人気のコンパクトカーが増えている一方で不遇なモデルも存在

最近話題の新型車といえば、トヨタ・ヤリスとホンダ・フィットだ。両車とも全長が約4mのコンパクトカーで、運転がしやすく燃費も優れている。そのために販売も好調だ。



ヤリスは1カ月の国内販売目標が7800台で、2020年3月9日までに3万7000台を受注した。フィットは国内月販目標が1万台で、3月16日までに3万1000台を受注している。両車ともプロトタイプ(試作車)が2019年に開催された東京モーターショーに出展され、実質的には長期間にわたり受注してきた。3月時点で受注台数が3万台を超えても不思議はないが、人気車であることは確かだ。



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そしてトヨタ、ホンダとくれば日産で、コンパクトカーではノートが売れ筋だが、伝統あるマーチ、背の高いボディで室内の広いキューブもある。ノートにはe-POWERを追加して衝突被害軽減ブレーキも装着するが、マーチとキューブは放置されている。同じ日産のコンパクトカーなのに、境遇の違いが激しい。



販売比率わずか11%の日本市場は置き去り! ヤリスが登場しフィットが新型になっても日産がマーチを放置するワケ



この2車種について日産の販売店に尋ねると、以下のような返答だった。「キューブは今年(2020年)の1月に生産を終了した。今は在庫車を販売している。今後改良を行ったり、フルモデルチェンジする予定はなく、キューブは現行型で終わる。マーチも一度生産を終えるが、今年の7月ごろに、比較的規模の大きなマイナーチェンジを実施する。

詳細は不明だが、衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備を充実させると思う。エンジンなどのメカニズムは、おそらく変更されない」とのことだった。



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マーチが置き去りなのは日産が国内市場を大切に考えていないから

キューブの発売は2008年、マーチも2010年だから基本設計が古い。この2車種をほとんど改良せずに放置してきたのは、最近の日産が日本国内を将来性の乏しい市場だと見限っているからだ。とくにリーマンショックによる経済不況の影響で、2011年以降の日産は新型車の国内発売を滞らせた。新型車は1~2年に1車種しか登場していない。



そのために2019年の日産車の売れ行きを見ると、デイズ+デイズルークス+ノート+セレナの4車種で国内で売られた日産車の65%を占めてしまう。一部の車種だけが日産の国内販売を支えている。



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このような状態だから、今の日産の国内メーカー別販売ランキングはトヨタ、ホンダ、スズキ、ダイハツに次ぐ5位だ。日産の世界販売台数に占める国内比率も、軽自動車を含めて11%に下がり(トヨタは18%)、国内は従属的な市場になった。国内市場は売れ行きが下がって儲からない市場と判断され、そのために新型車の発売も滞り、売れ行きがさらに下がる悪循環に陥っている。



いい換えれば、国内市場は「先に挙げたデイズやセレナなどの4車種で、食い繋いでくれ」ということだ。

そしてキューブは国内向けのため生産を終わり、マーチはノートと併せてアジア地域でも売られることもありマイナーチェンジを実施する。日本でコンパクトカーの人気が高いから、マーチを改良するわけではない。



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結論をいうと、ヤリスやフィットが新型車になっているのに、日産のコンパクトカーが放置される理由は日産が国内市場を大切に考えていないからだ。



ただし今後は、ジュークの後継車種としてキックスが導入される。2019年の東京モーターショーに出展された電気自動車のアリア、Imkの市販版もデビューしそうだ。日本では総世帯数の約40%が集合住宅に住み、充電設備を持ちにくいから電気自動車に偏った商品開発は危ういが、今後の新型車投入に期待したい。



日産の世界販売の90%を占める海外向けの車種も、開発しているのは日本人の社員だ。日本国内で日産が輝きを失うと、やがて海外市場でも商品力と業績を下げてしまう。日産が流れを変えるなら、今が最後のチャンスだ。

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