ハイスペックなミニバンやクロスオーバーSUV!
ファミリーカーとしてはもちろん、VIP御用達の多人数乗用車として使われるミニバンや、今世界的にブレークしている、悪路にも強いクロスオーバーSUVのなかには、本気を出すとスポーティーカーさながらの速さを備えたモデルが存在する。いわゆる、隠れアスリート車である。
1)ホンダ・オデッセイ アブソルート
ミニバンの筆頭は、ホンダ・オデッセイのアブソルートだ。とくに2.4リッターガソリンのアブソルート HONDA SENSINGは、同排気量エンジンを積む標準車の175馬力、23.0kg-mに対して、190馬力、24.2kg-m(FF)までパワー/トルクアップされた専用チューニングユニット、および専用チューニングサスペンション、17~18インチタイヤを装着(18インチはオプション)している、“本気の”ミニバンだ。
両側スライドドアを備えた、国内ホンダ最上級ミニバンにして、ライバルメーカーのミニバン担当者に「ミニバンの皮をかぶったスポーティーカーそのもの!」と言わせたほどのスポーツ度、アスリート度を備えている。そのぶん、デビュー当初は乗り心地がスポーティーすぎて!? 固かったが、熟成された今では、ファミリーカーとしても通用する乗り心地に改善されている。
2)トヨタ・アルファード&ヴェルファイア
オデッセイの場合、スポーティーな走りを見せつけてくれても、ホンダファンならそれほど驚かないと思うが、トヨタのアルファード&ヴェルファイアもまた隠れアスリートである……と聞けば、本当か! と驚くかもしれない。
アルファード&ヴェルファイアには、人気のHVのほか、2.5リッター直4と3.5リッターV6のガソリンエンジンが用意されるが、その3.5リッターV6は国産ミニバン最高峰の301馬力、30.1kg-mという強力なスペックの持ち主。それは本来、余裕のためにあるはずなのだが、シリーズ中でもっとも尖ったエアロ仕様、18インチタイヤを履くアルファードSC、ヴェルファイアZGに至っては別物。

アクセルに対する301馬力の反応は車高、重心に考慮した穏やかなもので、巡航中は大空間サルーンならではの静かさが特徴ではあるものの、その気になってエンジンを高回転まで回せば、低音の効いた快音とともに、血の気がひく、胸のすく強烈な加速力を発揮。パワステはV6専用の制御を採用し、操縦性は応答性抜群で、操舵感は切る、戻す両方向ともにじつにスッキリ。狭いS字カーブもほぼ水平感覚のままスイスイと意のままに飛ばせ、まさにドライバーズカーと呼べる快感走行性能の持ち主なのである。
ちなみにアルファード&ヴェルファイアの開発陣のなかでも、走り好きな走行性能の担当者が一押しするグレードは、なるほど、V6のアルファードSC/ヴェルファイアZGだそうだ。同感である!

悪路でも速いSUVモデルが存在!
3)マツダCX-5
続いて、クロスオーバーSUVのジャンルに目を向ければ、ポルシェカイエンターボが世界最速のSUV(0-100km/h加速4.1秒)であることは誰もが想像できそうだが、国産SUVで絶対的に速い、というより、山道でも安心してスポーティに飛ばせ、走れるクロスオーバーSUVの筆頭が、2.2リッタークリーンディーゼルターボエンジンとG-ベクタリングコントロールを備えた、2019年上半期のクリーンディーゼルエンジン×SUVでもっとも売れたマツダCX-5ではないだろうか。

スペックとしては、最高出力190馬力はともかく、最大トルクは、レクサスLFAやスカイライン400Rと同等の、驚愕の45.9kg-mもあるのだ! その強大なトルクの威力は山道の急勾配の上り坂でもいかんなく発揮され、しかも、「子供やペットがクルマ酔いしにくくなる」というG-ベクタリングコントロールによる絶大なる安定感、足腰の強さによって、車高、最低地上高の高いクロスオーバーSUVにして、高速走行はもちろん、山道でさえ安定感たっぷりに走ってくれる(乗員全員が揺すられにくい)のだから、まさに隠れアスリートと呼べる1台と言っていい。
4)レクサスLX
そして、国産SUVの頂点に立つ1台がレクサスLX。パワーユニットはレクサス最大級排気量の5.7リッターV8で、最高出力は377馬力、最大トルクは534N・mと、これはもうスーパーカーに匹敵する。車重は2.6トンを超えるものの、アクセルを思い切り踏みつければ、怒濤の加速を開始するから驚きだ。高速道路はもちろん、悪路でも速いのが、本格アスリート車らしさを感じさせる。

5)トヨタRAV4 アドベンチャー
ちなみに、絶対的なパワー、速さというより、山道などでスポーティーカーのように曲がれる1台として付け加えておきたいのが、日本カー・オブ・ザ・イヤー2019-2020を受賞したトヨタRAV4のアドベンチャーグレードだ。このグレードのみ、世界初のダイナミックトルクベクタリングコントロールAWDを備え、たとえば、山道で左に旋回する場合、右リヤタイヤから押し出されるような左右独立の制御によって、絶大なる安定感を伴い、グイグイと狙いどおりの方向にスポーティに曲がることができるから快感だ。それはオンロードではもちろん、オフロードでもいかんなく発揮される。

エンジンは2リッターガソリンにして、171馬力、21.1kg-mを発揮。ダイレクトシフトCVTとの組み合わせで、高回転まで回すと気持ちいい咆哮と伸びやかな回転上昇を味わえるのもアスリート車っぽくていい。とにかく、フットワークは筋骨隆々。あらゆる意味で頼もしいイヤーカーである。