歩行者への安全性が考慮されている

ドレスアップにおいて王道であり、基本と言われているのはフェンダーとタイヤをツライチにすることだ。つまりフェンダーとタイヤのフェイス面が同一線上にある状態で、見た目は確かにかっこいい。逆を言えば、純正ではツライチではなく、タイヤが奥に入っていて、見た目は今ひとつだ。

法律的にはフェンダーからタイヤがはみ出ていなければ問題はないが、各メーカーが規定によって内側にタイヤを追い込んでいる。



もちろん社内規定であって、最近は各メーカーのデザイナーに聞くと「社内規定ギリギリまでタイヤを外側に出した」という声をよく耳にするし、なかには「スタイルにこだわり例外的に規定よりも外側に出すことにした」というクルマもあったりする。



【なぜメーカーは新車状態でツライチにしない?】フェンダーとタ...の画像はこちら >>



そもそもその規定とはなにが基準になっているのだろうか? 一番大きいのは歩行者に対する安全性。フェンダーぎりぎりだと法律的には問題ないにしても、もし歩行者に当たった場合、巻き込まれる可能性は高くなる。確かにノーマルぐらい内側に入っていれば、安全性は高まる。



チェーン装着にはタイヤとフェンダーの間にスペースが必要だ

そしてもうひとつの大きな理由が、チェーンの装着だ。スタッドレスが主流と言ってもチェーンを装着する可能性はある。チェーンを付けるのにはかなりのスペースを必要とするので、フェンダーぎりぎりだと当たってしまう。付けた上でサスペンションがストロークすることを考えると、スペースに余裕のある内側にタイヤを配置しないと当たってしまうのだ。



【なぜメーカーは新車状態でツライチにしない?】フェンダーとタイヤのすき間が大きいクルマが多いワケ



ストロークに関してはチェーンを装着しない場合でも配慮されていて、ドレスアップではフェンダー内側のツメを折って当たらないようにするものの、純正では内側に飛び出た状態だ。フルバンプしてタイヤが上に上がった場合でもホイールハウス内に当たらないようにするには、やはりツライチでは危険(ツメに当たってバーストするなど)で、内側にタイヤを置くほうがリスクは少ない。



そのほか、手が入れやすくてタイヤ交換がしやすいなど、細かいポイントも含めて社内規定は決められている。

最近では昔よりも手前に出ているが、それでもフェンダーとの同一面よりけっこう奥にあるし、メーカーとしてはツライチにすることは安全面などを考えると今後もないだろう。

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