正式発表は2021年4月の予定だ
2021年2月18日、フルモデルチェンジするホンダ・ヴェゼルの姿が世界初公開された。
2013年に誕生した初代ヴェゼルは、グローバルで累計384万台を販売するほどのヒットモデルとなり、日本でも何度も「SUV販売ナンバーワン」の座についた人気モデルであることは今さら説明するまでもないだろう。
そんなヴェゼルが初のフルモデルチェンジをするにあたり、開発陣が最初に考えたことは「ホンダらしさ」だったという。
そこで新型ヴェゼルは、クロスオーバーSUVとしての実力を高めることは基本として、より新しい価値観を持つ人々の可能性や行動範囲を“増幅させる”できるクルマとして開発が進められた。グランドコンセプトは『AMP UP YOUR LIFE』、イメージターゲットはジェネレーションCと呼ばれる新しい生活様式を積極的に受け入れるアクティブな世代を想定しているという。
そのためには、従来モデルをそのままブラッシュアップするのではなく、従来モデルの殻を破り、新しい時代にふさわしい価値観を表現する新型ヴェゼルへと進化させる必要がある。そうして生み出されたのが、この斬新なスタイリングだ。

ホンダのクルマを語るとき、「MM思想」という言葉を目にすることが多い。これは初代シビックの時代からホンダのクルマに共通するパッケージングの考え方で、「マンマキシマム・メカミニマム」の略称だ。つまり小さなボディに見えても中は広いというサプライズはホンダの伝統といえる。
デザイン性を重視しつつも広い室内空間が魅力!
初代ヴェゼルは、まさしくそうした驚きのあるモデルだった。スタイリングはSUVだがテールゲートを開けると、そこにはミニバンと見紛うほどの広いラゲッジスペースが用意されているというのに驚いたことがある人は少なくないだろう。

そこで、新型ヴェゼルにおいても、まずはパッケージから検討されている。

実際、公開されたスタイルを見ると、特徴的なインテグレートタイプ(埋め込まれたような形状)のフロントグリルが新しいスタイリングの提案であることを明示している。メッキを使うことなく、ボディ同色ながらしっかりと主張するルーバーグリルは、SUVらしい力強さとホンダらしいフレンドリーさを両立していることが見て取れるだろう。

デザイン手法としてはホンダがフィットで提案したグリルレスマスクとは似て非なるものに感じるかもしれないが、パートナーとしての表情を感じる部分、目力の演出などはフィットの持つ動物的な部分に通じるものがあると感じないだろうか。これがホンダの新世代スタイリングのテイストだ。
一方、サイドパネルを前から後ろまで一気通貫に描かれたキャラクターラインは、初代ヴェゼルのエッジが効いた部分をしっかりと継承しつつ、グレードアップしたものといえる。このキャラクターラインを活かすために、後席ドアのアウターハンドルを“隠している”のは従来通りだ。そして、このリヤ・アウターハンドルは取り付け位置や角度の面で、使い勝手を向上させているというのも注目ポイントのひとつだ。

国産車としては新しい提案といえるのがルーフ全面を開口部にしたような「パノラマルーフ」。運転席だけでなく後席であっても抜群の開放感をもたらす。前述したように後席は座面のボリュームアップや背もたれの角度の最適化などを果たしているのも、そうした気持ちよいインテリアの価値を高めていることだろう。

なお、パワートレインは1.5リッターガソリンエンジンと1.5リッターハイブリッド「e:HEV」という2種類で、グレード構成は、ガソリン車の「G」とハイブリッドの「e:HEV X」、ハンズフリーアクセスゲートを装備する「e:HEV Z」、そして大開口パノラマルーフを標準装備する「e:HEV PLaY」の4グレード設定とアナウンスされた。

「e:HEV PLaY」には9インチのホンダコネクトやスマートフォンのワイヤレスチャージャーも装備される。

スマートフォンと連携するホンダコネクトのサービスとしては、アプリを入れることでスマートフォンがクルマのカギとなったり、ハザードランプの点滅などを遠隔操作できたりする機能のほか車内Wi-Fiや緊急サポートセンター、またALSOKと連携した駆けつけサービス、緊急サポートセンターなどを実現。さらに年6回の自動地図更新サービスをホンダとして初採用したというのもニュースだ。

とにもかくにも、新型ヴェゼルが公道は走っている姿を見る日が待ち遠しい。