成熟期を迎えモデルチェンジのサイクルは伸びている
国産車では、長い間4年に一度のフルモデルチェンジというのが定番だったが、技術革新も一段落し、良くいえば成熟期、悪くいえば頭打ち気味になり、モデルチェンジのサイクルは徐々に伸びる傾向にある。そうしたなかで、流行り廃りを乗り越えて、10年、20年とモデルチェンジなしで、生産され続けたご長寿モデルを振り返ってみよう。
1)フォルクスワーゲン・タイプ1
ロングセラーといえば、真っ先に思い浮かぶのが、フォルクスワーゲン・タイプ1。いわゆる「カブトムシ」(ビートル)だ。
2)ラーダ・ニーヴァ
ビートルに次ぐ長寿モデルといえば、ロシアの自動車メーカー、アフトヴァース社が製造する「ラーダ ニーヴァ」だろう。ラーダ ニーヴァの登場は、1977年。42年間モデルチェンジなしの現役モデル。モノコックボディのSUVで、「ロシアのジムニー」といった存在だ。ボディサイズも、ちょうどジムニーシエラとほぼ同サイズ。本国では、約70万円~という価格の安さも人気の秘密。日本にも1980年代から輸入があり、国内でも稀に見かけることがある。

ちなみに去年フルモデルチェンジをして、いまだにたくさんのバックオーダーを抱えているスズキ・ジムニーもモデルチェンジの少ないクルマとして有名。

3)トヨタ・センチュリー
国産車で長寿モデルといえば、トヨタのセンチュリー。先の天皇陛下の祝賀御列の儀で話題になったセンチュリーは、2018年に登場した3代目センチュリーがベースだが、初代は1967年~1997年まで、30年間、トヨタのプレステージサルーンとして君臨。「伝統的な日本の美」というのを特徴にしていた。

2代目センチュリーも、1997年 ~ 2017年と20年の歴史があった。国産の市販乗用車として、唯一のV型12気筒エンジン(5リッター280馬力)を搭載したクルマがこの2代目センチュリーだった。
マニアに愛されたからこそ長寿のクルマもある
4)三菱デボネア
高級車の長寿モデルでは、三菱の初代デボネアも印象深い。国産車の技術進歩が凄まじく、4年でフルモデルチェンジが当たり前、ひとつ前のモデルが本当に古臭く見えるほど、日進月歩が続いた1964~1986年の22年間、フルモデルチェンジなしで乗り切った一台。

モデル末期の頃は、月販販売台数が一桁続きで、自動車雑誌の巻末の販売台数リストを見て、「うぉ~、先月はデモネアが4台も売れた~」と毎月チェックするという楽しみ方があったほど。三菱グループのお偉いさんが乗るクルマという使命があったからこそ生き延びた!? 当時は、生きた化石「シーラカンス」というのがあだ名だった。
5)日産GT-R
スポーツカーでいえば、日産GT-R(R35)。第三世代のGT-Rとして、2007年にデビューし、イヤーモデル(YM)として年次改良を加えながら、12年間もスポーツカーの世界で一線級のパフォーマンスをキープしているのは立派。日産車全体のモデルチェンジが滞っているとはいえ、この先GT-Rがどうなっていくのかは、気になるところ。ハイブリッド化なども含め、何とか生き延びる方向で次期GT-Rを登場させてほしいものだ。

その他
かつてのクロカン4WDの代名詞「ジープ」もロングセラー。

また、TSレースなどでも活躍した名車B110サニーをベースにした、日産のサニートラック(2代目)も1971~1994年、23年間生産され、愛され続けた一台。サニトラは、FRで軽量、レトロな感じで人気があり、純正部品のカンガルーウォッシャータンクは、他のクルマのチューニング、カスタムにもよく流用された。

今年生産中止になってしまった、三菱の4代目パジェロも、2006年の登場だったので、モデルライフは13年。同じ2006年生まれで同級生だったトヨタの3代目エスティマも、今年一緒に生産中止……。三菱ではデリカD:5も、2007年のデビューなのでけっこう長生き。そういえば、今年「50周年記念車」を発売した、日産のフェアレディZ(Z34)も、2008年の登場で、歴史あるクルマになってきた。
