ハンドル位置に合わせて左右反転する必要はない!

右側通行の地域では左ハンドル、日本のように左側通行の地域は右ハンドルとクルマの仕様は大きく異なっている。このようにハンドル位置は真逆になるのだからペダルレイアウトも左からアクセル・ブレーキ・クラッチと左右対称にするクルマがあってもいいように思えるが、ペダルの操作系はハンドル位置に関わらず共通だ。それはおかしいと思わないだろうか?



ちょっと考えれば、それは屁理屈だとわかるだろう。



ハンドルは左右あるのになぜ? 左アクセル右ブレーキのクルマが...の画像はこちら >>



ハンドル位置が左右どちらであってもドライバーからすると目の前にハンドルがあって、それを両手で操作するという基本は変わらない。であれば、ペダル配置にしても逆にする意味はない。もっと言えば、特殊なクルマやレーシングカーなどシングルシーターもあるのだから、コクピットの操作系レイアウトをハンドル位置に合わせて左右反転する必要はない。



ただし、マニュアルトランスミッションのシフトレバーについては右とするのがデファクトスタンダードといえる。それはシングルシーターのフォーミュラーやレーシングカーの多くが右側にシフト操作系を配置していることからも明らかだ。ただし、それも絶対条件ではない。ワンオフのレーシングカーでは、右ハンドルに慣れたドライバーの好みにあわせて左側にシフトレバーやサイドブレーキを配置したマシンもある。



T型フォードは右ブレーキを採用していた

というわけで、左側にアクセルを配置する必然性はないわけだが、歴史をさかのぼると右ブレーキのクルマというのは存在した。しかも非常にメジャーなモデルが右ブレーキだった。それはフォード・モデルT、累計1500万台も生産されたT型フォードだ。



T型フォードのトランスミッションは2速セミオートマで、アクセルはコラムから生えたレバーで操作する方式となっている。足もとには3つのペダルが並び、右からブレーキ・リバース・変速となる。

つまり右手でアクセル、右足でブレーキ、左足で変速をコントロールするのだ。これはアシスト機構などがない当時の機械レベルからすると合理的だったのだろう。そしてT型フォードの販売台数を考えると20世紀初頭のスタンダードな操作方法は、右手でアクセル、右足でブレーキというものだったのだ。



ハンドルは左右あるのになぜ? 左アクセル右ブレーキのクルマがない理由



このことが示すようにペダル配置など操作系は時代によって変わっていく。自動運転テクノロジーは日々進化しているが、クルマの操作系がジョイスティックになる可能性は各社のコンセプトカーが示しているのはご存じのとおり。自動運転時には操作系を格納するといったアイデアもある。



自動運転テクノロジーが量産車に採用される時代になったとき、現在のペダルレイアウトがまったく変わってしまう可能性は否定できない。

編集部おすすめ