風速10m以上になるとクルマが横風に流される感覚を受ける
いまのクルマは、空力についてもよく研究されてデザインされているので、向かい風にはけっこう強い。しかし、横風には強いとは言いがたく、大きな台風が直撃したときは、人気の軽のハイトワゴンや、パネルトラックなどが橋の上などで横転しているシーンをよく見かける。そのため高架の高速道路や橋の上、山間部やトンネルの出入り口付近、海辺の道など、強い風が吹きやすいところには、吹き流しがあったり、「横風注意」といった電光掲示板などがあるはずだ。
これらの「横風注意」の知らせを見たらどうすればいいのだろうか。
まず大事なことは風の強さを知ること。
吹き流しがあれば、その吹き流しを見る。吹き流しが水平と垂直の間、45度ぐらいの角度なら、風速は3~5m程度。このくらいの風なら、ハンドルをしっかり握っていればほとんど影響がないはず。そして吹き流しが水平になっていたとしたら、風速は10m以上なので要注意。
気象庁のHPによると、風速10m以上15m未満は予報用語で「やや強い風」。「高速運転中では横風に流される感覚を受ける」とある。
風速15m以上20m未満は「強い風」。「高速運転中では横風に流される感覚が強くなる」。屋外の様子としては「電線が鳴り出し、看板やトタン板が外れはじめる」と記されているので、これ以上風が強いときはクルマを運転すること自体が危険になる。
ちなみに予報用語では、風速20m~30m未満が「非常に強い風」、風速30m以上が「猛烈な風」と表現される。

天候が荒れることが予想できたときは、天気予報をよく確認し、強風注意報が出ているエリアでは不要不急はもちろん、大事な用があったとしてもクルマでの外出はできるだけ控えた方が安全だ。
ミニバンやSUV、1BOXなどはより風の影響を受けやすい
より細かく説明すると、「強風注意報」は「陸上で風速14m/s以上または最大瞬間風速が20m/s以上の風が予想されるとき」で、「強風警報」は「陸上で風速21m/s以上または最大瞬間風速が26m/s 以上と予想されるとき」に出されるアラートだ。
というわけで、風速15m以上が予想される場合は運転するのをやめて、安全な場所へ退避するのがベストだが、風速10~15mぐらいの「やや強い風」のときは何に注意して走ればいいのか。
まずハンドルをしっかり握って、速度を十分落とすこと。上記のとおり、風速が10mを超えると横風に流される感覚になるので、ハンドルをしっかり握っておくことが肝心。
次に同じ風速でも、速度が低ければやや流されるぐらいですむが、その速度より20km/h速い速度で走ると、流されるだけではすまずにスピンモードに入ることもあるので、車速は十分落とす必要がある。

一方で流されそうになったときに焦って急ブレーキを踏んだり、ハンドルに力が入り過ぎて、強風を感じたときに慌ててハンドルを切ったりするのも非常に危険。クルマが不安定になるような「急」のつく操作は極力控えること。
また、横風の強さや影響は、前方を走るクルマを見ているとある程度予想ができるもの。前のクルマが風でフラフラしているようなら警戒を高め、速度を一段と落としておこう。
とくに、ミニバンや1BOX、トラックなど車体の側面の面積が広いクルマは要注意。SUVなどを含め背が高く、重心が高いクルマも風の影響を大きく受けるし、軽自動車など車重が軽いクルマは、横転するリスクも増えるので、セダンやクーペよりも早めに安全地帯に避難したい。

さらに、強風時はドアの開閉にも注意が必要。JAFのテストでは、風速20mのときにドアを開けたとき、子供の力ではドアを抑えきれなかったという結果が出ている。大人でも油断していればドアが勢いよく開いて、隣のクルマや壁などにぶつかる可能性があるので要注意。

最近は、さっきまで好天だったのに、上空に寒気が流れ込み、大気の状態が不安定になり急な雷雨や突風に見舞われることもあるので、出かける前は天気予報に目を通し、スマホに防災警報アプリなどを入れて、天気の急変に備えるようにしておこう。