集合住宅への充電コンセントの設置は未だ難しい状況

トヨタからRAV4 PHVが6月に発売されたが、1カ月を待たずに、すでに年度内の台数は消化し、現在は販売店へ行っても注文できない状況だ。月販300台という目標台数もかなり控えめであったといえるだろう。販売の再開は、トヨタのホームページ内でいずれ告知されることになっている。



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プリウスPHVは、当初4人乗りであったり、価格が高めであったりして、販売が急速に伸びることはなかった。それでも前型より売れているだろう。RAV4 PHVは控えめな生産計画であったのだろうが、昨今のSUV(スポーツ多目的車)人気の高さもあり、そもそもRAV4自体が昨年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したほど魅力が高いことも影響しただろう。



RAV4 PHVがバカ売れで「プラグインハイブリッド」の時代到来か! それに伴い顕在化した「充電器問題」とは



一方で、EVもPHEVも、自宅で充電することがモーター走行の基本であり、しかしながらマンションなど集合住宅への200Vの充電コンセント設置が難しい状況は改善されないままだ。理由は、集合住宅の駐車場が、エレベーターや玄関ホールなどと同じように共同利用の場所で、そこへ設備を追加するためには管理組合の合意を得る必要があるため。ところが、役員の反対などにより設置できないことが全国的に起きている。



課題は商品力ではなく社会の受け入れ態勢

反対の理由は、当然ながら工事に経費が掛かること、またその電力の支払いを明確にするためには、カード決済などを行える充電器の設置などが必要になり、コンセントの取り付けとは桁違いの費用になる。出費は抑えたいというのが大きな理由だ。



しかし、それをEVやPHEVの購入者が負担するといっても、「自分に関係ないことだから反対」と、感情的な理由で賛成しない事例があると聞く。そうなると、購入者は公共の設備で充電しなければならず、「ガソリンスタンドに立ち寄らずに済む」EVやPHEVの日常使いという、大きな利点の一つが活用できなくなる。



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これに対し、メーカーやインポーターは、ことにPHEVの場合は、エンジンでのチャージ(充電)モードがあったり、ハイブリッド車としての燃費も十分に優れたりするので、自宅で充電できなくても満足できる性能だと説明する。だが消費者にしてみれば、買った品物の機能が一部使えないのであれば、わざわざ高い金額を払って購入しないだろう。



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つまりそうした集合住宅の充電設備問題は、「買いたい」といってわざわざ店を訪ねた顧客を逃すことになっている。これは、クルマの良し悪しや、商品力の問題ではなく、社会の受け入れ態勢の課題であり、社会の認識が変わっていかなければ解決できない。自動車メーカーやインポーター各社が一致協力してキャンペーンを行うなど、対策を実行しなければ、日本は世界でもっとも遅れた交通社会となりかねない。



日本市場へのEVの導入に慎重なトヨタも、RAV4 PHVの人気をみた以上、将来的な電動化市場には、よいクルマを作るだけがメーカーの仕事ではないことに気付くべきだ。1997年の初代プリウス以来積み重ねてきた電動化技術があれば、EVをつくることができるのではなく、EVが売れる社会となることへの貢献が求められている。

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