初心者は周囲の流れに乗れずもたついてしまうこともある
春は、初心者マークをつけたクルマが街にたくさん出てくる季節です。初心者マークとは、正確には「初心者運転標識」と言いますが、免許取得後1年間は車両に装着する義務があり、違反すると道路交通法の「初心運転者表示義務違反」として反則金4000円、行政処分は減点1点となってしまいます。また、周囲のクルマには初心者マーク装着車を保護する義務がありますので、違反すると「初心運転者等保護義務違反」として反則金6000円(中型車・大型車は7000円、小型特殊車は5000円)と減点1点が課されてしまいます。
でも、ひと口に保護すると言っても、具体的にどうすればいいの? と疑問に思う人もいますよね。基本的には、危険回避などやむを得ない場合を除いて、無理な幅寄せや割り込みなどの行為を行ってはならないと定められているのですが、それだけ聞いてもよくわからないものです。
そこで今回は、初心者マークのクルマがよくやりがちな行為をご紹介したいと思います。あらかじめ、周囲に初心者マークのクルマがいるかどうかを把握して、どういう動きをしがちなのか、その場合にはどう対処したらいいのかを知っておけば、こちらの保身にもなり、初心者マークのクルマを思いやる運転もできますので、ぜひ頭に入れておいて欲しいと思います。
1)合流地点での減速
まず1つ目は、側道から幹線道路へ、高速道路の入り口から本線へ、といった合流地点で初心者マークのクルマがやりがちな行為が、なかなか入るタイミングが掴めなかったり、恐怖心を覚えたりして、ブレーキを踏んで減速してしまうことです。熟練ドライバーから見ると、すんなり合流できそうに見えるシーンでも減速しがちなので、「えっ、ここでブレーキ?」と油断して追突しそうになってしまう可能性も。
数台前までに初心者マークのクルマがいる合流地点では、しっかりと広めの車間距離をとって前走車に続き、挙動を見逃さないように注意したいところです。
2)車線変更できずに路上駐車の後ろで停車
次に2つ目は、市街地の道で路上駐車がたくさんある場所で初心者マークのクルマがやりがちな行為として、路上駐車を避けるための車線変更がスムースにできず、停車してしまうことです。熟練ドライバーなら、早めに路上駐車があることを把握して、余裕を持って右車線に移ることができるのですが、慣れていないうちは目線が近くになりがちで、なかなか遠くの道路状況まで意識が行き渡らず、直前になって慌ててしまうものです。

タクシーや郵便局のクルマなど、急に停車する車両の後ろを走っている場合もそうですが、常に前方と右車線の流れに気を配って、もし初心者マークのクルマが左車線にいた場合には、すみやかに右車線に移っておくといいですね。
車両感覚がつかめていないからこその行動も!
3)対向車線に大きくはみ出す
次に3つ目は、歩道のない道路で初心者マークのクルマがやりがちな行為として、歩行者や自転車などを避ける際に、予想以上に大きく膨らんでくるということがあります。

これは、まだクルマの車両感覚がよく把握できていないために、どのくらい避ければ不安なく通過できるか、その加減がつかめていないからです。歩行者などにぶつからないようにしようと必死になって、対向車線にはらんではみ出してくる場合もありますので、すれ違う場合には注意して、こちらが停車してあげたり、タイミングをずらしてあげるとスムースかと思います。
4)料金所でもたつく
続いて4つ目は、駐車場で初心者マークのクルマがやりがちな行為です。車庫入れがなかなかうまくできずに時間がかかる、というのは誰でも予想がつくと思いますが、もう一つは出口の料金所でモタモタしてしまうことです。

自動精算機に手がとどくくらいの位置までクルマを寄せられず、いったんクルマから降りたりする人も多く見かけます。ただ、これはとくに対処法はないので、決してクラクションを鳴らして焦らせたり、プレッシャーをかけることなく、大きな心で見守ってあげたいですね。
5)追越車線を低速で走り続ける
そして最後の5つ目は、高速道路で初心者マークのクルマがやりがちな行為として、追い越し車線をずっと低速で走り続けてしまうということがあります。これは本来なら「車両通行帯違反」という違反行為なのですが、高速道路を初めて一人で走るようなビギナーの場合、ほかに注意をとられて気がつかなかったり、すっかり忘れてしまっていることも。

ガチガチに緊張してバックミラーもろくに見ていない場合も多いので、こういう時にはパッシングをしても気づいてもらえる可能性は低いでしょう。ましてや、煽り運転などもってのほか。取り締まりは警察に任せて、そっとかわしていくのが得策かと思います。
というわけで、初心者マークのクルマがやりがちな行為をご紹介しましたが、思い当たることがあった人も多いのではないでしょうか。誰にでも初めての時期はあって、同じような行為をしながらだんだんと慣れていったのだと思います。初心者マークのクルマをみんなが思いやって、あらかじめスムースに走れるようにしてあげることができれば、きっと交通事故や渋滞も減るはず。
そして、1年後に初心者マークが取れた時には、そのドライバーも周囲に優しい運転ができる人になっているかもしれません。