ユーザー層の見直しを図ったもののイメージを変えられなかった
1966年のデビュー以来、最大のライバル車であったトヨタ・カローラとしのぎを削り、日本の大衆車のレベルを引き上げることとなった立役者である日産サニー。しかし、その名前は2004年に途絶えてしまっている。
その後を受け継いだのは2004年10月に登場したティーダラティオであり、そのティーダラティオも2012年にラティオとしてフルモデルチェンジを果たして2代目となるが、2016年をもって販売が終了。
そもそもサニーが消滅した理由のひとつとして、ユーザー層の高年齢化が挙げられていた。そのため、一度そのイメージをリセットする意味でサニーの名前を外し、新規車種のティーダのセダン版としてティーダラティオを投入したのだ。
しかし、結果的にティーダラティオもユーザー層はそこまで変わらず、フルモデルチェンジ後のラティオはマーチベースでタイ生産ということもあってか代替も進まないという負のスパイラルに陥ってしまった。
北米仕様はカローラ同様イメージの若返りが成功している
一方のカローラは粛々とブランドを守り続け、ラティオと同じく2012年に登場した11代目モデルでは1年後にハイブリッドモデルを投入。2015年のマイナーチェンジではキーンルックを採り入れたアグレッシブなデザインとするなど若返りを図り、2018年に登場した現行型はもはや過去の高齢者のクルマというイメージは微塵も感じさせないほどになっている。

じつはサニーの北米仕様であるセントラも、現地では4代目となるB14型(日本では8代目モデル)までは日本仕様と大差ない状態だったが、B15型からはプラットフォームこそ同一ながら前後のデザインは大きく変えられ、2.5リッターエンジンを搭載するSE-Rというスポーツグレードも用意されるなど、若者を意識したモデルへと舵を切っていた。
そして7代目セントラのマイナーチェンジ時には1.6リッターターボエンジンを搭載したNISMOグレードが追加されるなど、明らかに若返りが図られており、現行モデルもNISMOグレードはないものの、かなりスポーティーなエクステリアを持つモデルに仕上がっているのだ。

つまり、ユーザー層を変えたいのであれば安易に名前を変えてしまうのではなく、しっかりクルマ作りを見直さなければならなかったということではないだろうか。今後サニーの名前が復活する可能性は低いと思うが、今ある歴史ある車名は何としても守って欲しいと思ってしまうのであった。