「抗菌」とは菌を長時間増やさないこと!
新型コロナウイルスの感染拡大以前から、抗菌グッズはたくさんある。自動車関連でも抗菌加工済みのハンドル、シフトレバーといったものがあり、ディーラーなどでも抗菌コートを施工するメニューを用意しているところが増えている。
これらの抗菌グッズとは、どのようなものなのだろうか?
抗菌グッズは、抗菌作用のある抗菌剤を素材に練り込んだりコーティングさせたものと、細菌が嫌うという銅や銀、あるいは光触媒の作用で、黄色ブドウ球菌、大腸菌などの菌の繁殖を防ぐものに大別できる(光触媒に太陽や蛍光灯などの光が当たるとその表面で強力な酸化力が生まれ、接触してくる有機化合物や細菌など近くの有機物から電子を奪い、二酸化炭素や水に化学変化させ無害化させる)。
ただ「抗菌」は菌を一時的に死滅・除去する殺菌・除菌とは違って、あくまで「菌を長時間増やさない」という意味なので要注意。
JIS(日本工業規格)では、加工されていない製品の表面と比較し、細菌の増殖割合が100分の1以下(抗菌活性値2以上)である場合、その製品に抗菌効果があると規定。これらを抗菌加工製品と認めている。
コロナウイルスへの効果はまだ証明されていない
なお抗菌剤をコーティングするタイプのものは、手で触ったりウエスで拭いたりしているうちに効果が薄れていくのは否めない。
光触媒は洗浄や擦れなどで剥がれない限り効果は半永久的ともいわれているが、不純物などが付着・堆積し、光が当たらなくなると効果は減少する。
市販の抗菌スプレーなどを見ると、それぞれ効果は1週間~1年などといろいろ書かれているので、製品ごとにいつまで効果が持続するかは調べておいた方がいいだろう。

気になる新型コロナウイルスへの効果だが、東芝グループの東芝マテリアルが、同社の酸化タングステンを用いた光触媒「ルネキャット」の新型コロナウイルスに対する抗ウイルス性試験を開始したという報道があった。しかし、結果が出るまで数カ月かかるといわれ、まだその成果は証明されていない……。
いずれにせよ、抗菌グッズはあくまで「菌を増やさない」のが目的で、菌を殺す効果はない。抗菌グッズに過度に期待することなく、ウイルス等の感染から身を守るためには、しっかりした手洗いやアルコール、次亜塩素酸水などでの消毒も欠かさないようにしよう。