「ガスケット抜け」が起こるケースも

クルマの消耗部品のひとつに、ガスケットというのがある。ガスケットとは、部品と部品の接続部の間に挟んでボルト等で固定し、接続部の隙間を塞ぐことで、気密性や液密性を保たせるためのシール材のこと。



シリンダーヘッドとシリンダーブロックの間のヘッドガスケットをはじめ、インテークマニホールドのインマニガスケット、サージタンクのガスケット、エキマニのガスケット、触媒、マフラーのガスケットなどと、いろいろなところに挟まっている。



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似たようなパーツにパッキンがあるが、パッキンは駆動部分・運動部分に使用するシール材で、ガスケットは動かないところに使われる固定用のシール材という違いがある。



ガスケットは継ぎ目の部分で挟まれて、わずかに変形(潰れる)することで気密性、液密性を確保するので、基本的に再利用は不可。そして、高温に晒され圧力がかかる部分なので、長期間使っているとガスケットの一部が破れ、吸気や排気、オイルや冷却水が漏れることがある。これを「ガスケット抜け」という。



紙やメタルなど用途に応じて素材が異なる

スカイラインGT-Rのエンジン、RB26DETTの純正インマニガスケットは紙製で、経年劣化で損傷し、そこから二次エアを吸ってアイドリングが不調になるのはけっこう定番のトラブル。マフラー系のガスケットが抜けると、排気漏れを起こし、排気音が大きくなることも。エンジンのヘッドガスケットが抜けると、冷却水が漏れてマフラーから白煙を吹いたり、圧縮が落ちてパワーダウンしたり、オイルに水分が混じって乳化したりと大事に……。



もっとも、かつてはオーバーヒートで、ヘッドガスケットが抜けることも珍しくなかったが、最近のクルマでは、優秀な設計と品質の向上などにより、下手なチューニングなどをしない限り、ヘッドガスケットが抜けるようなトラブルは聞かなくなった。



エンジンに「紙のパーツ」が普通に使われている! クルマの「ガスケット」って何?



ちなみにガスケットには、圧力・温度の高い箇所のシールに使うメタルガスケットの他、上記の紙ガスケット、カムカバーやオイルポンプ、オイルパンの装着などのときに使う液体ガスケット(液体パッキン)があり、ドレンワッシャー、シールテープなどもガスケットの一種ともいえる。用途に応じて素材が違うので、一概にメタルガスケットがよくて、紙ガスケットはダメというようなことはない。



また、メーカーによってもガスケットに対する考え方には違いがあり、たとえばホンダの純正ヘッドガスケットは、アルミブロック+鋳鉄シリンダーライナーが鋳鉄という構造に合わせ、ガスケットも内側と外側で厚さの異なる板を中央で溶接といった手の込んだ優れたガスケットを採用している。

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