走行性能と積載性の両立は大きなメリット!

かつてはスバル・レガシィツーリングワゴン、トヨタ・カルディナ、日産アベニール、ホンダ・アコードワゴンなど、多くの名車が存在したステーションワゴン。しかしいまや希少な存在となっている。ステーションワゴンとはそもそもどのようなクルマを指すのか? 他のジャンルにはない魅力とは? どのような使い方に適しているのか? この記事では、ステーションワゴンの基本についていま一度、振り返ってみたい。



■ステーションワゴンとは?

ステーションワゴンとは、2BOXの形状で、後席とひと続きの荷室を備えるクルマを指す。走行性能と積載性を両立しているのが大きな特徴だ。その歴史を振り返ると、1989年に登場した初代スバル・レガシィツーリングワゴンがブームに火をつけたといえる。ワゴンはそれ以前にも存在したが、あくまで商用として開発されたバンの乗用車登録というものだった。レガシィツーリングワゴンはワゴン専用設計であったため、走りや快適装備の搭載などの面で乗用車的なテイストに溢れており、2リッターターボ搭載モデルではよりスポーティな走りを楽しむこともできた。レガシィツーリングワゴンの爆発的なヒットを受け、各メーカーからステーションワゴンが登場。ステーションワゴンブームが到来した。

現在の自動車市場ではSUVやミニバンが人気を誇るがゆえラインアップは激減しているものの、ステーションワゴンならではの魅力があるのも確かだ。



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■ステーションワゴンの魅力は?

・ラゲッジスペースが広い

後席に乗員が乗っても広いラゲッジスペースが確保されるのがステーションワゴンの魅力のひとつ。開口部が低いため、荷物の積み下ろしがしやすいのも嬉しいポイントだ。また後席を倒せば、さらに多くの荷物を積めるのはもちろん、車中泊もできるだろう(フルフラットになるタイプがより適している)。さらに助手席を倒して長尺物を積載することも可能だ。



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・車高が低い

さらに、車高が低く、多くのモデルがセダンベースであるため走りに安定感がある。高さを抑えることによって空気抵抗も減るため、燃費にも有利だ。走行性能の高さを生かしてスポーティグレードを用意する車種もあり、見た目に関してももスポーティなデザインを採用しやすいため、クルマ好き、走り好きにもおすすめできる。

また、高さ制限がある機械式駐車場に停めるといった場合にも大きなメリットとなるだろう。



・個性が主張できる

ブームが過ぎ去り、ラインアップが減ってしまったのは事実。しかしそれを逆手にとれば、いま所有することによって周囲と差をつけることもできるだろう。家族や友人との多人数乗車を考えていたり、多くの荷物を積みたいが、街に溢れるミニバンやSUVではなく周りの人とは違うクルマに乗りたい、個性を主張したいという人にもおすすめできる。



■SUVやミニバンとの違い

SUVやミニバンと比べて車高が低いため、走りに有利である点が挙げられる。またミニバンは後席を使うことによってラゲッジがかなり狭くなってしまうモデルも多いが、ステーションワゴンの場合はフル乗車でも広いスペースが確保される。しかし、ミニバンの多くが採用するスライドドアを備えるモデルはステーションワゴンにはないため、購入検討の際は注意が必要だ。



■ステーションワゴンが活躍するシーン

Gがかかりやすいワインディング、また風に煽られやすい高速道路や陸橋、海沿いなどでの走りも安定していて、安心感が高い。走行性能と積載性、快適な乗り心地を併せ持つステーションワゴンは、長距離ドライブでの旅行や車中泊、アウトドア用途などにも適しているだろう。また、スポーティな走りが味わえるモデルが多いため、クルマ好きの一家の主人が「走りを楽しみたいが、家族を乗せることを考えるとスポーツカーでは快適性がちょっと……」と考え、ステーションワゴンを選ぶといったケースも少なくないようだ。



