「BoP」は「バランス・オブ・パフォーマンス」の頭文字
レースシーンで耳にする「BoP」だが、これは「Balance of Performance(バランス・オブ・パフォーマンス)の頭文字をとった略称のこと。日本語では「性能調整」と呼ばれており、文字どおり、各メーカーが投入する主力モデルの性能格差を埋めるシステムとなっている。
これにより、速いマシンの“足かせ”が厳しくなり、逆に遅いマシンは“足かせ”が緩められることで、マシン性能の均一化を実施。
一般的にGT3規定を採用したレース競技で行われているものが、「最低車両重量」の増減と「エアリストリクター経」の拡大・縮小、さらに「最低地上高」の上下、ターボ車に対する「最加給圧」の上下などで、この“足かせ”が、いかにタイムに影響するかは、クルマ好きの読者諸兄なら想像に難くないことだろう。
エンターテイメント性の高さもスーパーGTの魅力のひとつ
ちなみに、このBoPの基準になっているのが、GT3規定を管轄するSRO(ステファン・ラテル・オーガニゼーション)が主催するレースシリーズ「GTワールドチャレンジ」で、GT3規定を採用する国内外のシリーズが、このGTワールドチャレンジの最新のBoPを基準に性能調整を実施している。
しかし、スーパーGTのGT300クラスはGT3に加えて、JAF-GT、JAF-GTマザーシャーシと独自の規定を採用していることから、このSRO基準に参考にしながらも独自の性能調整を行なっていることがスーパーGTのGT300クラスならでは特徴と言えるだろう。これに加えてスーパーGTではリザルトに応じてウェイトハンディを搭載することもポイントと言っていい。
GT300クラスのドライバーやエンジニアに勝算を尋ねると「BoP次第」という答えが返ってくること多く、時として、大排気量エンジンを搭載した「ニッサンGT-R」や「メルセデスAMG GT3」などのパイパフォーマンススポーツカーを抑えて「スバルBRZ」や「トヨタ・GRスポーツ・プリウスPHV」などが上位に食い込むことも少なくはない。
市販モデルでは想像のつかないバトルで、高級スポーツカーのオーナーにしてみれば、複雑な気持ちになるかもしれないが、このエンターテイメント性の高さもスーパーGTの魅力で、独自の性能調整システムを採用することにより、多彩な車種ラインアップと世界屈指の激戦を演出しているのである。