。
最近では、音声コマンドで各種機能を使えるようになっているとはいえ(今ひとつ信用できないが)、センターコンソールのコントローラー操作を使いこなすには、慣れや練習!? が必要になったりするわけだ。
ブラインド操作ができないうちは視線を落とすことに
実際、画面操作のインフォテイメントシステムを使っているボクが、新車の試乗などでセンターコンソールのコントローラーを操作する際、たとえばトヨタ・アルファード&ヴェルファイアのような、ドライバーに近い位置にある、高精細9.2型TFTワイドタッチディスプレーの静電式タッチパネルとスイッチを操作するよりずっと面倒に感じる。

スマホやタブレット経験者なら、画面は汚れるものの、フリック操作やマルチタッチによる拡大・縮小表示による操作方法のほうが、使いやすいと感じる人が多いはずである。
メーカーとしては、センターコンソールのコントローラーはブラインド操作も可能で便利……と説明するが、毎日乗っていて、しょっちゅうダイヤルやタッチパッドを操作している人ならともかく、たまにしか乗らないサンデードライバーだと、慣れるまでに相当な時間がかかると思われるし、ブラインド操作ができないうちは、視線を大きく落とす必要も出てくるのだ。もちろん、センターコンソールのコントローラー操作のほうが、慣れれば使いやすいという人も、なかにはいるはずだが。

結論として、ディスプレイが、どうにも手が届かない位置にあるクルマはともかく、個人的にはディスプレイを直接操作でき、ステアリングスイッチやボイスコントロールを併用するナビ、インフォテイメントシステムのほうが使いやすいと感じている(シニアなので)。タブレットを使うのに、別体の複雑な操作を強いられるダイヤル&タッチパッドでしか操作できないとすれば、やっぱり面倒ではないか……。

新車購入の際、センターコンソールのコントローラー装着車なら、実際に目的地設定などをさまざまな入力方法で試して、使い勝手の良否を確認しておくことをお薦めする。もっとも、お気に入りのクルマを、ナビやインフォテイメントシステムの操作のしにくさだけであきらめるのは、ナンセンスだが。
そんな議論をよそに、時代は本体にナビ機能を持たない、スマホとクルマを接続することを前提とした、車内でスマホの機能やアプリが使えるディスプレイオーディオ標準装備の方向に向かっていたりもするんですけどね……。