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■おすすめのステーションワゴン

最後に国産車、輸入車を含む、おすすめの現行ステーションワゴンを4台ピックアップして紹介したい。



【国産車】スバル・レヴォーグ

国産車では2020年10月にフルモデルチェンジを実施し、2代目となったばかりのスバル・レヴォーグがおすすめだ。エンジンには水平対向4気筒1.8リッター直噴ターボを搭載し、最高出力177馬力、最大トルク300N・mを発生。先代と比べてハンドリング性能の向上を評価する声も多く聞かれる。またスバル車で初めての先進運転支援システム、「アイサイトX」を搭載。従来の「アイサイト」の機能であるプリクラッシュブレーキや全車速追従機能式クルーズコントロール、車線維持機能などに加えて、高速道路での約50km/h以下の渋滞時のハンズオフ(手放し)運転をすることが可能となっている。

電子制御ダンパーや、ボルドーとブラックの専用内装などを採用するスポーティグレード「STI Sport」もラインアップ。その出来が評価され、2020-2021日本カー・イブ・ザ・イヤーを受賞した。車両本体価格は310万2000円~409万2000円(税込)。



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【外車】1)ボルボV60

48Vハイブリッド車とプラグインハイブリッド搭載車をラインアップし、ボルボ最新の先進安全・運転支援機能「インテリセーフ」をV60全車に標準装備。他の車両や歩行者、サイクリスト、大型動物との衝突を回避または衝突被害を軽減するための警告およびブレーキ作動を行う「シティセーフティ」や、おもに高速道路において、設定された速度を上限に前方を走行する他のクルマとの車間距離や速度を調整する「アダプティブクルーズコントロール」、さらに軽く手を添えているだけで、車線を走り続けられるようにハンドル操作をアシストし、ドライバーの疲労を軽減する「パイロットアシスト」など数多くの機能を備える。車両本体価格は499万円~799万円(税込)。



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【外車】2)BMW 3シリーズ ツーリング

エンジンにはガソリン、ディーゼルを含む4タイプを用意。グレードは「318i ツーリング」、「318i ツーリング M Sport」、「320i ツーリング」、「320i ツーリング M Sport」、「320d xDrive ツーリング Edition Joy+」、「320d xDrive ツーリング」、「320d xDrive ツーリング M Sport Edition Joy+」、「320d xDrive ツーリング M Sport」、「M340i xDrive ツーリング」をラインアップする。

最上位グレード「M340i xDrive ツーリング」はじつに最高出力387馬力、最大トルク500N・mといったスペック。エントリーからスポーツグレードまで選択肢が多いのも魅力だ。スポーティさと上品さを両立した内外装のデザインも好評。安全面にも力を入れるが、35km/h以下の走行時に直近50mのドライビング・ルートを自動的に記録し、元来たルートを自動でステアリング操作し後退する「リバースアシスト」はBMWならではの機能だろう。車両本体価格は523万円~1012万円(税込)。



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【外車】3)ルノー・メガーヌ スポーツツアラーGT

直列4気筒1.6リッター直噴ターボエンジンを搭載。最高出力は205馬力、最大トルクは280N・mだ。

スポーティな走りに定評がある。またこのクルマの特徴は4輪操舵システム、「4コントロール」を採用すること。時速約60km以上の高速走行(スポーツモードでは時速約80km以上の走行時)では、後輪は前輪と同一方向に向けられ、ドライバーの意思に正確に応える理想的なコーナリングを実現する。一方で、時速約60km未満の低速走行(スポーツモードでは時速約80km未満の走行時)では、は後輪を前輪とは逆の方向に向け、コーナリングをサポート。駐車時やUターンなど、取り回しが容易になることを実感できるだろう。価格は366万600円(税込)。
※メガーヌはハッチバックの「GT」とステーションワゴンの「スポーツツアラーGT」をラインアップする



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■記事まとめ

いまミニバンやSUVが流行し、各メーカー、ラインアップを拡大している。それに対してステーションワゴンは激減。しかし、ステーションワゴンには多くのメリットがあり、いまなお魅力的な車種が存在するのも事実だ。クルマの購入を検討していて、走行性能、居住性、積載性、乗り心地、取りまわしのよさや燃費などの両立を求める人は、ステーションワゴンを視野に入れてみるのもいいだろう。