車中泊に対応するシートアレンジも可能な軽自動車も存在

アウトドアライフを楽しむのに、本当に向いているのはどんなクルマだろうか? 多くの人、いや、アウトドア経験の少ない人だと、まずは大型SUV、大型クロスオーバーSUVを想像するはずだ。



しかし、東京都内の観光地的なキャンプ場のように、幹線道路に面した、それこそ手ぶらで行けるようなライトな商業キャンプエリアならともかく、深い森のなかや山奥にある、本当の大自然に囲まれたキャンプ場は、幹線道路から、それは、それは狭い、対向車とすれ違うのも大変な未舗装の林道などを突き進まないとたどり着けないことがある。



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もっとも、そうしたシチュエーションにあるキャンプ場へのアクセス路は、狭い道とはいえ、極悪路ではないケースも少なくない(整備されているはず)。

だって、道なき道を行くようなキャンプ場だと、「悪路上等」以外のお客さんが敬遠し、商売として成り立たないからだ。



なので、キャンプの達人のなかには、あえてコンパクトかつ、積載力のあるクルマを選んでいたりする人がいる。小さいクルマではキャンプ用品が積み切れないのでは? と思うのは素人。キャンプの達人は、豊富な経験から本当に必要なアイテムしか持っていかず、荷物を不自由のない範囲で最小限にするテクニックを知り尽くしているからだ。これは、災害時の非常持ち出しリュックになにを詰めるか? とも共通する引き算のテクニックでもある。



なぜSUVじゃない? いまキャンプ場が軽自動車で賑わうワケ



さて、そう考えると、キャンプ場へのアクセスも事前に調べて、本格的なクロスカントリーモデルでしか立ち入れないわけではない(道やキャンプエリアが整備されている)……となり、荷物も吟味して不自由のない範囲で整理し、しかし、キャンプ場への最終的なアクセス路がけっこう狭い……となれば、むしろコンパクトなクルマでも十分にキャンプを楽しめることになる(1~2名乗車の場合)。



ただし、アクセス路やキャンプ場内が未舗装であれば、少なからず凸凹もあるだろうし、川辺であれば、ゴロゴロした石の上を走る可能性もある。また、天候の変わりやすい山間部では突然の大雨に見舞われ、路面状況が一気に悪化する事態を考慮すれば、コンパクトなクルマでも、最低地上高に余裕がある4WDが望ましいのは当然だ。



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狭い道もスイスイ走れ、すれ違いも楽なコンパクトなボディサイズで、キャンプに向いている最低地上高の余裕と、万一、車内で就寝せざるを得ない状況下での車中泊も可能なクルマの筆頭が、意外にも軽自動車だ。1名または2名でのキャンプ限定だが、たとえば”遊べる軽”というコンセプトを発案した、ワゴンとSUVを掛け合わせたようなスズキ・ハスラーがその代表格。軽自動車ゆえ車幅は5ナンバー乗用車の車幅1695mmよりはるかに狭い1475mm(軽自動車の規格幅上限)。



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しかし、最低地上高は本格SUVに迫る180mmを確保し、なおかつキャンプのアクセスにも最適な4WDの場合、ヒルホールドコントロール、ヒルディセントコントロール、グリップコントロール、そして新型はスノーモードまで完備し、悪路、急坂、雪道を含むあらゆるシーンに対応してくれるのだ。



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極めつけは、前席まで倒すことで、大人でも真っすぐ寝られる、車中泊対応のシートアレンジを実現していること(前席に大きなサイドサポートがないのはそのため)。ハスラーのアクセサリーカタログを見れば、キャンプ、車中泊用のアイテムが多数そろっているのも、キャンプに向いているクルマであることの確固たる証拠だろう。



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ちなみに、後席格納時の荷室は、フロア奥行約970~1130mm(後席スライド位置による)、幅約1090mm、天井高約860~900mmと大容量。また、前席まで倒したフラットアレンジを行えば、ベッド長は最大2040mmに達する。



軽自動車もキャンプや車中泊用のアクセサリーが豊富!

その点、ダイハツ版ハスラー!? ともいえる、6月発売予定のダイハツ・タフトも、ハスラー同様にキャンプ向きの大容量空間、フラットシートアレンジを備えた、キャンプ、車中泊用のアクセサリーも揃う軽自動車であると推測できる(最低地上高に余裕があれば)。一方、車内での就寝のしやすさという点ではダイハツ・ウェイクでも良さそうだが、最低地上高はFF、4WDを問わず、一般的な乗用軽と変わらない140mmなので、万一の場合にはちょっと役不足になる可能性がある(ハスラーの180mmと比較して)。



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付け加えれば、ハスラーのターボモデルなら、キャンプ場への長距離ドライブ、高速走行も、下手なコンパクトカーより楽々快適。動力性能にゆとりがあるだけでなく、全車速対応のACC(アダプティブクルーズコントロール)まで標準装備されているのだから。



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が、キャンプ目的にクルマを探しているが、軽自動車はちょっと……というなら、スズキ・クロスビーがねらい目だ。マイルドハイブリッド機構を採用した1リッターターボエンジンを積み、動力性能の余裕は明らか。しかも、スズキのクルマの特徴として、小型乗用車の5ナンバーサイズでも、全幅の規格1695mmギリギリまで使わず、クロスビーの場合は全幅を1670mmに抑えたナローボディを好んで採用しているからである。これは、キャンプ場に至る狭い道での走りやすさに直結するではないか。



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もちろん、クロスオーバーモデルゆえ、最低地上高は180mmを確保。4WDであればハスラー同様の走破性にかかわる”安心安全”機能も満載だ。



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とはいえ、わが家のキャンプは子供を含めた家族参加型。持っていく荷物も、より快適で楽しいなキャンプライフのために大荷物となる!! と宣言するキャンプ愛好家もいるはずである。



そんな人に絶対的1台と言えるのが、三菱自動車主催のキャンプイベントで、キャンプ経験豊富なファミリーの定番車種と言える、三菱デリカD:5。本格SUVのアウトランダーをベースにした3列シートミニバンであり、テレビコマーシャルフィルムでも、アウトランダーに積めない荷物を満載できる……と暗にPRしているように、3列目席を格納すれば、アウトランダーの荷室に入り切れない荷物も余裕で積めるのだ。



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具体的には3列目席格納時の荷室スペースは、奥行約1200mm、幅約890~1250mm、天井高約1135mmにもなり、フロア地上高がワゴン並みの約620mmと、重い荷物の出し入れも楽々なのである(SUVの荷室開口部地上高は700mm前後)。



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加えて、デリカD:5のボディ幅は1795mmと、たとえば世界基準のコンパクトカー、フォルクスワーゲン・ゴルフの1800mmと同等。三菱エクリプスクロスが1805mmという、ワイドな車幅が当たり前の時代に(デビューが2007年ということもあって)、大きく見えても、実は車幅が広すぎない、本格的な走破性さえ備える、実にキャンプ向き大容量ミニバンなのである。



こうしてハスラーやタフト(予想)、クロスビー、デリカD:5などのキャンプに向くクルマたちの存在を知れば、キャンプ向きのクルマ=絶対的にSUV……という考え方が100%正しくないことが分かるはず。実際、キャンプ場には、ハスラーのようなアウトドア向きの軽自動車も数多く見られ、「今日は何色のハスラーを見ましたか?」のハスラーに代表される、軽自動車ならではのカラフルさある、あるいは、自然にマッチするアースカラーのボディが、キャンプシーンを鮮やかに彩ってくれているのである。

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