スマホ経由のナビなら常に最新の地図で案内される

三菱エクリプスクロスやトヨタ・カローラシリーズに採用され、話題になっているのが、ディスプレイオーディオだ。スマホの普及とスマホアプリのカーナビゲーション機能の充実、そして何よりカーナビゲーションにかかわるコスト削減が、ディスプレイオーディオが登場した背景にある。



ここでは、車載カーナビゲーションとディスプレイオーディオによるスマホアプリのメリット、デメリットを6番勝負として紹介していこう。



1)価格

今、採用が進みつつあるAndroid AutoとCarPlayに対応させたディスプレイオーディオのメリットはまず、新車購入時に高価なナビゲーションシステムを購入しなくていいということ。つまり、ディスプレイオーディオが標準装備のクルマなら、カーナビゲーション代の10~30万円程度が節約できるのだ。この点では、スマホにかかる費用を別にすれば、ディスプレイオーディオの圧勝と言える。



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2)更新

通信機能を持たないカーナビゲーションの問題点のひとつが、地図などの機能の更新だ。新車に装着されたカーナビゲーションの地図データは、そもそも新車購入時時点のものではなく、数カ月前~1年前ということもある。筆者のクルマの例だと、春に購入した新車の純正カーナビゲーションの地図データは、前年秋更新のデータだった。そして、地図更新に関しては、新車から3年間無料というケースがほとんどで、以降は何万円かの地図更新料金がかかる。ちなみに筆者のクルマでは3万3000円!! しかも最新ではない。



一方、ディスプレイオーディオに接続する使用料無料!! のスマホのグーグルマップやLINEカーナビなどから選べるカーナビゲーションのデータは、オンラインということもあって、ほぼ常に最新。新しい道ができれば、素早く更新されるのだから、この点では、通信機能を持たないカーナビゲーションは(地図データの更新料を払い更新したとしても)、どうにも太刀打ちできないのである。



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3)ルート

カーナビゲーションのメリットとして挙げられるのは、測位制度が高いこと。GPS&ジャイロセンサーなどを使い、トンネル内もしっかり案内してくれるし、ルート案内のバリエーションや正確性、走りやすさもほぼ満足できるレベルにあると言っていい。特に複雑な交差点の案内に関しては、現時点でスマホのカーナビアプリよりわかりやすかったりする。



ディスプレイオーディオに接続したスマホアプリは、日に日に進化していて、ルート案内に関しては、カーナビゲーションに劣ることはないものの、時間や距離を重視するあまり、極端に狭い道や走りにくい道を選択することがありがちなのが難点か。また、トンネル内や山間部など、スマホの電波の届かない場所では、当然のことながら、ナビゲーションとしても使えない。

ルート案内の安心度ではカーナビゲーションのほうが、今のところ有利と言えるかもしれない。



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通信機を積んだクルマがスタンダードになる可能性も

4)渋滞周辺情報

リアルタイムの渋滞情報や周辺情報では、ほぼ常につながっているディスプレイオーディオのスマホアプリに優位性がある。カーナビゲーションでもVICSなどの交通情報を手に入れることはできるが、たとえば最新の周辺情報などのデータに関しては、通信機能をもたないユニットの場合データが古いこともありがち。この項目でも、通信機能を持たないカーナビゲーションよりリアルタイムで情報を入手できるディスプレイオーディオのスマホアプリのほうが便利といえそうだ。



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5)安心機能

ディスプレイオーディオのスマホアプリにない、専用通信機(SIM)付きコネクトサービス対応の純正カーナビゲーションの大きなメリットが、オペレーターサービスの用意だ。走行中にオペレーターに接続し、車載のマイクとスピーカーを用いて、遠隔で目的地設定をしてくれるし、周辺情報、お店などの紹介とともに、これまた目的地として設定してくれるのだから便利すぎる。オペレーターがGPSでこちらの走行位置を確認できるのも、そうしたサービスが受けられるポイントとなる。もちろん、GPSの位置情報を基にした緊急時対応も可能だ。



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6)万人向けの使いやすさ

ディスプレイオーディオとスマホ連携によるナビゲーションは、そもそもスマホを所有していて、スマホを使いこなし、グーグルマップやLINEカーナビなどのアプリを入れていて初めて成立する。ガラケーの所有者は使えないし、スマホを持っているシニアでも、電話とインターネットしか使わないような人には、ハードルが高すぎる。



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実際、筆者自身もスマホを持っているが、初めてエクリプス クロスのディスプレイオーディオとスマホのカーナビアプリを使おうとしたときには、純正カーナビゲーションに慣れていることもあって、使い方にけっこう苦労したものだ。



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また、スマホを接続して使うということは、カーナビアプリの使用中、通信料が常時発生することになる。ギガ使い放題プラン利用者なら気にならないかもしれないが、制限あるプランの場合はヒヤヒヤだろう。さらに、長時間ディスプレイオーディオに接続しっぱなしでアプリを使い続けていると、バッテリーの負荷も避けられない。



その点、カーナビゲーションは誰にでも使いやすく設計されていて、スマホの接続などの面倒は一切なく、操作に慣れるのも早い。

直観的な操作もよりしやすいということになる。



結論

結論としては、コスト面ではディスプレイオーディオ+スマホ接続のカーナビゲーション利用のほうが圧倒的に有利だ。まだまだ進化を続けるディスプレイオーディオとスマホのナビゲーションの組み合わせは、さまざまな機能の拡張性にも期待できる。とくに地図データの更新速度は圧倒的と言っていい。



僕のまわりでは、ディスプレイオーディオなしの一般的なカーナビゲーションが付いているクルマでも、スマホを専用置き台にセットして、スマホのナビゲーションを好んで使っている人もいるぐらいだ。地図データの更新速度に関しては、通信機能付きのカーナビゲーションなら問題なしだが、依然、高価でウン十万円の出費が必要になる。



では、カーナビゲーションはというと、シニア層を含めたスマホの機能を使いこなせないような人には、まだまだ優位性がある。専用通信機付きの”つながっている”カーナビゲーションへの出費を惜しまず、1台のクルマに長く乗るのであれば、オペレーターサービスを含めた使いやすさ、安心感という意味では、ベストではないだろうか。言い方を変えれば、専用通信機なしのただのカーナビゲーションは、この先、前時代的なカーナビゲーションになっていくということだ。



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もっとも、自動車メーカーの開発者によれば、これから車載専用通信機はクルマにとってなくてはならない機能、装備になるというから、カーナビゲーションの地図データの更新や機能の拡張性など、テスラのタブレット端末のようなカーナビゲーションのようになるはずで、将来的にはあまり心配しなくてもよいかもしれない。



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ちなみに、トヨタ・ヤリスは、スマホとの連携が可能なディスプレイオーディオに加え、DCM(専用通信機器/auのSIM)を全車に標準装備! 基本的なサービス利用料は5年間無料! 6年目以降でも年払いで3300円、月払いで300円という利用料だからうれしいではないか。



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T-Connectナビを装着すれば、日常から非常時まで頼りになるオペレーターサービスが利用でき、さらにあおり運転対策にもなるヘルプネット(SOSコール)まで用意している。

そうした基本サービスのほか、マイカーサーチPlusを申し込めば、盗難時などの車両位置追跡や警備員の派遣まで行ってくれるのだから安心・完璧だ。



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いまやディスプレイオーディオか、カーナビゲーションか? ではなく、そのクルマにどんな通信を含めた先進機能、サービスが用意されているかが、より快適で便利で安心なカーライフを過ごす上で重要になってくるだろう。

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